2021年06月07日 16時45分 JST | 更新 2021年06月07日 16時45分 JST

犬山紙子さん「ニート」と自虐した20代の6年間。仕事、結婚…プレッシャーを乗り越える方法は? #SKII

「従う人生から抜け出したい」と願った子ども時代、夢を追い葛藤した20代。イラストエッセイストの犬山紙子さんが、前田マヒナ、リウ・シアンらアスリートのプレッシャーとの戦いを描いたSK-IIのアニメ「VSシリーズ」を、自らの経験に重ねながらレビュー。仕事、結婚、出産…プレッシャーを克服する方法とは? #CHANGEDESTINY

「もっと成果を出さなければ」「結婚はまだ?」多くの人が、社会的プレッシャーを抱える現代。エッセイスト、コメンテーターなどとして活躍する犬山紙子さんも、20代の6年間、作家として芽が出ず「ニート」と自虐する焦りの日々を送っていた。

「こうあるべきだ」というルールの押し付けや「ルッキズム(外見至上主義)」「SNS上の誹謗中傷」…。様々なプレッシャーに晒された現代において、活躍の幅を広げられた理由とは? 仕事、結婚、出産といったプレッシャーと、その乗り越え方を、SK-IIのアニメ「VSシリーズ」を読み解きながら聞いた。

Kaori Nishida
犬山紙子(いぬやま・かみこ)さん:イラストエッセイスト。大学卒業後、仙台の出版社に就職。2011年、エッセイストとしてデビュー。以後、雑誌、テレビなどで幅広く活躍し、児童虐待防止などにも取り組む。主著に『アドバイスかと思ったら呪いだった。』『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』など。

■従う人生から抜け出したい。子ども時代の願い

━━ 子ども時代はどんな思いを抱いていましたか?

少女漫画雑誌の『りぼん』とか『なかよし』を読みながら、素敵な作品を仕事として世に送り出している女性漫画家さんに憧れていました。「女性は男性に助けられて幸せになる」というおとぎ話にばかり触れていたので、そうではない女性像に惹かれて。例えば武内直子さんの『セーラームーン』の主人公たちは、自分で戦っていた。主体性を持った女の子の物語が好きで、いつか自分も描きたいなと。

Kaori Nishida

それに80〜90年代、「女の人は台所で料理、男の人は居間で楽しく飲食」という構図を何度も見てきました。「子ども時代は親に、大人になれば男性に…従い続けるのは嫌だなあ」と思っていました。

■6年間「ニート」と自虐した20代

とはいえ、順調にエッセイスト・デビューできたわけでは決してなくて。20歳の時に、母の難病が発覚。就職した地元の出版社を1年半で退職し、6年間介護に専念しました。ギックリ腰を何回も経験し、ヘルパーさんが来てくれるようになるまでは、夜も排泄介助などでぐっすり眠れない日々でした。 

Kaori Nishida

そんな中でも、漫画家・エッセイストになりたいという夢は諦めず、制作を続けていたんです。でも、出版社に持ち込んでも全然だめで。徐々に卑屈になって、自分のことを「ニート」と呼ぶようになりました。

母を介護することに喜びはありましたし、今思えばニート=悪じゃない。他の介護者にも失礼でした。でも、夢を叶えられず、自分でお金さえ稼げていないという葛藤ばかりで。友達のSNSの「会社に行った」という一言さえも苦しい日々でした。

Kaori Nishida

■「自分を認めていいのかな」書籍化で生活は変わったけど…

━━ その後、2011年に女性たちのリアルな恋愛事情を描いたブログがSNSで話題に。書籍化され、テレビなどでも活躍されるようになっていきます。当時の心境は?

とにかく嬉しくて、「ちょっとだけ自分を認めていいのかな」という気持ちが初めて湧きましたね。

Kaori Nishida

同時に、本が1冊出ると、今度は次が出せるか不安になる。「痛い女キャラ」として消費されていく自分を目の当たりにして、「本当の私は違う」「でも自分が悪い」と泣きながら電車の改札を通ったことも。私の発言が分断を招いたり、誰かを傷つけたりしている可能性に気付き、反省もしました。

それに、当時29歳。「条件を落として男性を選ばないとダメだよ」「子どもを産むんだったら焦ったほうがいいよ」などのクソバイス(犬山さんの造語:クソみたいなアドバイス)を挨拶のように受け、モヤモヤしていました。

仕事、結婚、出産…今も昔も、プレッシャーの嵐。一児の母になったら「2人目は産まないの?」とかね。

Kaori Nishida

■トップアスリートも、私たちも同じ

━━ ずっとプレッシャーに晒され続けてきたんですね。「社会のプレッシャー」をテーマに、前田マヒナ、リウ・シアン選手らアスリートの戦いを描いたSK-IIのアニメ作品「VSシリーズ」が話題を集めています。作品をどう捉えましたか。

超人のように見える彼女たちも、私たちと同じ悩みを持つ一人の人間なんだなと、とても共感を覚えました。

Kaori Nishida
「VSルール」。「カテゴライズされた経験は、アスリートでなくても、きっとあるはず。今の私は『ママ』、その前は『アラサー独身女性』。『私だって人間なのですが』と苦しくなるんです」(犬山さん)

前田マヒナ選手の「VSルール」では、「大声はいけません」「走ってはなりません」とか、美しさのためこうあるべきだというルールをたくさん課せられる。私自身も、こういった言葉が窮屈だった一人です。そして、今母親として「ママはこうでなくちゃいけない」というルールがまだまだあると痛感しています。今4歳の女の子を育てているので、こんなルールが再生産されるのかと思ったら苦しくて。

Kaori Nishida
VSルール

でも作品の後半、めちゃくちゃ格好よかったですよね。自分の意志で運命をつかみ取り、自分のルールを決めて、その姿を見せつける。子どもにも観てもらいたいなと思いました。

 「VSルックス」では、「美しすぎるスイマー」として、中国のリウ・シアン選手がアスリートとしての成績ではなく「外見」で評価されています。私たちも「仕事の話をしているのに外見の評価を伝えられる」そんな経験がありますよね。それはたとえ褒める文脈でも、失礼なこと。

「いいね」のハートが追いかけてくる描写も印象的でした。「いいね」は本来嬉しいことだけれど、ルッキズム(外見至上主義)という鎧をまとうと、ズシンと重いだろうなと。ルッキズムでいうと、この作品群のアニメは、細くしたり、白くしたり、デフォルメがされていない。選手たちの外見をリアルに描くことが徹底されていて、素晴らしいと思いました。

「VSアンチ」はアメリカの体操選手シモーン・バイルスが受けた誹謗中傷がテーマですが、「彼女を一人で戦わせてはダメだ」と、見ていて本当に苦しくなりました。「魅力的ってマジで言ってる?」など、ひどい言葉が匿名で無責任に投げかけられます。私自身、誹謗中傷をされ、ネット上に自分の名前が出てくることが怖くなることもありました。

「何を言っても大丈夫、有名税でしょ」「表に出ることを選んだ人の自己責任」と捉えられがちですが、それは危険な考え。みんな一人の人間なんです。

全作品を通して、個人の勇気に頼るのではなくて、社会で手を取り合ってバックアップしていきたいと強く思いました。出演したアスリートたちにも、多くの支援者やファンが、物語の先にいるはずです。だからこそ今、その場に立ち続けられるのかもしれない。

■プレッシャーの克服方法は「孤独にならず、手を繋ぐこと」

Kaori Nishida

 プレッシャーに晒されて「一歩踏み出せない。私は駄目な人間だ」と思い込んでしまっている人もいるでしょう。でも、そんなの当たり前。それほどまでに圧は強いんですもの。私の場合、「女性は男性を立てなければいけない、男性に評価されなくてはいけない」という呪いをやっとブロックできるようになりました。年齢とともに知性も経験もつき、周囲の人に助けられたおかげです。

Kaori Nishida

プレッシャーの克服には、まず「孤独にならない」ことが大事。信頼できる友人に話をしてみるとか、よい作品に触れてみるとか、いろんな人と手を繋ぎ、新たな知見を得ること。すると、プレッシャーの正体が見えてきて、ちょっとずつ強くなれる。女性も男性も選択肢をもっと広げ、生きやすい世界をつくれたら。作品を観て、そう思いました。

SK-IIは、2015年から「#CHANGEDESTINY(運命を、変えよう。)」キャンペーンを通して、女性が自らの運命を切り拓く後押しをしてきました。アスリートたちがプレッシャーを乗り越える姿を描いたアニメ「VSシリーズ」は、こちら

さらに、SK-IIのホームページでは、東京の街並みに着想を得たバーチャルシティ「SK-II City」がオープン。ここでは「VSシリーズ」全6作品を鑑賞したり、「SK-II STUDIO」の舞台裏をのぞいたりすることができます。こちらもぜひご覧ください。

撮影:西田香織