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「子連れ出勤」を小さな常識に。導入起業を100社に増やすため立ち上がったベンチャー企業

自社が実践する「子連れ出勤」について情報発信し、それを推奨する企業を100社に増やしていこうというプロジェクトが始まった。
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体験型ギフトの企画・販売を手がけるソウ・エクスペリエンスが「『子連れ出勤』100社プロジェクト」という新たな取り組みを始めた。自社が実践する「子連れ出勤」について情報発信し、子連れ出勤OKの企業を100社に増やしていこうというもの。なぜ、そのようなプロジェクトを開始するのだろうか?その背景にある思いを聞いた。

目指すは「子連れ出勤」導入100社!

体験カタログ・チケットの企画・販売を手がけるソウ・エクスペリエンス株式会社が「『子連れ出勤』100社プロジェクト」を始めた。見学会やコーポレートサイトでの情報発信を通して、自社が実践する「子連れ出勤」制度を紹介し、「子連れ出勤」導入企業を100社に増やすことを目指す。

「『子連れ出勤』100社プロジェクト」を兼務する中井裕子さん

プロジェクトを担当する中井裕子さんは、自身も子連れ出勤の経験者であり、12月には第二子を出産予定。5月の第一回目の見学会には、ソウ・エクスペリエンスのオフィスに溢れんばかりの人が集まった。参加者の反響もよく既に手応えを感じ始めている、と中井さんは語る。

体験型ギフトを手がけるソウ・エクスペリエンスが、なぜ「子連れ出勤」を社会に広めていこうとするのか。このプロジェクトにかける思いを、代表の西村琢さん、プロジェクトリーダーの中井裕子さんに聞いた。

もともと自社でスタートした「子連れ出勤」

― 「『子連れ出勤』100社プロジェクト」という新たな取り組みを始めたとのことですが、どのような経緯があったのでしょうか?

西村:

「子連れ出勤」自体は、もともと2年前、自社内の取り組みとしてスタートしたんです。「よし、やるぞ」と意気込んで始めたというより、必要に迫られて......という感じで。

妊娠した社員がいたのですが、ベンチャーなので日々目の前のことで精一杯で、「子どもが産まれたらどうする」ということを全然考えられていませんでした。いざ産まれてから、「抜けてもらっちゃ困る、どうしよう」ということになって。増員も多少していましたが、それでも彼女は重要な戦力だったんです。だから「子どもを職場に連れてきてもいいからぜひ働いてくれないか」とお願いしました。それが「子連れ出勤」の始まりです。

自社で2年くらいやっていくうちに、「子連れ出勤」に興味を持ってくれる会社も増えたのだけど、具体的な一歩が踏み出せない会社が多いなと感じて。

"Good Experience, Good life."というスローガンを掲げている当社としては、「楽しそうだね、いいね」と思ってもらうだけではダメで、実際に体験してもらいたいと思いました。それでこのプロジェクトを始めることにしたんです。

ソウ・エクスペリエンス代表 西村琢さん

『子連れ出勤』のメリット・デメリット

― もともとは自社内の制度だったんですね。「子連れ出勤」を実際にやられていて、良かったなと感じるのはどのようなことですか?

中井:

職場があたたかく活気のある良い雰囲気になりましたね。それから子どもにとっても、人見知りしなくなる、コミュニケーションが増えるという点でプラスだと感じます。会社に来れば親以外の大人と接して言葉に接する量も増えるので、自分が教えてない言葉を子どもがいきなり話し始める、なんてことも。

西村:

子どもがいない社員にとっても、子どもと接するいい機会なんじゃないかなと思います。今の社会では、自分に子どもがいなかったらなかなか接する機会がないですよね。こうして一日一緒にいるといろいろなことが分かるし、それがすごくいいんじゃないかなと思います。子どもってやっぱりかわいいなと思う人いれば、苦手だなと思う人もいて、それはそれでいいと思う。いずれにせよ子どもがどういう存在か分かるのは決して悪いことじゃないと思います。

中井:

採用面でのメリットもあります。ギフトの梱包・発送作業や、お客様や取引先との電話対応といった業務では、一定の社会人経験があって細やかな対応ができる女性の力が非常に力になる。出産をきっかけに仕事を辞めたけれども、やっぱりもう一度働きたいと思っている女性は少なくありません。そういう方を採用しやすくなったのが良かったなと思います。

― お子さんが職場にいることで、トラブルになったことなどはないのでしょうか?

中井:

私が子連れ出勤をしていたとき、エンジニアが作業していたパソコンの電源を子どもがぷつっと抜いてしまったことがあって。あのときはすごくひやっとしました。たまたま重要な作業をしていなかったので、大問題にはならずに済みましたが。それ以来、電源・スイッチ類を段ボールで覆い隠すなど、工夫をしています。コードやスイッチの場所って普段はあまり気にとめませんが、意外と子どもの目線にあったりするんです。

他にも環境面には注意を払っています。机の角を梱包材でくくって、頭を打たないようにしたり、子どもスペースだけは土足禁止にしてカーペットにして、転んでも痛くないようにしてあげたり。

社内につくられたソウ・エクスペリエンスのワークスペース。

子どもを遊ばせながら、お母さんは作業ができるよう、工夫がされている。

西村:

今年5月にオフィスを移転したタイミングで、仕切りを設けて子ども連れスペースと分けるようにしましたね。それまでは全部のオフィスを子どもがかけずり回っていたのですが、さすがに取引先とのシリアスな電話のときなどは困るよね、という話が出て。簡単な仕切りを作ったら、子どもたちも理解したのか、決められたスペースの中で遊んでくれています。

中井:

仕事の効率という面では、子どもの世話に時間とられて少し効率下がるというのは確かにあります。でも、ゼロや半分になるわけじゃなく7、8割くらいはできるなという印象です。また私自身は、週に1、2日は家族に子どもを預けられる日を作って、「この日は集中して仕事をする日」などメリハリをつけるようにしていました。

子連れ出勤を始めた当初、シッターを職場におくことも検討したのですが、今のところは、スタッフみんなの協力でなんとかなっています。基本的には母親が目の端で子どもをみながら仕事できるようにしていますし、子どもをあやすのがすごく上手な社員が活躍してくれたりして。子どもも、若いお兄さんお姉さんと遊ぶのが楽しいみたいです。

興味や関心を追求し、それが仕事になればとてもハッピー

― もともと必要に迫られて始めたというお話がありましたが、リスクを考えて躊躇したりということはなかったのでしょうか。お話を伺っていると、すごく自然体で「子連れ出勤」を実現されているという印象を受けるのですが......。

西村:

根本的に、私が公私混同の人間なんですよね。あまり仕事と私生活を区別したくなくて。そういう価値観の延長上に、「子どもを職場に連れてきてもいいんじゃない?」という感覚がある。

仕事観としても、自分の興味や関心を追求してそれが仕事になればとてもハッピーだなと思っていて。そして、そういう人の比率が世の中に少しでも高まっていったらいいなと思っています。

「子連れ出勤」って、何も特別なことをする必要はないんですよ。ちょっとした工夫と、やってみようという気持ちの変化だけで良くて。自分も2人の子どもがいるので、子連れ出勤ができたら楽ですし、自分が直感的に判断したことって、結局は非常に理にかなっているのかなと。

― このプロジェクトは、ゆくゆくは「体験型ギフト」のビジネスにつなげようという考えなのですか?どのようなシナジーを狙っているのでしょうか。

西村:

これを体験型ギフトにして売ろうといったことは、今のところ考えていないですね。このプロジェクトをきっかけに当社を知った人が、ギフトを買ってくれたりしたら、それは嬉しいなと思いますが。

そもそもソウ・エクスペリエンスは「いい経験を人々に提供する」という使命をもった会社です。さまざまな「経験」の中でも、「仕事」って最も大事な経験の一つじゃないかと思うんですよね。1日の中で一番時間が長いし、それ以上に、大人の自尊心に与える影響が非常に大きい。誇りをもって仕事できているかどうかって、とても大事なことです。

「いい経験がいい人生だよね」といっている会社が、いい「働く経験」を提供できていないと説得力にかけますよね。少しでもそこに嘘があってはいけないと思う。だから、まず当社のスタッフ全員が誇りと自尊心をもって仕事をできるようにしたい。

それから、会社そのもののファンを増やしたいなという気持ちがありますね。これから当社もいろいろな新しいサービスをやっていくだろうと思います。今、体験ギフトそのものを売る、という利益にこだわるのではなく、当社を好きになってくれる人を増やしたい。

人手が足りなくて困っている会社がある、働きたいけど働けなくて困っている人がる、そんな状況を解決するのが「子連れ出勤」。もちろん、保育園が増えて子どもを預けられればそれが一番シンプルだと思いますよ。

でも、もう一つの選択肢、小さな解決策として定番になればいいなと。みんなの頭の隅に、「そういうのもありだよね」っていう"小さな常識"になったらいいなと思うんです。

せっかく、自社でやってみたら「意外といいよ」ということが分かったので。このプロジェクトを通して、「子連れ出勤」ができる会社が1社から100社に増えていく。それによって、「いい体験」をする人が世の中に少しでも増えたら、それは私たちにとってもハッピーなことだな、と思います。

― どうもありがとうございました。この取り組みがどんどん社会に広がっていくことを期待しています。

[取材・構成] 白石勝也 [文] 柳澤明郁

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