「男と答える事に不快感はない」 読売テレビに性別を聞かれた「sabu chan」さんの本音

お好み焼き店へのクレームに「ただの業務妨害ですよね」と憤る。
「性別」のイメージ写真
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bizoo_n via Getty Images

読売テレビは5月13日、番組中の街角レポートで一般人の性別を確認するシーンがあったことについて、「人権上、著しく不適切な取材」として、「視聴者及び関係者の皆様に深くお詫びします」と謝罪した

この番組中で性別を問われた大阪市在住の「sabu chan」さんは、今回の騒動をどう感じているのか。15日、ハフポスト日本版のメール取材に答えた。

■胸を触るシーンも

問題となったのは、夕方の番組『かんさい情報ネット ten.』のコーナー「迷ってナンボ!」だった。

お笑いコンビ「藤崎マーケット」が街を歩いてレポートする内容となっており、この日の放送では、大阪・十三にあるお好み焼き店の店員から「性別が分からない常連客がいる」と頼まれ、その人物に性別を確認するという流れだった

外見からは性別が分かりづらいこの常連客に対し、藤崎マーケットの2人は「失礼かもしれないですけど、性別ってどちらなんですか」と質問。

客は「男ですよ」と答えたが、藤崎マーケットは「純粋な男?女の人が好きな男?」などと、たたみかけた。さらには性別を確かめるため、客に保険証を提示させたり、胸の膨らみ具合を手で触ったりした。

これに対し、コメンテーターとして番組に出演していた作家の若一光司さんがスタジオで激怒した。

「許しがたい人権感覚の欠如。そんなもの、よう平気で放送できるね」と叱るシーンが放送され、ネット上で若一さんに賛同する意見が拡散した。

■当事者は語る「性自認自体は男性だけど男の部分はいらない」

性別を聞かれた当事者は「sabu chan」のハンドルネームでYouTube上で活動しており、「Xジェンダーとかアセクシャルとか言うとややこしくなると思って普通に男ですよ?と答えたのが逆にややこしくしてしまったかも」と投稿で振り返っていた。

JobRainbowによると、Xジェンダーとは「身体的性別に関わらず、性自認が男性にも女性にもあてはまらない」ことを指す。

もし、sabu chanさんがXジェンダーであるなら、自身の性別を「男」か「女」の二択で答えなければいけない取材への違和感はなかったのだろうか。

そんな質問を投げると「不快感はないです」と、意外な返事だった。

AbemaTIMESの記事にXジェンダーという事が書かれてましたが、僕自身の認識としては、『Xジェンダーに近いのかな?』くらいの感覚です。もしくはLGBTQのQ(クエスチョン)。

『男性だけど男の部分はいらないな』という感覚。あのロケで『どっちですか?』と聞かれた時はXジェンダーとか説明するのが、ややこしいかなと思って普通に『男ですよ』と答えました。『男ですよ』と答える事に不快感はないです」

■「なぜ今回」という思い

実際、sabu chanさん自身は、読売テレビに撮影された際に不愉快に感じたことは「一切なかった」とAbemaTVに出演した際に話していた。

ただし、本人としては良くても、性別について聞かれたくない人も世の中にいる中で「テレビ局が公共の電波で一般の人に性別をしつこく追求するべきではない」という意見もある。

これについて、sabu chanさんは「過去に似たような番組があったと思うけど、今回みたいなニュースになったりはしてないですよね」と今回の騒動を不思議に思っている様子だった。

■「クレームの電話しても意味はない」

ただ、今回の放送が騒ぎになったことで実害があったという。番組に登場したお好み焼き店にクレームが殺到。

「あのお店にはワンちゃんもかわいがってもらっているし、そういうことは本当にやめてほしい」とAbemaTVで訴えていた。

そんなsabu chanさんは「クレームの電話しても意味はない」と、ハフポストへの回答で綴っている。

「お好み焼き屋のおっちゃんに聞いた話では無言電話とか『おたくは何を考えてるんだ』みたいなのが、しょっちゅうかかってくるみたいです。

例えば『あれを見て私はこう感じたのでこれはダメな事だ』とか、真剣な訴えならまだいいと思うんですけど、無言電話とか、からかい半分の電話とかはただの業務妨害ですよね。

ただ、お店のおっちゃんおばちゃんは、ただの大阪のおっちゃんおばちゃんなんで、そんなクレームの電話しても意味はないと思います。 企業なんかだとちゃんとした対応は取られるんでしょうけど」

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