女性の人生を「殺して」きたセクハラと日本はどう向き合っていくべきか。「ニューヨークの女王」が語る #MeToo ムーブメント

セクハラがなくなるには、どうすれば良いか。答えは2つあります。

シンディ・ギャロップさん、58歳。

30年以上広告業界の第一線で活躍してきたビジネスコンサルタントで、世界各国の企業に影響力を持つ。「ニューヨークの女王」とも呼ばれるギャロップさんは、2月23日、東京・渋谷で行われたイベント「Mashing Up」のオープニングセッションに登場。世界で起きている#MeTooムーブメントで可視化された「セクシュアル・ハラスメント」(性的嫌がらせ)について、解決への糸口となる向き合い方を語った。

株式会社メディアジーン

セクハラ解決へ企業が真っ先に取り組まなければいけない理由

私は世界中の女性から、辛い状況を告白するメールを日々受け取ります。そこには、「セクハラを受けたので、仕事を辞めます」という一行。

セクハラは、女性の夢や野心を殺し、キャリアをつぶし、能力ある人々を管理職から遠ざけます。業界から女性を結果的に追い出す行為なのです。女性が会社の方向性を決めるポジションにいないことで、平等や多様性を重んじる判断が少なくなります。

しかし、企業にとってより利益を生むためには女性の参画が必須です。セクハラはどの企業にとっても、真っ先に取り組まなければいけない問題です。

① 女性は起業するべき

セクハラがなくなるには、どうすれば良いか。答えは2つあります。

1つは、会社内でジェンダーギャップを少なくすることです。機会の平等が与えられることで男性も女性も働きやすくなるでしょう。男性はもう、「彼女か秘書」という2つの役割で女性を見なくなるでしょう。

しかし、長年日本のビジネス業界を見てきた私はそれがとても難しいこともよく知っています。

もっと簡単な方法があります。起業することです。

起業することで、自分の理想とするオフィス環境に変えられます。セクハラをする上司はいなくなりますし、信頼できる人たちとだけ働くことができます。さらにお金を稼ぐことができるのです。

管理職に女性が増えることや意識改革が進むことを長い間待つ必要は全くありません。起業は、特に日本の女性たちにすすめる解決方法です。ジェンダーギャップがまだまだ埋まりそうにない社会では、自分の理想の会社を作る方がよっぽど手っ取り早いのです。

② もっと性に対する価値観を共有すべき

「あなたが性に関することで大切にしていることは何ですか」。私は、たくさんの人にこの質問をしてきました。しかし、誰も答えられません。答え方や考え方を教わっていないからです。

私たちは、運が良ければ小さい時に親や周囲の大人から「礼儀作法、仕事における倫理観、責任感」について教わります。どれも生きていく上で大切な価値観です。しかし、私たちは「性に対する価値観」は教わっていません。それが何を意味するのかをまずは分からないという人の方が多いようです。

性に対する価値観とは、性的発言や行為に関して、自分はどうしたいのか、どうして欲しいかについて認識することです。誰もが語ることによって、社会の中で一定の認識ができあがります。

共感性、感受性、寛容性、やさしさ、正直さが大切にされてきたように、性に関する行動や価値観も含めてもっと議論されるべきだと思います。そうすることで、相手が何に対して嫌がっているのかわかるようになります。セクハラをなくすためには、性的なことから目をそらすのではなく、より活発に話し合っていくことが大切なのです。

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