早稲田大学の教室とバングラデシュのストリートチルドレンをSkype(ビデオ通話)で繋いでみた!--挑戦する若者たち

伝えるという行為を通して途上国の現状を知ってほしい。その為の架け橋に私たちがなりたい。そして、自分たちと同じ志を持つ仲間たちを増やしたい。

国際労働機関(ILO)が世界的に展開する「レッドカード to 児童労働」キャンペーンの一コマ。後ろのスクリーンにはバングラデシュのストリートチルドレンたち(photo by バングラデシュ国際協力隊)

"バングラデシュの首都ダッカでは、親元を離れて暮らすストリートチルドレンが33万人以上いる。"

大学2年当時、この言葉にどこか焦りを感じてしまった私は、友人と共に学生NGOバングラデシュ国際協力隊を立ち上げ、その3か月後には現地バングラデシュへ足を運んでいた。

2014年9月、バングラデシュ首都ダッカにてストリートチルドレンの子ども達と(photo by バングラデシュ国際協力隊)

何も無いゼロの状態から始まった学生NGOの活動。沢山の葛藤やぶつかり合い、紆余曲折を経ながらも、これまで様々な取り組みを行ってきた。その中で最も印象に残っているうちの一つが、昨年6月12日に行った早稲田大学公開講座「ストリートチルドレンを見つめて~児童労働反対世界デーに~」

机上の勉強だけではなく、実際に現地へ足を運ぶからこそ、痛いほど感じる途上国の問題がある。そして日本、それも恵まれた環境で育ってきた私たちだからこそ、そこと途上国との間にある「格差」を感じてしまう。

学校にも通わず、1日100円以下の収入で暮らすストリートチルドレンたち(photo by バングラデシュ国際協力隊)

だからこそ、伝えるという行為を通して途上国の現状を知ってほしい。その為の架け橋に私たちがなりたい。そして、自分たちと同じ志を持つ仲間たちを増やしたい。そんな自分たちの想いを体現する一つの手段として、早稲田大学での公開講座を行った(参加者約80名)。

同じ学生だからこそ、伝えられる。

第一部では、当時バングラデシュ国際協力隊の代表を務めていた原が「ストリートチルドレン問題に関する講義」を行う。

自分が現地で感じた想いを届けられるように、情熱を込めて(photo by バングラデシュ国際協力隊)

ストリートチルドレンの定義やその数だけではなく、これまで私たちがバングラデシュでどのような子供たちに出会ってきたか。自分たちが現地で撮影した写真を使いながら、冷たい頭熱い心で伝えていく。

参加者の学生は、皆真剣な眼差しで話を聞いてくれる。同じ学生という立場だからこそ、伝わるものがある。伝えられるものがある。

国境を越えて、「今」の時間を共有した。

そしていよいよ、バングラデシュのストリートチルドレンとSkype(ビデオ通話)を使って交流する。

早稲田大学の大きなスクリーンに、青空教室(外で行われる非公式の学校)にいるストリートチルドレンの顔が映る。

「繋がった。」

早稲田大学の学生と、アジア最貧国とも言われるバングラデシュの、それも路上で暮らすストリートチルドレンが繋がった。

当時バングラデシュに留学していた日本人学生の方から協力を得て、今回の取り組みが実現した。通訳も行ってもらった(photo by バングラデシュ国際協力隊)

受講生からストリートチルドレンの子供に質問が飛ぶ。

「お名前と年齢を教えて下さい。」

「僕はシュモンです。12歳です。」

「毎日どうやって生活しているんですか?」

「僕は毎日新聞配達の仕事をしてお金を稼いでいます。」

「将来の夢は何ですか?」

「独立したい。何でも自分一人で出来るようになりたい。

何人かの学生が微笑しながら下を向く。笑

ストリートチルドレンの子ども達(photo by バングラデシュ国際協力隊)

二人目のストリートチルドレンへ質問が飛ぶ。

「お名前と年齢を教えて下さい。」

「ルマンです。12歳です。」

「毎日どうやって生活していますか?」

「毎日お店でお茶を造る仕事の手伝いをしてお金を稼いでいます。」

「将来の夢は何ですか?」

「大きくなったら、いつか両親の元に帰りたい。」

会場の雰囲気が、どことなく冷たくなる。でもこれは、バングラデシュ、とりわけストリートチルドレンでは当たり前の側面でもある。

当日の様子(photo by バングラデシュ国際協力隊)

3つ目の質問が学生から飛ぶ。

「みんなは今幸せですか?」

「僕たちは幸せです!今、日本の皆さんと話していてすごく楽しい!」

「みんなにとって大切なことは何ですか?」

勉強することです。」

またしても、何人かの学生が微笑しながら下を向く。笑

最後は、ストリートチルドレンの方から日本の学生に質問が来る。

「みんなここ(バングラデシュ)に来てくれる?」

「ぜひ行きます!」

「飛行機で来るんだよ!」

会場が笑いに包まれる。

そして交流の終わりに、国際労働機関(ILO)が世界的に展開する「レッドカード to 児童労働」キャンペーンを行い、写真を撮影した。

参加した学生の声

●「初めてストリートチルドレンと顔を合わせた。僕の人生にとってすごく大きな経験。今までの中で、一番記憶に残る学生団体です。」

●「こんなに有意義な90分はなかなかありません。Skypeを使った交流の時、彼らの言葉一つ一つが衝撃でした。」

●「Skypeを使ったことで、ストリートチルドレンと"今"の時間を共有できたことがとても印象に残りました。参加して本当に良かった。」

●「知らなければならないことはこの世界に沢山ある。私は何も知らなくて、知らない自分が悔しいと思いました。」

同じ志を持つ仲間を増やしたい。

この世界には山ほどの問題が存在する。

いじめ・不登校・格差・ストリートチルドレン問題・児童労働・貧困・難民・子ども兵・虐殺...。数え始めればキリがない。

当たり前のことだが、私たちだけでそれらの問題全てに取り組むことは出来ない。だからこそ、自分たちと同じような志を持ち、「国際協力」や「社会貢献」の世界で活躍する仲間を増やしたい。

きっかけは何だってかまわない。だけど、これから進路を決めていく若者だからこそ、そしてこれからの未来を担う若者だからこそ、皆で「志」を分かち合いたい。

そんなことを改めて感じさせてくれる、素晴らしい90分間だった。

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"世界の不条理"を真剣に見つめ、考え、そして今の私たちが出来る"真の国際協力"を一緒に追い求めてみませんか。

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記事執筆者:原貫太

(2016年4月11日 原貫太ブログ「拝啓 美しくも不条理な世界へ」より転載)

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