外出することが軍事作戦なみに大変な僕。でもセックスライフについて、以前よりも前向きだ【セックス・ダイアリー第10話】

僕は29歳で、身体が衰弱しやすい慢性疾患に合わせてセックスライフを組み込むことを学んでいる。
Huffpost UK

数週間前にデートに行った時のこと。相手の女性は30分遅刻した。多くの人にとってこれは腹立たしいことだろうが、僕にとっては大きな問題だった。30分ぶんの自分のエネルギーや健康を完全に無駄にしたことになる。家の外で過ごすこの短い時間のために、1日かけて準備しなければならなかったのに。

夜に誰かと会う予定があるとき、特に騒がしい場所で会うときは、僕はその日はそれまで1日中ベッドで休んでおく必要がある。ポッドキャストやオーディオブックを聴いたり、YouTubeを観たりするが、全般的にストレスのかかることは避ける。外出とは僕にとって軍事作戦と同じくらいの大変さだ。

僕はデートアプリを使っているが、相手には自分の慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎)について割とオープンに知らせる。僕の症状は疲労感、身体に力が入らず、足元がふらついてしまうこと、そして認知能力の遅れ(時々言葉を探すのに苦労することがある)だ。以前よりも、物事を行うのにずっと多くの時間がかかる。僕がふつうじゃないことに人々は気づく。

もう2年間もこんな感じだ。以前は僕は完璧に健康で、超アクティブでスポーツもやっていた。1日仕事をしてから夜デートに直行するなどということを週に何度かしても大丈夫だった。そして、1カ月かけて、症状が起こってきた。まったく愉快ではない。

病気になってから僕のセックスライフは、何というか、変な感じになった。以来ずっと独身で、実家で両親と一緒に暮らしていると、誰かと出会うのは大変だ。短い散歩やお茶に出かけることはできるが、ビーチでのんびり長時間のお散歩とか、そんなものを期待されても無理な話だ。

最初はデートアプリが大嫌いだった。最高の休暇の写真を掲げた、若くて健康な人たちを大量に見ることは、精神的な拷問のようだった。僕はただ次々とスワイプしながら、なぜ僕はこんなことをしてるんだろう?と思ったものだ。あるときは、自分のプロフィールに、刑務所から出てきたばかりだと書いてみた。僕の病気のことを伝えたときと比べて、もっと興味をもってもらえるか見てみようと思った。スワイプがずっと増えた。

このことで僕はアプリを捉え直し、もう少し気楽に考えてみることにした。どこにもたどり着かないとしても、おしゃべりしたりミームや共通の関心を共有できるいい人が見つけられれば、誰ともつながらないよりはいい、とを受け入れることになった。もちろん、それが誰かとのセックスにつながったら、それも良しだ。

何人かとなんとかセックスに至ったが、予想したような形ではなかったかもしれない。必ず僕の家の近くで会わないといけないことは制限になった。だって、トレンディなバーで会うこともできるけど、そうしたら僕はおそらく死んでしまう。だから僕の方に来てもらわなければならないし、長居もできない。そして、僕以外の全世界はこのような時間割で動いていないことが明らかになった。

セックスに至ったときも、超精力的にというわけにはいかない。僕にとっては非常に激しい運動になるので、すぐに疲れ果ててしまう。言い換えるなら、セックスはジムに行くようなものだが、僕はジムには行けない。最中ずっと自分の体を支えることが必要になるようなことは少なくしたり、並んで横になりお互いに色々したりする。老人ホームでのセックスみたいな描写だが、それが現実だ。最中ずっと超激しくというわけにはいかないー少し長く時間がかかるかもしれない。

時々、相手と会う前に病気のことを話すが、理不尽なこともある。ある女の子にテキストメッセージで自分の病気について伝えていたにも関わらず、会ってみると彼女は明らかにショックを受けていた。でも別の時には、出会ったばかりの相手とホテルでセックスすることになったから、すべてが悪いわけではない。

僕は、友達の多くがパートナーを見つける年ごろに差し掛かっているー結婚したり、子どもを持ったり、落ち着いたり...。かたや、僕は実家に住んでいる。男友達の多くは常に理解があるわけではなく、僕の状況を配慮せずにパートナーや家庭問題の愚痴を聞かせたりする。僕たちは WhatsApp でグループチャットをやっているが、僕はよく、ああ結構だね、僕は1カ月間家から出ていないけど、君の奥さんがリスボンに行きたがってて腹立たしい話を愚痴ればいいさ、などと思う。

必ずしも結婚したかったわけでもないが、僕が望めばラスベガスに逃げて誰かと結婚することもできるという選択肢を持っておけたらいいのに、と思う。時々 NetFlix のひどいエピソードでカップルがくっつくのを見て応援したりもするが、自分をいじめるのは愚か者のゲームだ。何の解決にもならない。

そして僕は、このことについて以前よりも前向きでいる。1年前に聞かれたら、僕ははるかにネガティブだったと思う。どれくらいの間病気でいるかわからないが、しばらくは続くのだろう。僕は病気のおかげで、物事にずっと感謝するようになった。

セックス・ダイアリーは、ハフポストUK版に読者から無記名で寄せられたセックスに関するストーリー。ハフポストUK版に掲載されたものを、翻訳・編集しています。様々なセックスにまつわるストーリーを通じて、性にまつわる喜びや悩みをオープンに語り合おうという企画です。