あの人のことば
2019年04月06日 11時28分 JST

厳しい両親に育てられ、“愛情偏差値49”だった湘南乃風・SHOCK EYEさんが、笑顔で子育てできるようになるまで

最近親との関係に悩んでいる若い人がとても多いなと感じているので、僕が話すことでそういう人たちを勇気づけられたらと思いました。

撮影:川上尚見
湘南乃風のSHOCK EYEさん

母親から「あなたのことは、かわいくなかった」と言われたら、どんな気持ちになりますか?

厳しいしつけの一方で、自分のことを理解してくれようとしない親…。

幼少期に感じた思いは、大人になっても、簡単には消えるものではありません。

4月5日に著書『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』を発売したレゲエグループ・湘南乃風のSHOCK EYE(ショックアイ)さんも、幼少期に親との関係に悩んだ一人です。

自身の子ども時代や、二児の親になってから気づいたこと、ショックアイさん流子育て術について聞きました。

 

親の理想の子ども像にはまっていなかった

 

――今回、ご著書の中で、つらい子ども時代について初めて語ったそうですね。

読者の方にとってあまり楽しい話ではないかもしれないけれど、最近親との関係に悩んでいる若い人がとても多いなと感じているので、僕が話すことでそういう人たちを勇気づけられたらと思いました。

 

――とても躾の厳しいお家だったようですが。

僕の家は、現在の奈良県にあった高取藩の初代藩主・植村氏の末裔で、武士の家系です。その影響もあってか、両親の育て方はとても厳しかったですね。幼稚園のときは、父と母のことを「お父様、お母様」と呼ばなくてはいけなかったし、食事のときに肘をついていたからと父親が僕の顔をテーブル打ち付けて、お皿が割れたこともありました。その時の傷は、まだ残っています。

 

――ショックアイさんは3人兄弟の真ん中ですが、お兄さん、弟さんも同じように育てられたのですか?

武士の家系だったからか長男が偉いという雰囲気があって、親は僕だけに厳しくあたっていた印象があります。これは自分が親になって気づいたことだけれど、子どもが複数いると、その子のキャラクターによって、「言いやすい子」と「言いにくい子」が出てきてしまうものなんだと思う。それこそ、母親と息子の関係においては、男としてタイプか、そうじゃないかというのも影響ゼロではないんじゃないですか?

そういう意味で、1歳年上の兄は大人しくて優しい性格だったから、あまり強く言えなかったのかもしれない。子どもの頃からそんなに丈夫じゃなくて、母は心配してよく面倒をみていましたしね。そして5歳下の弟は、小さいからかわいがられる。 

その点、僕は体も丈夫で元気があり余っていたから、強く言っても大丈夫だと思われていたのでしょう。その上、自分でこうだと思い込んだら、曲げない子だったから、怒られる数も飛び抜けて多かった。きっと親には「こうあってほしい」という理想の子ども像があって、僕はそこにハマっていなかったんだと思います。

 

――子どもの頃の出来事で、思い出に残っていることはありますか?

そういう家だったせいか、家族の思い出みたいなものがとても少ないんですよね。だからね、子どもの頃の写真を見るじゃないですか? 全部ふてくされた顔をしたものしか残ってないんですよ。ニコッと笑っている写真が皆無。

そうだ、僕、中学受験をして合格したのに家族から祝ってもらえなかったんです。その前の年に同じように中学受験をした兄が落ちたから、母が「お兄ちゃんが落ちているから、お祝いするのは控えましょう」と。お祝いだけじゃなく「受かったことを家で話題にするのはやめましょう」と言って。

3年間勉強して、やっと合格したのに…。すごく淋しかったな。大人になった今でも「あのとき褒めてもらえなかったな」と思い出して、悲しい気持ちになることが時々あります。

でもひとつ、今でも覚えているいい思い出があります。小学生の時、上野動物園に連れて行ってもらった帰りに父親が、牛丼の「吉野家」に連れて行ってくれたんです。「お母さんに内緒だぞ」って。それがとても美味しくて。日本一美味しいと思った。

 

――少し大きくなってからも、家族との関係はあまり変わらなかったのですか?

そうですね。そういう家が好きになれなくて、16、17歳くらいから、ちょっと素行も悪くなってしまい、家に帰らなくなりました。好きな音楽と出合って、いい仲間にも出会って、音楽をやっていきたいと思っていても、親は応援してくれなかった。

大切なものがある場所が自分の居場所じゃないですか。そう思ったら、自然と家を避けるようになってしまったんです。

だから、こうして今、好きな音楽の仕事ができて、結婚して子どももいて、充実した生活を送っているけど、親に対して「ありがとう」と思う気持ちは正直、持てない。自分は自分の力で、そして仲間と一緒にここまで来たという思いがあるから。 

撮影:川上尚見
インタビューを受ける湘南乃風のSHOCK EYEさん

 自分がされたことが、無意識に悪い癖として身についている

 

――とてもつらい子ども時代、青春時代を過ごしたんですね。

いや、でもね、実は当時は、つらいと思っていなかったと思います。それが当たり前だったから。何をしても褒めてもらえないし、認めてもらえなかったから、諦めていた。

 大人になったある日のこと、酒に酔った母に「あなたのことは、かわいくなかった」と言われたことがあるんですよ。父は「お前、何を言ってるの?」と焦っていたけど、僕はあまりショックじゃなかった。ずっと兄弟の中で優劣をつけられていると感じていたから「ああ、やっぱりな」と思っただけ。

 でもそんな子ども時代を過ごしたおかげで、とても心が強くなりました。音楽で認められなくても、全然へこたれません(笑)。

 ただ、20代で妻に出会って、彼女の家族と接するなかで「もしかして、僕の家は少し偏っていたのかもしれない」と思うようにはなりました。子どもの頃に家族で旅行に行った回数とか、誕生日の祝い方とかが僕の家と彼女の家では全然違う。

相手が喜ぶことを思いつくのが、とても上手だし、僕がそれまでの人生でまったく知らなかった家族のかたちがそこにありました。彼女と彼女の両親は「愛の実力」というか「愛情偏差値」がすごく高いんですよ。だから妻との出会いを機に、自分の人生を変えようと思うようになりました。 

 

――具体的に、どんな風に変えていこうと思ったんですか?

子どもが生まれたことも大きな転機になっていて、自分の子どもの頃とは、違う家庭を作ろうと思って。妻が子どもに接している様子を見ていると、自分がしてもらったことがないことばかりだから、それを真似したりしています。

どんな父親になりたいかもすごく考えたし、子どもの喜ぶことってなんだろう?と自分なりに知恵を絞ったりしています。ふてくされた表情の写真しか残っていない僕とは違って、笑顔いっぱいに育ってほしいですから。

もちろん仕事で疲れてイライラしている時に、両親が僕にしたみたいに頭ごなしに叱ってしまったり、吐き捨てるような言い方をしてしまうこともある。子どもの頃、あんなにイヤだったのに、自分がされたことが無意識のうちに悪い癖として身についてしまってるんだと思います。

そんな時はすごく自己嫌悪になるけれど、妻が「いまの言い方じゃ、伝わらないよ」と注意してくれるんです。自分の感情に任せて八つ当たりすると、いつも優しく指摘してくれて、本当にありがたいと思っています。

 

――結婚して、子どもが生まれたことでご両親との関係に変化が起きたりはしましたか?

結婚して間もない頃は、妻が僕と実家を繋げてくれて、実家に帰る頻度が増えたこともありました。でも、僕の両親が孫に接するのをみていると、忘れていた自分の子ども時代を思い出してしまう。例えば、子どもがちょっと走り回ると、いきなり「走り回らない!」と怒ったりするんです。

 僕はおじいちゃん、おばあちゃんにはニコニコ、優しくいてほしいなと思っているから、「怒るのは僕がするから、ちょっと待って」とお願いしたりね。

 きっと母は自分が3人の息子を、しかも忙しい父親には頼らず、今でいう“ワンオペ”で育て上げた自信があるから、僕の家族にいろいろと口を出したくなるのだろうけど、母の方針は僕のやり方にはフィットしない。だから実家に行っても結局、僕が怒って帰ってきてしまいます。

 

子どもの人生は子どものもの。親の理想は押しつけない

 

――ご自身の子ども時代の経験から、子育てで気をつけていることはありますか?

1つは強制しないこと。強制せずに、自由に育てて、何かあったら親である僕が責任を取ると決めています。親としては、子どもが人生に失敗しないように、安全な道を進ませようと、「あれしなさい」「これはしちゃダメ」と子どもを抑えつけがちになる。でも何が失敗で、何が成功なのかわからないですよね。親自身がその答えをわかっていないのに、失敗させないようにレールを敷いて、そのために本人がしたくないことを強制するのって、本当に幸せなの? と思うから。

そして、期待しすぎないこと。子どもに期待をして、それに応えないから、親は怒るわけですよね。でもそれは親自身が「こうなりたかった」という理想を子どもに押し付けているだけだと思う。子どもの人生は子どものものだから、本人が健やかで、幸せだと思っているなら、それでいいじゃないですか。

だから僕、子どもに勉強しなさいと言ったことないんですよ。そしたら長男がこの間「うちの親は勉強しろって言わないからな、困ったよ」とか言っちゃって。

 

――息子さんは、お父さん大好きなんでしょうね、きっと。

自分が子どもの時は、大人なんて信用できないと思っていた。でも、数は少なかったけれど、自分の話を聞いてくれる大人と出会って、救われたんです。だから、僕は子どもの話を聞ける大人でありたいなと思っています。だから、子どもがはまっているゲームには一緒にはまってみます。長男の同級生なんかも、自分と同じゲームをしてくれる大人なんていないから、僕が珍しいらしくて、しょっちゅう一緒にゲームしようと言われます。学校に行くと、子どもたちに囲まれるし(笑)。

そう、今回出した『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』という本の中にも書いた通り、僕、神社が好きなので、息子と一緒によく行くんです。僕がしているのを見よう見まねで、息子も二礼二拍手一礼ができるんですよ。子どもって手を叩くのが好きて、時々間違えたりもしていますけど。

御朱印も集めていて「全部集めたらご褒美あげる」と言ったら、「今日はどこ行く?」と自分から聞いてくるようになった。僕の趣味だけれど、子どもと一緒に楽しんで、思い出が残っていけばいいな。

 

――先ほど、妻は「愛情偏差値が高い」とおっしゃっていましたが、ショックアイさんの偏差値は、今どれくらいでしょう?

妻が偏差値70だとしたら、彼女と出会った頃の僕は49くらいだったと思う。そうだな、今の僕は58くらいかな。偏差値70なんて東大に行けるクラスだし、元々持っているセンスが違うから、僕はそこまでは無理かもしれない。走り込みがちょっと足りないと。すぐ偏差値下がっちゃうし。一進一退だけど、少しずつ上げていけたらいいですね、愛情偏差値。

講談社提供
占い師・ゲッターズ飯田氏に「歩くパワースポット」と呼ばれてから、全国の神社へ参拝するようになり、SNSで写真をあげていたところ、待ち受け画面にすると運気がアップするという噂がテレビなどでも取り上げられ話題にな湘南乃風のSHOCK EYEさん。著書『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』が発売中

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