高級住宅地に突如現れる緑の館「みどり荘」は、新鋭クリエイターが集結する夢のシェアオフィスだった!

都内の高級住宅地を歩いていると、突如目の前に現れるド迫力の家屋。蔦に覆われたこの建物は、「みどり荘」というシェアオフィスです(関係者は、『ワークスペース』と呼んでいるそうです)。新鋭クリエイターを中心に、複数の企業や個人事業主が入居しています。

食事を通して、話題のあのチームの素顔を引き出したい...!そんな思いで取材している「チームめし!」。今回の舞台は「みどり荘」です。

こちらに入居するメンバーが毎週火曜日に行っている定例ランチにお邪魔してきました。都内の高級住宅街に突如現れる緑の館、蔦が絡まるインパクト大の外観。その実態はなんと、新鋭クリエイターやスタートアップのベンチャーが集結するシェアオフィスでした。

■ IDEE創業者に投資銀行出身...。個性豊かなみどり荘の立ち上げメンバー

都内の高級住宅地を歩いていると、突如目の前に現れるド迫力の家屋。蔦に覆われたこの建物は、「みどり荘」というシェアオフィスです(関係者は、『ワークスペース』と呼んでいるそうです)。新鋭クリエイターを中心に、複数の企業や個人事業主が入居しています。

この不思議で、温みにあふれる「みどり荘」を立ち上げ、運営しているのは、「Mirai Institute」というインディペンデントシンクタンクに所属する個性豊かな4名。

デザイン性の高さで多くのファンを抱える家具ブランド「IDÉE(イデー)」の創業者 黒崎輝男さんと、黒崎さんの個人事務所に所属している大矢知史さん、投資銀行出身の小柴美保さん、カルフォルニアから日本に来てインターナショナルスクールの校長をしていたジョナサンさんです。

大矢さんに、みどり荘を立ち上げた経緯について聞きました。

「『Mirai Institute』は元々お金だけの物差しではなく、デザインやクリエイティブの力で、どこまで世の中を変えていけるかについてリサーチして動いていく機関として立ち上がりました。そのモデルケースとしてまずは働く場所を自分たちの手で作ろうと、みどり荘のプロジェクトが始まったのです。」

イメージしたのは「ピカピカではない物件」。ピッタリの家屋を探している中で見つけたのがこの建物でした。見た目は廃墟でも、実際には住人が...。その時の様子を、小柴さんは次のように言います。

「見つけてくれたのは、現在の入居者の一人、インテリアデザイナーの山田さんです。電気メーターが回っていることを確認したので『人が住んでいるんだ!これは交渉しなきゃ』とドアをノックしたら、すごい風貌の方が出てきて...(笑)。それから私たちの交渉がはじまりました。」

この大家さんは、ご自身で高級マンションにしようと考えていたそうなんですが、リーマンショックを機にストップしてしまい、気づいたら野生の蔦とゴミだらけの屋敷へと変貌を遂げてしまったそう。大家さんも引き続き1階で暮らす事、自分たちの手でゴミの処理とリノベーションを行う事などを条件に、交渉は成立しました。

そして同じ思いを持った仲間が集まり、業者の力は借りず自分たちで掃除、ペンキ塗りなどを行う大がかりなリノベーションがスタート。半年かけてようやくオフィスとして使えるまでになりました。

■ 毎週火曜日は共有スペースのラウンジでランチの日。入居者以外もぞろぞろと...

「みどり荘」という名前は、建物に絡まった蔦、そしてトキワ荘のように、入居する新鋭クリエイターをはじめとしたそれぞれのプロフェッショナルたちが成功し、次々と巣立って行くようにという思いが込められてつけられました。

そのためみどり荘の契約は次の場所へ行きやすいように、年間ではなく"月単位"での更新です。入居するためには必ず面接を通過しなくてはいけませんが、それはみどり荘が単なるシェアオフィスではなく、そこに集まった人たちのコミュニケーションから何かが生まれてほしいという思いがあるからです。

現在入居をしているのは、フリーランスのインテリアデザイナー・寺田ヤスシさんや、海外進出支援のポータルサイト「Digima~出島~」を運営しているWebベンチャーの(株)Resorz、米国社会企業のChange.org、青山のファーマーズマーケットや表参道の246commonを運営しているメディアサーフなどなど。

個人、企業問わず数多くの方が入居し、固定席は全て埋まってしまうほどの人気ぶりです。(ちなみにフリースペースはまだ空きがあるようです!)

それぞれ、入居を決めた理由を伺いました。

「ここに来るまでは自宅で仕事をしていたんですが、もっと人とコミュニケーションがとれて、かつインプットもアウトプットもできるような環境に身を置きたいと、シェアオフィスを探していたんです。運営者の黒崎さんとは知り合いだったこともあり見学に来てみたら、ここの温かさや、入居している人同士の隔たりの無さを見て一発で気に入ってしまって。皆本当に仲が良く、常に笑い声が絶えません。そんな雰囲気がいいですね」。(寺田 ヤスシさん)

「代表の兒嶋が近所に住んでいて、いったいこの建物は何だろう?と、ずっと気になっていたようで、黒崎さんの手がけるシェアオフィスのプロジェクトと聞き、即座に決定しました。代表は面白い事が大好きなので、ここに来たら、新しいスタイルで働けそうだと直感が働いたのだと思います。」(株式会社Resorz 広報 高島 優季さん)

みどり荘では毎週火曜日、メンバーが共有スペースであるラウンジに集まって食事を食べるランチ会が開催されています。

本日のランチは、表参道の「246COMMON」(飲食店が立ち並ぶスペース)に出店する「サンシャイングロウン」のケータリング。目玉商品の産地直送野菜をふんだんに使った美味しい料理が並びます。火曜日のこのランチは一人600円。こうした美味しいランチを定期的に頂けるとは、羨ましい限りです。

ランチ会に参加している顔ぶれは、現在のメンバーから、すでに別のところに移られている方、それに友達や仕事仲間まで。中には、入居経験はないけれどみどり荘の立ち上げに関わったという学生や、海外から遊びにきている外国人クリエイターもいました。関係者と顔見知りであれば、基本的には誰でも参加OKというオープンなランチ会です。

■ 2014年1月、入居メンバーで作ったガイドブックが完成予定!

みどり荘の方々とお話をしていると、至るところでクリエイター精神が感じられます。

例えば電気―もともとみどり荘は民家だったので、電力は一般住居分しかありません。そのため人がたくさん入居し、電力を使うと停電を引き起こす事もあるそうです。しかし集まっている人は仕事をしにきているので、これでは困る...ということで、クラウドファンディングを使ってソーラーデスクを作る事を計画。それを実行に移し、75万円の資金調達に成功しました。ソーラーデスクを設置すれば、パソコン10台分くらいの電力をまかなえます。

また仕事でのつながりもどんどん生まれており、近々とある商品を発売予定とのこと。それは、ポートランドのガイドブックです。

「いわゆる世間一般的なガイドブックというより、もう少し地元の人たちの目線に近い本です。230ページくらいの超大作になる予定なんですよ(笑)」と大矢さん。

ケータリング先も入居メンバーも随時募集中!ということなので、興味ある方はぜひコンタクトをとってみてくださいね。

(2014年1月15日「サイボウズ式」より転載)

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