「やっぱり自分でやらなきゃ」ネットメディア記者が介護ベンチャーを起業。その背景は?

介護版スキルシェアサービス「スケッター」を立ち上げた鈴木亮平さんが、介護ビジネスへの危機感を語る。
鈴木亮平さん
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HUFFPOST JAPAN

鈴木亮平さんは3年前、25歳の時にインターネットメディアの記者をしながら、介護ベンチャーを立ち上げた。それが、介護版スキルシェアサービス「Sketter(スケッター)」を運営する株式会社プラスロボだ。

介護現場を訪れるなかで、「介護以外の業務」が現場の負担となっていることを知った。スケッターは、そんな現場と、資格や経験はないが介護の現場で働きたい人をオンラインで結びつけるサービスだ。ちょっとした「すきま時間」に働けることも特徴。

たとえ介護に関心があっても、就職するかしないかという究極の二択になるとすごくハードルが高い。でもスケッターでは、一旦ゆるい関わりでそこに貢献するとか、自分のできるところだけでそこに関わるとか、そういう介護への関わり方ができます

介護の人手不足を、介護の「外」にいる人を巻き込んで解消しようという試みだ。

■介護ビジネスの人手不足への危機感が背景に

鈴木亮平さん
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介護領域で起業したというと、「家族の介護を経験したの?」とか「おばあちゃん子だったの?」とよく訊かれるそうだが、そういう訳ではないという。

起業のきっかけは、介護ビジネスの人手不足への危機感だった。

僕が衝撃的だったのは、学生の時とかは『いつかなんとかなるだろう』って思っていたものが、何の決定的な解決策も見出されぬまま、本格的な高齢化時代に突入しようとしていることでした。しかも、地球温暖化と同じように、じわじわとくるから社会の危機感もそんなになくて

そんな問題意識から記者として介護ビジネスを取材するなかで、介護領域には「全く新しい視点でゼロから市場の構造や流れを変えるような」介護ベンチャーがほとんどないことを知った。

「『介護は儲かりにくい』というのが背景にあります。でも、そんな業界だからこそ、外から起業家が入り込んでビジネスの視点でどんどん切り込んでいかないと課題を解決できないと感じました。記者をしていても、『やっぱり自分でやらなきゃな』っていうのが心の中にずっとあって…。」

鈴木さんは、起業に踏み切った理由をさらに語る。

どんなサービスもお金を払う価値があるなら意味があります。でも、あってもなくても社会が一応は成り立つサービスに、どのくらい自分が命をかけられるかという話になると…僕は辛いことがあったらやめてしまうと思うんですよね。

介護の人手不足は人の生死に関わる問題。起業するなら、自分がそこに全部を投入できると思うほど、自分が本当に解決したい課題に注力したいというのがありました

「高校生が放課後、介護施設に寄ってちょっと働いて帰る」そんな風に、学生から大人まで地域全体で介護を「広く・ゆるく」支える未来を目指す。

これまでブラックボックスになりがちだった介護現場をどんどんオープンにしたい」鈴木さんは意気込みを語った。

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