全国の先生を支え抜く SENSEI NOTE 浅谷さん

「SENSEI NOTE(センセイノート)」は学校の先生同士がつながるWEBサービス。SENSEI NOTE上では、先生同士が「交流・相談・発信」することが可能です。地道な先生へのヒアリングを通してサービスを検証し、ついに正式リリースを実施した浅谷さんに先生に対する想いや展望を伺ってきました。

浅谷さんは、2012年11月に開催されたStartup Weekend Tokyo大会でSENSEI NOTEを立ち上げ、優勝。その後開催されたGlobal Startup Battleで世界112チーム中8位に入賞。2013年2月に株式会社LOUPEを設立しました。

「SENSEI NOTE(センセイノート)」は学校の先生同士がつながるWEBサービス。SENSEI NOTE上では、先生同士が「交流・相談・発信」することが可能です。

浅谷さんのチームがSENSEI NOTEを運営する理由は、学校現場に子どもと向き合い奮闘する先生方が沢山いることを知っているからだと言います。そしてそういった先生方がSENSEI NOTEを通じてネット上でつながることで、学校がもっと活き活きした場に変化することを願って日々チームで一丸となり運営をされています。

2013年5月からテスト版を先生に使ってもらい仮説検証を重ね、そして3月24日(月)、正式なサービスをリリースしました。

※学校の先生及び教員志望の学生限定のため、一般の方はご利用できません。

地道な先生へのヒアリングを通してサービスを検証し、ついに正式リリースを実施した浅谷さんに先生に対する想いや展望を伺ってきました。

※複数回にわけて連載していきます。

―SENSEI NOTEについて教えてください。

浅谷 小中高の先生向けSNSサービスです。「先生がつながる」ことにフォーカスしており、コミュニティ自体が価値と考えています。SENSEI NOTE上では、地域や学校を超えて全国の先生とが同じ課題を抱えている先生同士で情報交換や相談ができたり、事務局が認定した大学の教授や研究者、教育系NPOの方々のコラムを購読することが可能です。

―「先生がつながる」というコンセプトに至った経緯を教えてください。

浅谷 経緯は3段階あります。第1段階目は、2012年11月時点で事業のアイディアを思いついたときです。そのときは、活躍されている先生や地元で信頼されている先生のナレッジを集めてデータベース化しようとしていました。ただ進めてみて分かったのは、先生は職人仕事なので、他の人がやっている授業をそのままやることは好まない。自分で作りたいという自前主義だということが多くの先生のヒアリングで判明してきました。

そこで第2段階目として、形式知から集合知へ移行しようと2013年5月時点で「知恵を持ち寄る」というコンセプトに移行しました。みんなで自分がやっていることを共有しようという考えです。知恵を持ち寄るというコンセプトは、みんなでテーブルを囲んで知恵を共有しようというイメージです。ただこれも検証するなかで、難しいことがわかってきました。先生方は人を評価する仕事。かつ今は風当たりが強い。そういった環境の中で、ネット上で会ったこともない、知らない人達に自分が作ったものを出すと、周りの人からぼこぼこにされるという懸念があり、そのため当たり障りのないものしか出さない傾向にありました。

これでは全然共有されないし、いいものが沢山あっても流通しないと思いました。

その結果を受けて、第3段階目、結局情報、知恵、ナレッジの共有は必要だけれど、まずそれが流通するネットワークを作ることが必要だという認識に至りました。情報はそもそも信頼関係がないと流通しません。誰かわからない人、知らない人にがんばったものは共有しません。なので今のSENSEI NOTEのコンセプトは、全国の先生がつながる、先生をデータベース化してつなげていく。例えば東京と京都の定時制高校の数学の先生がつながる。小学校の先生が同じテーマでつながる、など。テーマベース、属性ベースで先生同士がつながっていく。人をつなげることに特化しています。Facebookなどのサービスは既にありますが、これは元々つながっている人がつながるサービスです。面識のない人同士が同じイシューベースでつながっていくというのが、今のSENSEI NOTEのコンセプトです。

―つながる、ことでどのような問題が解決されるのでしょうか。

浅谷 コミュニティを形成することで先生方の孤立を解消できます。具体的にどういった問題を解決するというよりも、解決できるコミュニティが存在するということが何よりの解決策だと考えています。尚、つながるという言葉には2つの意味があります。一つは「先生同士のつながり」、二つ目は「学校と社会のつながり」です。「先生同士のつながり」は先ほど説明した通りですが、「学校と社会のつながり」に込めている意味としては、今、学校が孤立しているという問題があります。保護者、地域、NPOとの関係が大事なのに断絶されている。そこをつなげていきたいと考えています。例えばSENSEI NOTE内でチャンネルというコーナーを設けています。教育関係の大学教授、研究者、NPOの方々が先生向けに特化してコラムを書いています。これは教育関係の方々からのヒアリングを通じて生まれました。研究者の方は現場の方の声を取り入れた研究をしたいけれど、そもそも先生とのつながりがない。NPOはがんばっているけれど、なかなか学校に入っていけない。先生方は日々の業務に追われて中で困ったまま、外に助けを求めることもできない、自分達がやっていることがアカデミックな観点から本当に価値があるのかもわからない。そういった状態が見えてきました。

まずは先生同士のつながりを作っていき、そしてチャンネルを通じて外部の方達とつながり、学校で溢れた仕事を外にアウトソースしていく。孤立している学校がコネクションを持ち、社会で子供を支える仕組みを作っていきたいと考えています。

―SENSEI NOTEのサービスが使われることで、どのように社会は変わっていくでしょうか。

浅谷 先生が活き活きと働ける社会を実現できるようになると信じています。また、社会課題を解決するという意味では、これはSENSEI NOTE単体ではなく会社としてですが先生方に対してポジティブな風が送られるようにしていきたいと考えています。今は何か問題が起きると、教育のせいになってしまうことが多いと感じています。学校への風当たりの強さから、先生方の業務がどんどん増えてきており、頑張っているにも関わらずなかなか報われない構造にあります。そういう頑張っている先生方が尊敬される空気を作っていきたいと思っています。

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