「自分は変われる」プロレスからボディービルまで。LiLiCo流カラダとの向き合いかた

好評連載 第9回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
Yuko Kawashima

スウェーデンと日本と、ふたつのアイデンティティーを持つタレントのLiLiCoさん。本連載では、世間を騒がすイシューからプライベートの話題までホンネで語り尽くします。

今回のテーマは「カラダとの向き合い方」。

プロレスラーとしてリングに立ったり、ボディービルの大会で入賞したり、フルマラソンを完走したり……。LiLiCoさんは今まで、どんなモチベーションでスポーツに挑戦してきたのでしょうか?

プロレスに挑戦した理由、さまざまなスポーツを通して発見した自分のカラダのこと、そしてこれから挑戦したいことについてもお聞きしました。

体を動かす目的は“ピンピンコロリ”!

Yuko Kawashima

今まで、プロレスにボディービル、マラソンと、さまざまなスポーツに挑戦してきました。

「LiLiCoって何になりたいの?」なんて言う人もいるけど、私はただやってみたいことにチャレンジしてきただけ。

スウェーデンでは、大人も子どもも日常的に運動をする習慣があります。なかでもスキーやスケートは、できなかったらスウェーデン人として認めてもらえないくらい盛ん。

小学校の体育でも、ガッツリとスポーツをするんですよ。サッカーやバレーボール、バスケットボールみたいな競技だけじゃなくて、自転車も学校に警察が来て、きちんとした乗り方やルールを教えてくれるの。

今もいろいろなスポーツに挑戦するのは、その延長。体を動かしたら気持ちがいいし、その日は体が軽くて快適に過ごせます。太りやすいので調整するためでもある(笑)。

一番の目的は、“ピンピンコロリ”!

長生きしたいし、死ぬ日まで自分の足で歩いていたい。おばあちゃんになったときに薬と病院の話ばっかりしていたくない。健康でいたいの。アスリートでいるためではないんですよ。今でも、もうすぐ50歳のわりには元気です。

トレーニングを重ねてプロレスに挑戦

Yuko Kawashima

プロレスをやってみたいなと思ったのは、20年ぐらい前。

最初に私からアプローチしたのは、タレントが出場する団体でした。ただ無名な時代だったので入団はかなわなくて、知名度をつけてからまたチャレンジしようと思っていたら、つぶれちゃったの。

それから15年ぐらいして、2014年に舞い込んだのが、(プロレス団体)DDTプロレスリングからのリングアナのオファー! その縁で代表の高木さんに「実は私も闘いたい」と打ち明けることができて、2015年にリングデビューすることができたんです。

両国国技館でのデビュー戦では、プロレスラーの宮武俊さんとタッグを組んで、大石真翔(まこと)さん、アジャ・コングさんと対戦しました。

タレント扱いされるのは嫌だったから、0からトレーニングして体を作って挑んだんです。

観客席が「どうせタレントでしょ」ってムードなのはわかっていました。でも逆に燃えて、いきなりドロップキックから始めたら、みんなびっくりして身を乗り出したの! 「おおっ」って会場が小さくなるのを感じた。

その瞬間、アドレナリンが出てきて、蹴ったり飛んだり、止まらなくなっちゃったね。相手が相手だけに負けてしまったんですけど、プロレスには一度やるとやめられない快感があった。

自分に合っていたんだと思う。引退試合でもいいから、今でもやりたいぐらいよ。

44歳、ボディービルが与えてくれた「自信」

Yuko Kawashima

テレビ番組の企画でボディービルに挑戦したのは、ちょうどプロレスデビューを目指してトレーニングをしていたとき。

当時、私は44歳。周囲の女性たちと「30代を過ぎると体がたるんじゃう」なんて言っていたけど、「ここまで鍛えてきたし、44歳でも体は作れるのかやってみよう」ってチャレンジしてみることにしたの。

はじめの2カ月はまったく変わらなかった。でも、2カ月過ぎたある日、腕に力こぶがあることに気づいたんだよね。

そこからは、体が変わっていくのが楽しくて楽しくて! 週5日ジムに通って、ささみとワカメをひたすら食べて、プロテインを飲んで……。

結果、フィットネス・ビキニ部門の35歳以上163cm以上の部で日本5位になれたんです。

出場者のなかで、本格的なトレーニング経験がなかったのは自分だけ。日本のトップ5に肩を並べられたことで、「私は変われたんだ!」って自信になりました。

Yuko Kawashima

大会に出たことで、自分の思わぬ特技に気づくこともできました。

まず、ピンヒールが好きだからピンヒールで美しく歩けること。大会では舞台でピンヒールを履いてウォーキングするんですが、私は普段から毎日12cmヒールを履いて歩いているから、他の人よりきれいに歩けていたと思う。

それから、自分をよく見せるメイクがうまいこと(笑)。つけまつげひとつとっても、扱いに慣れているから、他の人よりも自然につけられるんですよ。普段からテレビに出たり、人前で話したりしているから、臆せずLiLiCoらしさをアピールすることができたんだと思います。

母の気持ちを知りたくてマラソンにチャレンジ

Yuko Kawashima

子どものときは、マラソンする人たちを見ても「ただ走るだけで何が楽しいの?」って思っていました。

私がランニングの奥深さを知ったのは、2012年からナレーションを担当している『ラン×スマ』(NHK)のおかげ。2017年には、初めてフルマラソンにも挑戦しました。

フルを走りたくなった一番のきっかけは、母が親しんだスポーツだったから。

母には、朝、起きたら、どんな天気でも必ず窓を開けて、太陽を浴びて、走る習慣があったんです。マラソンレースにもたびたび参加していました。

生前、あんまり仲が良くなかった母。でも2012年に母が亡くなった後、彼女の気持ちを知るためにいくつか同じことをしてみたいと考えるようになったの。

Yuko Kawashima

いざ42.195キロに挑んでみたら、3キロで膝が痛くなって走れなくなってしまって……。実は、ずっと「もう二度とこんなことしたくない」って思いながら走っていました。

なのに残り3キロの地点から、がんばって走って、ゴールした瞬間、泣けてきたんですよ。

あんまりにも気持ちがよくて! 母もこんな気持ちでゴールしていたのかなと思ったら、うれしくて、感極まってしまったんです。

以来、マラソンは私にとってより大切なものになりました。

大事なのは、日常的なストレッチとちょっとしたトレーニング

Yuko Kawashima

運動には、自分のカラダを知ることができるメリットがありますよね。

私のスポーツ歴を見て、「私には無理」って感じた人もいるはず。でも、安心して。どんなスポーツ、フィットネスをするかは、自分のカラダと相談して決めればいいの。

仕事と一緒で、「みんなと同じ」ではうまくいかないのよ。

例えば、私は今流行ってるHIIT(高強度インターバルトレーニング)が大の苦手。番組で挑戦したら、具合が悪くなってしまって、「これはできないな」と思った。

やってみて合わなさそうなら、別のものにチャレンジすればいいんですよ。運動は続けることが重要だからね。

それに、健康のために大事なのは、日常的なストレッチとちょっとしたトレーニング。私も普段はハードにトレーニングしているわけじゃないのよ。

例えば、コーヒーメーカーのボタンを押して、カップがいっぱいになるまでのあいだ、本気で肩回しをする。スーパーで買い物をしたら、帰り道はエコバッグを持ち上げて少し浮かせて持つ。電車のなかでは座席に座らず、両足に均等に体重をかけて、骨盤を安定させて立つ。

そういう小さな積み重ねが、大きな効果を生むんですよ。

Yuko Kawashima

筋肉は約2カ月で生まれ変わるといわれているから、今から始めればだれでも筋肉を強くすることはできるのよ。

もし体重を落としたいなら、私のオススメはジョギングよりウォーキング。

私だったら、朝4キロと夜6キロ。姿勢を正して、一歩一歩かかとからつま先までしっかり使って、腕を振って歩きます。

トレーニングは裏切らないのよ。

このセリフ、私も以前は「ナルシストがよく言うやつね」って思ってました(笑)。でも、ボディービルを経験して、考えが変わった。だって、40歳を超えてからもジムでハードにトレーニングしたら、きれいな体になったんですから。

いつかポールダンスに挑戦したい!

Yuko Kawashima

今、私が一番やってみたいのはポールダンス! 全身の筋肉を使うから、ボロボロになると思うんですけど、挑戦してみたい。音楽に乗せて楽しく鍛えられるなんて、最高じゃない?

やってみたいと本気で考え始めたのは、2013年。マイケル・ジャクソンの音楽をもとにしたシルク・ドゥ・ソレイユの公演「マイケル・ジャクソン:ザ・イモータル・ワールドツアー」を観たときのことでした。

楽曲「dangerous」に合わせて、見たことのない変わった形のポールを使って、女性がポールダンスをしていたの。それがすごくかっこよくて!

映画『ハスラーズ』(2019/アメリカ)では、ジェニファー・ロペスが50歳でポールダンサーの役を見事に演じきったでしょう?

さらにその後、アメリカでは60代の人もポールダンスのコンテストに出ているというのを知ってビックリ! 「私だって、遅くないじゃん」って。

今すぐは無理かも知れないけれど、いつか挑戦するのが楽しみ!

外でのびのび体を動かせるようになったら、新しいスポーツにチャレンジする機会にするといいかも。家でストレッチしながら、何をしてみたいか、自分なりに考えてみてね!

(聞き手:有馬ゆえ 写真:川しまゆうこ 編集:笹川かおり)