「そうだ会議」「スタバ」など

安全保障法制の論議が衆院特別委員会で始まりました。

石破 茂 です。

安全保障法制の論議が衆院特別委員会で始まりました。

この種の論議は、賛否の別はともかく、基本的な事項に関する理解の共有がないままでは擦れ違いの議論が続くことになりかねません。

一部では、「集団的自衛権の行使→米国の戦争に巻き込まれる→侵略戦争への加担」という図式が描かれているようですが、「戦争」はそもそも国際法上違法とされているのですから、論ぜられるべきは「国際的に一般的とされる自衛権行使と我が国における自衛権行使との相違」などのはずであって、このような図式は最初から当てはまりません。

また、抑止力とリスクの関係についても「誰に(何に)対する、誰の(何の)、どのような抑止力やリスクなのか」を明確にした質疑を期待するものです。

岸内閣以来、日本が外交の基本方針としている「国連中心主義」との関係についても今後論じられることになるかもしれませんが、その際には、

・ 米国など(当初はソビエトも)大国の一部が参加しなかった国際連盟の失敗の教訓から、拒否権を持つ常任理事国の存在を認めて初めて国連が発足に至ったこと

・ 常任理事国である大国の拒否権行使により国連が機能しない場合に備えて、あえて集団的自衛権を国連憲章に規定し、今日に至っていること

・ 自衛権の行使(憲章第51条)、軍事制裁(憲章第42条)の例外を除き、「戦争」は違法化されているのであり、「戦争ができる国」という概念自体がそもそも存在しないこと

等々、国連の沿革や本質に関する理解を共有しないと、噛み合った議論にならないのではないかと思っております。

個々の論点には今後とも政府として誠実にお答えしていきますが、その根本にある「日本をどのような国にしようとするのか」についても、深い議論が行われることを希望します。

一昨日の衆議院地方創生委員会において、民主党の逢坂誠二委員より「今回の安全保障法制は立憲主義に反するのではないか」との質問がありました。

法案の具体的な内容に関することは私の所管外ですのでお答えしませんでしたが、憲法そのものに関するお尋ねでしたので、「立憲主義とは権力が市民の権利を侵すことが無いよう、権力側を拘束するものであるという概念ですが、同時に権力を分立させることにより権力側の恣意を防ぐという機構の存在もその本質なのであって、現に国会でこの議論が行われていること自体、立憲主義の具現化そのものなのではないでしょうか」と、日頃思っていることを国務大臣として答弁致しました。

逢坂委員は極めて理性的な方ですので、議論をこれ以上続けることはされませんでしたが、「戦争法案だ」「立憲主義に反する」等との否定的な立場からのご主張には、引き続き一つ一つ丁寧に政府・与党としてお答えしていく必要があると思っております。

地方創生関連法案は本日の特別委員会で賛成多数をもって可決され、来週衆院本会議の議決を経て参院に送付される見通しです。

残念ながら民主党などの全面的な賛成は得られませんでしたが、概ね良い議論がなされたように思います。今後の参議院での審議にも、心して臨みたいと思います。

27日水曜日、日本商工会議所の三村会頭を議長とする「そうだ、地方で暮らそう国民会議」が発足しました。

民間人の方を政府にお招きして開催するこの種の会議は、時間的な制約もあって一人の発言は極めて短く、事前に用意されたものを読み上げるだけ、という会議が多いのですが、昨日は三村議長の見事な運びもあって、とても面白くて充実した時間となりました。各議員の発言はとても興味深く示唆に富むものでしたので、何とかこれを多くの方々に共有していただけるよう、早急に工夫したいと思っています。

スターバックスが全国でただ一県のみ無かった鳥取県に一号店が出店し、千人近い人が開店前に並んだことが大きく報ぜられました。

平井鳥取県知事の「鳥取にはスタバは無いが砂場はある」との発言で妙に有名になりましたが、別に鳥取県民がコーヒー嫌いなわけではなく、県庁所在地別コーヒー消費量(平成23~25年)では京都市に続いて第二位という、むしろコーヒー好きの県民なのに、なぜ今までスタバが無かったのか不思議といえば不思議なことです。

全国標準、画一的なお店ではなく、それぞれに個性的な喫茶店が多く存在していたことが影響したのかもしれません(人口当たりの喫茶店数では全国第10位)。我々が中高生くらいの頃、鳥取には全国チェーンのお店は無くても、独特のコーヒー店やピザ屋さんがあったのですが、今はほとんど無くなってしまい、なんだか寂しいような気も致します。

週末30日は地元鳥取で自民党街頭演説会(倉吉会場・西倉吉町満菜館前・午前10時、鳥取会場・鳥取駅前・午後1時)、BSSテレビ「日本のちから」の収録。

31日日曜日は毎年恒例の「大学は美味しい!」フェア(新宿高島屋)、地方居住推進フォーラムにて講演と弘兼憲史氏との対談(午後1時半・東京ミッドタウン)、日本地方地域政治学会での講演(午後4時・玉川大学)、という日程です。

真夏日が異例の二日連続となった今週の東京でした。来週からはもう六月、早いものですね。

皆様お元気でお過ごしくださいませ。

(2015年5月29日 「石破茂ブログ」より転載)

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