はじめてのSDGS
2019年08月01日 17時46分 JST | 更新 2019年08月01日 18時03分 JST

SDGsって何のこと? 今さら聞けない疑問を聞いてみました。

国連広報センターの根本かおる所長は「このままでは、子ども、孫、ひ孫の世代に、美しい地球を残すことができないという危機感が背景にある」と言います。

ビジネスの現場や日常でよく耳にするようになった「SDGs」(エス・ディー・ジーズ)。2030年に向けて世界が合意した「持続可能な開発目標」のことです。

調べてみると、テーマはとても幅広く、17個も目標があるそうです。貧困や気候変動、さらには働きがいや教育まで…。どれも一筋縄では解決できないものばかり。私たちの日常生活にどんな関わりがあるのか、ちょっとイメージがつきにくい気も…。

そもそもなぜ、SDGsができたのか。いま、どんな課題があるのか。そして、私たちの日常生活にどう関わってくるのか。周知に取り組んでいる国連広報センターの根本かおる所長に聞いてきました。

TAKEHITO SATO
根本かおるさん

■そもそもSDGsって?

ーーそもそもSDGsって何ですか?

SDGsは、よりよい世界をつくるために世界の国々がまとめた「持続可能な開発目標」です。そのテーマは幅広く、17個の目標があります。あらゆる形の貧困を世の中からなくし、不平等とたたかい、気候変動に対処しながら、「誰も置き去りにしない」ための取り組みです。2016年から本格的な取り組みが始まり、2030年を目標の達成期限にしています。

SDGsの17個の目標

ーーなぜSDGsができたんですか?

2015年9月、国連に加盟するすべての国々が全会一致で採択しました。「このままでは、子ども、孫、ひ孫の世代に、美しい地球を残すことができない」という危機感が背景にありました。

 

ーーSDGsの前身には、2000年の国連サミットで採択された、「国連ミレニアム宣言」をもとにまとめられた「MDGs」(ミレニアム開発目標)があったそうですね。SDGsとの違いは何でしょうか?

MDGsは、主に経済的な発展が遅れている途上国の問題を解決するために作られた、8つの目標です。極度の貧困と飢餓の撲滅、乳幼児死亡率の削減などが含まれます。

日本を含めて先進国にもMDGsに関わりはあったのですが、それはあくまでも、ODA(政府開発援助)を中心に、先進国の政府が資金や技術を途上国に提供する国際協力を通じて、途上国をサポートするという文脈だったんです。

先進国にも、それぞれ国内に様々な課題がありますが、MDGsはそうした先進国の課題に直接的に関わる内容ではなかったわけです。

 

ーーMDGsの目標は、達成したのでしょうか?

2015年までがMDGsの8つの目標を達成する期限でした。それぞれの目標の進み具合を毎年確認し、成果がありました。例えば貧困人口は、基準とした1990年の36%から、2015年には10%に減りました。

しかし、妊産婦死亡率の削減など、改善は見られたものの、目標の水準に遠く及ばなかった課題も残りました。また、気候変動や地球温暖化、格差の拡大、そして紛争が増えて長期化したことなど、新たな課題も出てきました。

気候変動については、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出しているのは主に先進国と中国、インドなどであるにも関わらず、その影響は小さな島国や、干ばつと砂漠化が深刻なアフリカの国々に、しわ寄せが集中しています。もともと非常に弱い立場だった国々が、さらに弱い立場になっているわけですよね。

 

■格差、差別…先進国にも課題がある

TAKEHITO SATO
根本かおるさん

ーーSDGsは先進国にも直接関わるということが、MDGsとの違いですね。

例えばSDGsの目標10番にある「人や国の不平等」について言うと、日本国内にも格差があります。日本でも、7人に1人の子どもが貧困のもとで暮らし、1人親世帯の半分が貧困であるという調査結果があります。

こうした経済的な格差は、国と国の間でも広がっています。世界で最も裕福な26人の富豪の総資産と、世界人口の下半分にあたる38億人の総資産が、同じだという現実も明らかになっているわけです。

格差は不平等感を呼び、不満がたまって爆発すると、社会は不安定化します。場合によっては暴力や紛争を引き起こす。ひとたび紛争が始まると、長期化してしまう。2000年代に入ってから紛争が増え、紛争で命を落とす人も増えています。

紛争や深刻な人権侵害でふるさとを追われた難民、避難民の数もいま7000万人を超え、第2次世界大戦以降最悪の数字になっています。よりよい生活を求めて人の移動に拍車がかかり、低成長となったヨーロッパなどでは一国主義や不寛容の精神がはびこり、差別的な言動が広がっていますね。

こういった問題は、途上国も先進国も一緒になって取り組んでいかなければならない課題です。幅広い観点から、全員野球でみんなが関わる形で進めていかなくてはいけない。そこで生まれたのがSDGsという世界の目標ということです。

 

ーーもしSDGsが達成できなかったら、世界はどうなってしまうんでしょうか?

気候変動の影響は、先進国にも出ていますね。日本では昨年、災害のような暑さに襲われました。

世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が設置した「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が2018年に発表した報告書によると、地球温暖化がこのまま進むと、早ければ2030年にも、世界の平均気温が産業革命前と比べて1.5度上昇することが明らかになりました。

同時に報告書は、1.5度上昇した世界と、2度上昇した世界でどんな違いがあるか比較しています。1.5度上昇でも地球に深刻な影響はあるものの、2度上昇の世界と比べると、地球を未来につなげていく余地があると言っています。

 

■日本、そして、私たちにできることって?

TAKEHITO SATO
根本かおるさん

――すべて大事だとは思うのですが、特に日本が力を入れなければならないことって何でしょうか。

すべてですね!すべてだとは思うんですが、ドイツの財団などが各国のSDGsの進み具合を分析した報告書によると、日本は世界の中で15位でした。「順調に進んでいる」という評価はゴール4の「質の高い教育」とゴール9の「産業と技術革新の基盤を」だけ。「このままいくと危機的な状況」と評価された目標はたくさんあって、ゴール5の「ジェンダー平等」もそのひとつです。例えば、日本では女性の政治家や企業の役員、管理職の割合が世界と比べて低いですね。

 

――ジェンダー平等の解決のために、どんなことが必要ですか。

色んな段階があると思いますが、ひとつは子どもの頃からの教育です。「女の子はこうしなければならない」という考え方が、まだ社会に残っているかもしれません。子どもは大人の背中を見て育つので、大人の社会で女性がリーダーシップを取っていない様子ばかりを見てしまうと、自分の可能性の芽を摘んでしまう。色んな事にチャレンジして良いんだよということを、周りの大人が言っていかなければいけないと思います。

 

――身近にできることって何でしょうか?

たくさんありますよ!例えば、私たち国連広報センターでは、「ワーク・ライフ・バランス」を大切にしています。ゴール8の「働きがいも経済成長も」ですね。訪日する国連関係者への対応などで、昼夜を問わず忙しくなることもありますが、メリハリを付けて休むときは休むようにしています。そして、自宅で作業して用件が済む場合には、自宅で仕事をすることも柔軟に認めています。

私はマイボトルやエコバッグを持ち歩いていますよ。レジ袋をもらわないようにしていて、目に見える形でプラスチックごみを出す量が減るので、手応えを感じられます。みなさんそれぞれが、自分にできること、ライフスタイルに合った取り組みを選んでいくと良いと思います。

 

国連広報センターHP
日常生活で簡単に取り入れられる行動を盛り込んだ「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」

 ーー「難しい」「自分には関係ない」と考えてしまいがちなテーマではありますが、少しずつ浸透してきているようですね。ただ、広報には苦労もあったとか…

2016年にSDGsの周知を始めた頃は、企業や経済団体に説明に行っても、「けんもほろろ」という感じでした。当時のことを考えると、「石の上にも三年」だなと思います。一緒に取り組んでくれる仲間がたくさん増えました。

大事なのは、「楽しくて、ついついやっちゃう」という感覚。警鐘を鳴らすだけでは広がっていかないので、楽しくてついついやっちゃう取り組みも提供していくことを肝に銘じています。

 

健康な地球で、みんなが平等に平和に生きる。

2030年に、それを実現するための目標がSDGs(持続可能な開発目標)です。
ハフポスト「はじめてのSDGs 」では、日本をはじめ世界中の問題や取り組みを紹介。

私たちに何ができるんだろう... みんなで一緒に考えてみませんか?