ソフトバンクが分割払い6万件超を誤って滞納扱い、クレジット審査等に影響。半年公表せず

ソフトバンクモバイルは、スマートフォンやタブレット端末を分割払いで購入する際の支払い状況について、6万3133件ものユーザー信用情報を誤登録し、きちんと支払っているにも関わらず、信用情報照会機関に未払いの滞納者と登録していました。

ソフトバンクモバイルは、スマートフォンやタブレット端末を分割払いで購入する際の支払い状況について、6万3133件ものユーザー信用情報を誤登録し、きちんと支払っているにも関わらず、信用情報照会機関に未払いの滞納者と登録していました。

信用情報とは、個人の分割払いの支払い能力を示すもので、クレジット契約のみならず、家や車など人生を左右する大きな買い物の支払い能力調査などに使われる大事な個人情報の1つ。ソフトバンクは2013年3月に報告を受け事態を把握する一方、10月1日まで監督官庁以外に公表していませんでした。なお、9月30日には孫正義社長が登場し、新商品発表会を開催したばかり

ケータイ分割払いの仕組み

スマートフォンやタブレットの購入時、ソフトバンクに限らず、ドコモやauなど各社で気軽に分割払いが選択可能です。毎月の割引などもあるため、「見かけ上」端末代金を安く見せられます。見せかけの値頃感を携帯各社は、「実質価格」などと呼称し、本質的な価格から目をそらすことに成功している状況と言えます。

しかし、気軽に組めるこうした分割払いは、その実、しっかりと信用情報照会機関にデータが提供されており、分割払いの支払いが滞れば、信用情報に傷が付く場合があります。これにより、例えば若い頃に踏み倒した携帯電話の分割払い代金によって、家を購入するなど、人生の買い物をする際の住宅ローンが組めない場合もある、といったことが考えられます。

誤登録は6万件超、信用情報照会被害者は1.6万件超

ソフトバンクは、分割払いの支払い状況を誤って登録し、きちんと支払っているユーザーの情報 6万3133件分を、未払いのユーザーであるとしました。この情報は、信用情報機関(シー・アイ・シーおよび日本信用情報機構)に届けられ、1万6827件、誤った未払いユーザーとして信用情報が照会されました。

ユーザーによって状況は異なりますが、最大で3カ月分、支払いが滞っているとして、クレジットカードやローンの審査に落ちた可能性があります。

信用情報の照会があった1万6827件の誤情報のうち、1万5782件分は2012年12月18日〜2013年3月22日の期間に「未払い」と登録されました。2013年3月にユーザーからの申告で事態を把握したソフトバンクは、2013年3月末で情報を修正し、正しい情報に書き直しました。

しかしその後、過去に渡ってあらためて調査した結果、さらに1045件の誤登録情報が見つかります。支払っているのに未払い扱いされた被害者は、古いもので2009年10月8日、新しいもので2013年8月6日でした。

原因は人為的なもの、2回設定ミス

ソフトバンクでは、支払い状況の誤登録の原因について、「弊社システムの不具合」と説明しています。しかし広報担当者にその詳細を問うと、それがソフトバンク内部の人為的な設定ミスであることがわかりました。

また、人為的なミスが1度だけではなかったこともわかりました。支払い状況を管理するプログラムは同じ内容のものが複数あり、1万5782件分の誤登録と、その後に見つかった1045件の誤登録で、合計2回、同じように設定を誤っています。

該当ユーザーに詫び状、経産省には報告済み。一般公表は発表会後

なお、信用情報が照会された1万6827件のユーザーには、すでに詫び状が送付されているとのこと。この詫び状によって、ソフトバンクのせいで審査が下りなかったのではないか? と問い合わせがあったのは12件です。

またソフトバンクは、2回の設定ミスがあったことについて、支払い関連の監督官庁にあたる経済産業省に報告を済ませています。

しかし、マスコミ各社や一般への公表は、10月1日まで控えていました。

ソフトバンクは個人情報にあたる信用情報を6万件以上、誤って登録。修正は完了しているものの、支払い能力のあるユーザーを未払いのユーザーとして扱いました。情報を照会する企業によって、未払いのユーザーをどのように審査するかは違うため、照会があった1万6827件の全員に影響があったとも、全員に影響がなかったとも言えません。

9月30日のソフトバンクの冬春モデル発表会では、孫正義社長が自らプレゼンテーションを行いました。この中で孫社長は、総務省に報告すべき通信の重大な事故は850日以上ない、と強くアピールしています。

しかし、ソフトバンクは経産省に報告すべきことがありました。今回の誤登録について、昨日の発表会では何も明らかにせず、孫社長からの謝罪のメッセージもありませんでした。

広報担当者によれば、9月末に発表できる情報が整い、10月1日午前中に発表したとのこと。それならば9月末の発表会でも代表者自ら報告できたはずで、その場でメディア関係者から内容を問う声もあったはず。そのことを担当者にぶつけると、「ご指摘はごもっともだと思う」と言葉が返ってきました。

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