東京都が「ゼロエミッション東京戦略」を策定、気候危機の認識と行動を宣言

小池都知事「今後10年間の取り組みは極めて重要」
小池百合子都知事(27日、都庁での定例記者会見)
小池百合子都知事(27日、都庁での定例記者会見)
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東京都は新たに「ゼロエミッション東京戦略」と「気候危機行動宣言」を策定した。小池百合子都知事が27日、定例記者会見で発表した。都はかねて「ゼロエミッション東京の実現」を公表していたが、今回初めてビジョンや具体的な取り組み内容、ロードマップを示し、「気候危機を強く認識するだけでなく、具体的な対策を講じる」と危機感を露わにした。小池都知事は環境課題について「東京都は大消費地。姿勢を明確に打ち出すことが必要だという責任を感じながら行動を進める」と話した。(サステナブル・ブランド ジャパン=沖本啓一)

2019年最後の定例記者会見の後半、小池都知事は「今年1年間を振り返ると台風などの災害が激しく、気候変動の影響はすでに身近な生活に及んでいる」と言及し、5月に打ち出したCO2実質排出ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京の実現」の具体的な内容やロードマップを盛り込んだ「ゼロエミッション東京戦略」を発表した。この戦略をもって「気候危機行動宣言」とするという。

「気候非常事態宣言(CED)」は世界で1400以上の自治体や団体、機関に広がり、国内では10月に長崎県壱岐市が宣言して以来7つの地方自治体が宣言し、波及の予兆を見せている。今回、東京都が出したのはCEDではなく独自の宣言だ。小池都知事は「危機感を表明して訴えるだけではなく、行動が必要。危機を宣言するだけではなく、具体的な対策を講じるため」と説明した。

この宣言を含む「ゼロエミッション東京戦略」は「緩和策と適応策の総合的な展開」「資源利用に伴うと害のCO2削減に貢献」「省エネ、再エネなどあらゆる分野の取り組みを進化・加速する」というコンセプトがあり、「エネルギーセクター」「都市インフラセクター」など6分野・14施策を体系化。2050年までのゴールとロードマップを示した。

小池都知事は「今後10年間の取り組みは極めて重要」とし、特に「化石燃料から脱炭素エネルギーへの転換は不可欠だ。再エネ由来のCO2フリー水素を脱炭素社会実現の柱にする」と強調。「重要なのは行動。東京都は一大消費地として、姿勢を明確に打ち出す必要があるという責任を感じながら、行動を進める」と話す。

都はCEDより一歩踏み込んだ内容を発表し、姿勢を示した。2020年、東京都に追従して気候危機を認識する自治体がますます増えると言われる。そのとき、踏み込んで行動までの議論ができていなかったとしても、まずは「姿勢を示す」ことができるCEDはこれまで同様に自治体の選択肢のひとつだ。まずは率先して市民に認識を拡げることが期待されており、次に着実に行動として実行することが求められている。

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