PRESENTED BY セールスフォース・ドットコム

LGBTQは「いない」のではなく「見えてない」だけ。多様性を尊重し、声を上げて社会を変える企業の"プライド"とは?

カミングアウトしてもしなくても、LGBTQでもそうでなくても。セールスフォース・ドットコムは、全ての人の平等を目指して歩みを続ける。

リアルの場で集えなくても、パレードを続けよう。プライドは止まらない──。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、リアルな場での開催が中止となった「東京レインボープライド2020」。しかし、社会を変えるアクションを止めてはいけないと、ライブ番組での発信をおこなった企業がある。

「今はできることが限られている状況。だけど、社会は待ってくれないんです」

こう話すのは、LGBTQの平等を目指して活動する、セールスフォース・ドットコム社員コミュニティのリーダーだ。

400人のメンバーで活動する、彼らの精力的な活動の裏にある思いとは?

50年前に始まった、世界の「プライド」

英語で「誇り」という意味を持つ「プライド」という言葉は、性的マイノリティの当事者が差別や偏見に対して「自分たちが胸を張ってLGBTQであると誇りを持って宣言する」概念としても、広く認知されている。

1970年から続く、ニューヨークでのプライド・パレードの様子(写真は2016年)
1970年から続く、ニューヨークでのプライド・パレードの様子(写真は2016年)
Bo Zaunders via Getty Images

世界各地で開催される「プライド・パレード」のきっかけになったとも言われているのが、今か ら50年以上前に起きた事件だ。

性的マイノリティに対するいわれのない差別や偏見、弾圧が横行していた当時のアメリカ。1969年、ニューヨークのあるゲイバーに警察が踏み込み捜査をおこなった際に、同性愛者らが声を上げ反抗した「ストーンウォール事件」が起きた。ニューヨークでは翌年から「プライド・マーチ」がスタート。LGBTQの平等な権利獲得や存在の可視化を目指す運動へと連動していった。

日本では、1994年に国内初のプライド・パレードを実施。これまで、開催できない年がありながらも規模を拡大し続け、現在では代々木公園に20万人が来場する東京プライド(TRP)のほか、北海道、大阪、沖縄など、各地で行われている。

東京レインボープライド2019の様子。企業のブースがひしめき合っているのがわかる。
東京レインボープライド2019の様子。企業のブースがひしめき合っているのがわかる。
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来場者やパレードへの参加者が増えているだけでなく、企業による協賛、出展も年々増えているTRP。今年もさらなる盛り上がりが期待されていただけに、リアルでの開催中止に肩を落とす人は多かっただろう。

そんな中、「今できること」を探し、ライブ番組での発信をおこなった企業がある。顧客情報管理システム(CRM)大手のセールスフォース・ドットコムだ。同社はLGBTQの平等に向けた活動をビジネスの場から推進しており、その中心となっているのが、社員コミュニティ「Outforce」だ。

Outforceには、現在400人超の社員が参加。TRPへの参加や、社内イベントの開催、社外への情報発信やボランティアなどを通して、LGBTQをはじめとする全ての人の“平等”を目指し精力的に活動している。

その原動力とは? グループを牽引する3人のリーダーに聞いた。


ビジネスの場から、LGBTQの平等を

左から、セールスフォース・ドットコムの岡林薫さん、松本絢乃さん、小川絢也さん(記事内では敬称略)
左から、セールスフォース・ドットコムの岡林薫さん、松本絢乃さん、小川絢也さん(記事内では敬称略)
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松本 当社は一人ひとりが働きやすい職場環境のためにも「平等(=Equality)」という価値を大切にしており、社会全体で実現したいと考えています。そのための活動を行う「Equalityグループ」と呼ばれる社内コミュニティがアメリカ本社を中心にいくつもあり、Outforceはその一つ。日本では2017年に立ち上がりました。

小川 私は2017年に中途入社し、日本法人で最初にLGBTQの当事者、ゲイであることをオープンにしました。こういう人間が身近にいることでみんなの理解が深まればと、Outforceに参加することにしました。

松本 小川の思いを知り、当事者に寄り添う存在であるAlly(アライ)として私も活動に加わりました。そもそも私が当社に入社希望したきっかけの一つが、「平等」という価値なんです。

大学時代を過ごしたアメリカではLGBTQの友人も多く、それが当たり前でした。でも日本ではLGBTQへの理解はまだまだで、無意識な差別、ハラスメントにつながることも多いと知って...すごくショックでした。身近に当事者がいるからこそできることをしようと、Outforceの一員になりました。

岡林 私は15歳の頃からレズビアンであることをオープンにしています。家族や友人、同僚など、自分の周りの人がLGBTQへの理解を深めるきっかけにはなれたかもしれませんが、社会を変えるためにはもっと大きなインパクトが必要だと思っていました。

そんな時に縁あってOutforceの存在を知り、「自分のやりたいことがビジネスの場でできるなんて最高!」と思ったのが入社の経緯です。入社直前にはセールスフォースの社員と一緒にTRP2018のパレードに参加して、その盛り上がりに驚きました。

TRP2019のパレードの様子。Outforceを中心に、写真やその家族、友人など200人以上が集まったという
TRP2019のパレードの様子。Outforceを中心に、写真やその家族、友人など200人以上が集まったという
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松本 当時は社員有志50人ほどでパレードに行きましたが、昨年は初めて会社として協賛し、ブースやパレードに参加した人数は社員とその家族や友人も含め、200人に上りました。
当社は
「ビジネスこそが世界を変えるプラットフォーム」と掲げており、事業で得た利益や資源を社会に還元していきたいと考えています。LGBTQの平等を実現するためにも、TRPの場で当社の活動や思いを発信することは念願だったので、協賛できたことはとてもうれしかったですね。

小川 私は個人的に、2010年頃からTRPの前身である「東京プライドパレード」に参加してきましたが、近年の盛り上がりは本当に素晴らしいと思います。参加者もですが、ビジネスのパワーもすごいんです。

当初はNPOやNGOなどがメインでしたが、最近は企業の出展が年々増えています。LGBTQをはじめ、ダイバーシティへの理解を深め、全ての人が働きやすい環境を作ることが、ビジネスの成長にもつながると考える企業が増えていることを実感しますね。

存在を「知る」ことが、何かのきっかけに

松本 年に一度の祭典、TRPは社内でもすごく盛り上がるタイミングですが、日々の取り組みも大切にしています。

社内では、LGBTQの存在を身近に感じてもらい、理解を深め、アライを増やす活動をしています。まずは「LGBTQって?プライドって?」という説明会からスタートしました。カミングアウト経験のある社員がパーソナルストーリーを語るイベント「カミングアウト・デイ」に参加してOutforceのメンバーになった社員も多くいます。

私自身がそうだったように、身近に当事者がいるからわかること、何かの行動のきっかけになることがすごくたくさんあるんです。

岡林 小川や私はオープンにしていますが、カミングアウトしたくない、あるいはいろいろな事情でカミングアウトできない人もたくさんいます。私たちが最終的に目指すのは、カミングアウトしてもしなくても、LGBTQでもそうでなくても、すべての人が平等に、自分らしく暮らせる社会の実現です。

それぞれの自宅から参加してもらったオンライン取材。画面越しにも、Outforceメンバーの仲の良さとポジティブな雰囲気がうかがえた。
それぞれの自宅から参加してもらったオンライン取材。画面越しにも、Outforceメンバーの仲の良さとポジティブな雰囲気がうかがえた。
YASUHIRO SUZUKI

小川 LGBTQコミュニティを持つ企業もたくさんあって、よく情報交換をしています。最近では「うちも社員グループを盛り上げたいんだけど...」という企業のサポートさせていただく機会も増えました。

また、従業員の就業時間、製品、株式それぞれの1%を社会貢献に充てる当社の「1-1-1モデル」を活用し、LGBTQを支援するNPOやNGO団体の活動サポートもしています。

岡林 社内の“制度”は整っているのに“パワー”が足りないケースが多いなと感じます。制度はあるのに、それが形骸化してしまっていることも。当社はありがたいことに社員のパワーはすごくある。けれども、制度面ではまだまだこれからです。だからこそ、社外の方々とお互いの状況や課題を共有することで、ヒントを提供し合えますよね。

できることが限られていても、社会は待ってくれない

松本 Outforceも立ち上げ当初は模索しながらでしたが、今は知見やパワーも増え、社外に向けてアクションしていく段階かなと思っています。TRPはそういう場としても重要なので今年は本当に残念ですが、皆さんの安全で健康な生活を1日も早く取り戻すことが何よりも大切。

しかし、だからと言って歩みを止めるわけにはいかないと思い、Twitterライブ番組「ハフポストLIVE 」で発信することにしました。今はできることが限られているけれど、社会は待ってくれないし、今こうしている時にも苦しんだり悩んだりしている人がいるかもしれないですから。

4月26日に配信したハフポストLIVEの一コマ。「#パレードを続けよう」のハッシュタグで、Twitterからコメントや意見④寄せられた。
4月26日に配信したハフポストLIVEの一コマ。「#パレードを続けよう」のハッシュタグで、Twitterからコメントや意見④寄せられた。
HUFFPOST JAPAN

岡林 社会へのインパクトを大きくするためにも、私たちの活動を支持してくれるメンバーやアライがまだまだ必要です。私の所属は人事部門なので、その知見も生かしながら、会社の制度や福利厚生にOutforceから変化を与えていくことが目標かな。

小川 LGBTQって、「いない」のではなくて「見えてない」んです。誰もが「違う」ことを容認するだけではなく、互いを寛容に尊重できる会社、社会のためにも、LGBTQの存在に対する無知から生まれる偏見や差別を無くすことが、私たちにできることだと思っています。

松本 「平等」って、多様性を広げ、信頼し、認め合うこと。それが実現されると、社員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境になるし、結果的に企業としての成功、そしてお客様やパートナー様、社外の成功にも繋がっていく。「ビジネスこそが世界を変えるプラットフォーム」として、社会を変えるパワーになれたらうれしいです。

◇◇◇

LGBTQという言葉は広く知られるようになったが、関心や理解が必ずしも比例しているわけではないのが現状だ。

今、私たちにできることは限られているかもしれない。しかし、「関心をもつ」「知る」という一歩が、社会を変える大きなパワーにつながることを、ぜひ多くの人に知ってほしい。
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