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2019年04月10日 08時00分 JST | 更新 2019年04月10日 08時27分 JST

グルメ本編集長が教える、新しい店の見つけ方。基本は口コミだけど、もっと大切なのは…

「新しいお店はどうやって見つけるのですか?」とよく聞かれます。僕はまだインターネットが普及していない時代から20年以上お店を探し続けています。

wanessa-p via Getty Images
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「新しいお店はどうやって見つけるのですか?」
グルメ本の編集長をしていると、この質問は本当によくいただきますが、確かにとても知りたいことですよね。
僕は20年以上お店を探し続けていますが、まだインターネットが普及していない時代は、建設中の工事現場のプレートを見たり、求人情報誌などをチェックしたりしていました。「ニューオープンにつきアルバイト募集!」という、あれです。その点、今は調べようと思えばスマホやPCに情報があふれているから楽ですよね。


マニアックな飲食店検索サイトの使い方

 

一方で、検索で出てこなければ、その店は存在しないのと一緒、という恐ろしい現実もあり、お店側にとってもSNSをどう利用すべきかは大きな問題です。
あるお店で聞いたのですが、「食べログ」にはユーザー有志のパトロール隊員というのがいるそうです。担当エリアを決めて、それぞれが定期的に巡回し、新しいお店を見つけると食べログに登録するのだとか。驚くことに彼らの活動は全くのボランティアのようです。
また別のレストランの店主は、オープンしたばかりの頃、来店してもいないのに電話でお店の概略だけを聞いて、ブログにさも食べてきたようにアップされたとぼやいていました。
「ニューオープンのお店」というのは、とにかく人の情熱を駆り立てるのです。
「一番最初にこの店を紹介したのは私!」と言いたい気持ちはわかります。

僕だってそうです。お鮨が大好きなのですが、個人的に新店探しに愛用しているのが食べログのニューオープン情報。夜の予定が何も入っていないときに、ひとりで行くためにPCを眺めます(「鮨 ニューオープン」で検索すると出てきます)。チェーン店から個人店まで、ずらりと並んだリストを見ながら、果たして新たな原石はないか、ひたすら目を凝らすのです。

たいていはまだ口コミも投稿されていないので、写真や場所、店名、予算などから推察します。“この文字が店名に入っているということは、あの系列か?” “あんな場所でこの値段設定とは相当自信があるのか?”とか、探偵の如く推理していくのが楽しくて。どちらかというと、仕事ではなく趣味の領域です。そしていいかも! と思ったらすぐに電話してその日のうちに訪れます。

とはいえ、自分の予想を超える出会いはなかなかなく、それだけに出会えた時は楽しいわけです。最近では銀座の「鮨み富」さんがヒットでした。名店「新冨寿し」出身というところに惹かれたのですが、コースオンリー・一斉スタート全盛の時代に、昼から通し営業、お好みOKという形態が受けて、今では大人気店となっています。
ちなみに先日、食べログを立ち上げた村上敦浩さんとお会いした時に伝えたら「あのページを活用しているとは相当マニアックですよ」と笑われました。確かに。


基本は口コミ、インフルエンサーのSNSから情報も

 

さて、本題の“お店探しの方法”です。
僕が編集している「東京最高のレストラン」の目玉が、巻頭の注目店情報です。
毎年、1年以内にオープンした中から約20軒のお店を選び、そこにメンバー全員がそれぞれ予約を取って訪れて、座談会形式で批評して点数を付けるというものです。ありがたいことに、注目店に入ることを目標にしてくださるシェフもけっこういます。

この20店を最終的に決定するのが僕の役目なので、12月に本が発売されるや、すぐに翌年版に掲載するお店探しをスタート。そして、候補となった店の店名、ジャンル、エリア、特徴などをエクセルのファイルに書き込んで随時更新していくのです。メンバー以外閲覧不可なこのファイルは、おそらく東京で一番コアなニューオープンリストだと思います。

ではそのお店はどうやって探すのか? メインは「口コミ」です。「なーんだ」と思われるかもしれませんが、口コミで大事なのは「誰からの情報か」なんです。10店しか知らない人が教えてくれた“いい店”と、1000店を超すほど食べ歩いている人の情報では、その信頼度が違いますよね。

特に最高のレストランの口コミは森脇慶子さん、小石原はるかさんといった、雑誌の取材などでも常にニューオープン情報を追い続けているメンバーが中心ですから、精度とスピードがたまらなく速いのです。このおふたりとは、いつもフェイスブックのメッセンジャーやLINEで楽しく情報交換をしています。

ちなみに小石原さんはインスタマニアでもあって、全く知らない人がアップした画像からとんでもない無名の店を探し出したりして、それが「注目店」として取り上げられることも多々あります。森脇さんはシェフとのネットワークがすごいので、誰誰さんの弟子が今、物件を探し中、といったとても初期段階の情報まで持っていたりします。

もちろんそれ以外にもさまざまなサイトや記事で見つけた気になるお店は、僕の場合はiPhoneのメモ機能にカテゴリを作り、そこにコピペして保存しておきます。会食の場で仕入れた情報は、店名と特徴だけを自分のアドレス宛にメールしたりもしますが、たいてい酒に酔っていますので翌日読んでも意味不明なことも多々…。

フェイスブックの「友達」のポストも重大な情報源です。仕事柄、著名なインフルエンサーやシェフの方々と多くつながっているので、新しいお店情報もどんどん流れてきます。

例えば皆さんの場合は、「公開」にしているインフルエンサーもけっこういますから、フォローしてみるのもいいかもしれません。

そういえば、お店側からの発信としてよく覚えているのは、今では全くといっていいほど予約の取れなくなった鮨店「東麻布天本」さんです。店主の天本さんは有名なお鮨屋さんを辞めてから、今のお店をオープンするまで、滋賀や京都の日本料理屋さんなどで新たに学び直したんですね。その過程をフェイスブックでアップする中で知り合いもどんどん増えて、なんだかみんなが天本さんを応援する雰囲気になり、開店前から期待度マックスに。当然オープンするや、あっという間に人気店への道を駆け上がりました。
彼がどこまで意識していたかはわかりませんが、お金をかけずにPRする方法としてはとても有効だと思います。
最近はインスタグラムで宣伝するお店も多いですが、そういったSNSでの地道な努力から、ある日爆発することはよくありますので。


自分の心と体にとことん問いかける習慣をつけて

 

お店情報は集めるのも大事ですが、発信することも重要だと思っています。この人(媒体)に伝えると有効に活用してもらえるかもしれない、信頼できるかも、周囲からそう思われると自然に情報が集まるようにもなります。
ですので僕は、フェイスブックには自分自身が本当においしかった、楽しかったと感じたお店のことしか書きませんし、店名を隠したりもしません。もちろんおいしくても忙しかったりで書けないこともありますが。

ちなみに「どこかいい店を知りませんか?」と聞かれることが頻繁にあります。
これは僕だけでなくグルメライターさんなどもよく「喜んでお教えしたいのだけれど…」とぼやいているのですが、出来るだけ具体的な質問のほうがありがたいんです。せめて「3人で美味しい肉を、ひとり5000円以内で食べたい」くらいまでは希望を言ってもらえると、嬉しいですね。「どうしても接待を成功させたいんです!」「久しぶりに帰国する友人の誕生日なので喜ばせたくて」といった、感情的な目的も併せて教えてもらえると、こちらもより真剣になります。経験上、仕事のできる人はこの聞き方が上手です。

普段でもお店を探すときにはまず、自分自身の心と体にとことん問いかける習慣をつけると、お店探しが楽しくなります。果たして自分が欲しているものは何か? 牛なのか豚なのか、ワインかはたまた日本酒か、そうやって内なる会話を続けていくと、自然と自分の食べたいものが明確になります。結果として、お店選びの失敗が少なくなりますので、ぜひ試してみてください。