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2019年04月15日 11時06分 JST | 更新 2019年04月15日 11時06分 JST

「やりたいこと」が見つかるとは限らないけど、可能性は自分で高めていける──印度カリー子(サイボウズ式)

就職活動などで必ず聞かれる「あなたのやりたいことは何ですか?」という質問。聞かれてもピンとくるものが思い浮かばず、悩んでいる学生は多いのでは。

サイボウズ式提供
印度カリー子さん

就職活動などで必ず聞かれる「あなたのやりたいことは何ですか?」という質問。聞かれてもピンとくるものが思い浮かばず、悩んでいる学生は多いのでは。 

そんな中、もともと「やりたいこと」がない状態から「やりたいこと」を見つけ、真摯に向き合っている大学生を見つけました。その名は印度カリー子さん。カリー子さんは、「インドカレーの魅力を広める」というやりたいことのために、ご自身でスパイスショップを経営しています。現在4年生のカリー子さんは、多忙な中で大学院への進学を選択し、インドカレーを広める事業と並行して研究活動も続けているとのこと。

カリー子さんはどうやって自分のやりたいことに出会い、向き合ってきたのでしょうか。サイボウズ式インターン生の鈴木健斗がお話を伺いました。

 

興味」と「環境」と「きっかけ」が重なり合ったとき、すべてがはじまった

鈴木:私はこれまで大学生活を送る過程で、「やりたいこと」がなくて悩んでいる人たちと、たくさん出会ってきました。

カリー子さんはインドカレーを普及させるために、さまざまな活動をされていますよね。スパイスショップの経営やSNSでの発信など、自分のやりたいことに向かって精力的に取り組まれている印象があります。

そもそもカリー子さんは、どんな経緯でインドカレーに夢中になっていったんですか?

カリー子:私はもともと、やりたいことがなかったんですよ

でも、料理をすることは小さい頃からずっと好きで、自分で作ったり、レシピを読んだりしていました。

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印度カリー子(いんどかりーこ)。大学の物理学科の4年生。インドカレーの魅力を伝えるために、自身でSNSを使った発信や、スバイスショップの経営を行っている。大学卒業後は大学院に進学し、食品科学の研究を行う予定。

カリー子:だから調味料にも興味があって、ある日、家の近くにあったスパイスショップに立ち寄ってみたんです。

すると、そこには私の知らない香りがたくさんあって、「こんな世界があるんだ!」と驚きました。

鈴木:知らない香り。

カリー子:はい。そこから似たようなお店をよく回るようになりました。実際にスパイスを嗅いでみたり、触ったりして……。

でもそのときは、知識がどんどん豊富になっていくだけで、実際に作るまでには至りませんでした。

鈴木:そうなんですね。

カリー子:そんなときに、姉と同居するようになったんですよ。姉はインドカレーが好きで、私は彼女の好きなものを作れるようになりたいと、インドカレーを作るようになったんです。そしたらどんどん夢中になっていって……。

そうやって、「料理が好き」という興味と、「スパイスショップに通っていた」という環境、「インドカレー好きな姉と同居する」というきっかけが重なって、すべてがはじまったんだと思います。

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カリー子さんはインターネット上で自分のお店を開き、誰でも簡単にインドカレーのつくれるスパイスセットを販売している。

自分にとって本当に好きだと思えるものは何かをはっきりさせて、そのために動いてみる

カリー子:さっき、自分自身のことを振り返ってみて気づいたんですが、「興味」「環境」「きっかけ」という3つの要素が、やりたいことを見つけるために必要なのかもしれないです。

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印度カリー子さん

鈴木:「興味」「環境」「きっかけ」?

カリー子:はい。まずは、自分が何に興味あるのかを明確にする

私の場合は「料理」でしたが、読書や人と会うこと、寝ること、なんでも良いと思います。

鈴木:なるほど。

カリー子:そのように、自分が持つ「興味」を見つけたら、その興味を深められるような「環境」を探してみるといいと思います。

私の場合は、料理が好きだからスパイスショップに通いましたよね。同じように、読書が好きなら本を読める場所を見つけて通う。人と会うのが好きならば、人と会える場所に行く。そうやって、人脈や知識を自分のものにしておくと、後で行動につながりやすい。

鈴木:なるほど。自分の興味に適した環境を選ぶのが大切なんですね。

カリー子:そうです。自分の興味を明確化し、それに関する情報を得られる環境を作れたら、最後はそれらが具体的なやりたいことになるための「きっかけ」に出会うのを待てばいいだけです。

 

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カリー子さんの手

カリー子:私はたまたま姉と住むというきっかけがありましたが、これに関しては運も大きいのかも。

鈴木:たしかに。

カリー子:でも、まったく意識しないで探すのと、意識すべきところを意識して探すのとでは、可能性の大きさが違うと思います。

自分の興味や環境を分析的に探し続けていれば、頭の中ですべてがリンクして、奇跡の星が輝く瞬間と出会えるかもしれません

 

「なんとなく好き」で終わらせず、自分が本当にそれを好きなのか自問してみる

カリー子:私、「やりたいこと」って恋愛と同じだと思うんです。

鈴木:どういうことですか?

カリー子:どんなに出会いを求めても、見つからないときは見つからないですよね。

それに、「なんとなく好きだから」という曖昧な気持ちで接していても、その人や物事を、自分が本気で愛せるかはわからない。初めて出会った人のことをなんとなく「いいなあ」と思っても、その人とずっと長く付き合っていけるかはわからないじゃないですか。

鈴木:たしかに。

カリー子:恋愛も、「やりたいこと」も、自分がずっと情熱を持って続けていけるかを判断するためには、「なんとなく好き」で終わらせずに、「本当に好きなのか」と自分に問いただしてみることが大事だと思うんです 

例えば、私であれば「カレーが好きだから、カレーをやっていれば、何かできるかもしれない」なんて適当な気持ちでいるのではなく、「本当にカレーが好きなのか?」と自問してみます。

そこでもし「カレーが好きだと思いたい自分」がちょっとでもいるようであれば、きっとそれは「本当に自分がやりたいこと」ではないんです。長続きしないので、別のことを始めた方がいい。

 

負けん気の強さが、「やりたいこと」につながった

鈴木:カリー子さんは、なぜ「インドカレーの魅力を普及しよう」とまで思いが膨らんだんですか?

ただお姉さんにカレーを作るだけだと、そこまでの思いにつながらない気が……。

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鈴木健斗さん(左)印度カリー子さん(右)

カリー子:実際に初めてインドカレーを作ってみたとき、とても簡単だったんですよね。「こんなに簡単なのに、なんで誰も作らないんだろう?」と不思議でたまらなくて。

そこで、誰でも簡単に料理できるように、使い切りのスパイスセットを試しにインターネットで売ってみたんです。そしたら思いのほか反響があって。「これはもしかすると、私以外の人も必要としているものなのかもしれない」と思いました。

鈴木:実際に売ってみるのがすごい……。

カリー子:そのときに、私の負けん気の強さが発揮されたんでしょうね。他の人が同じようなアイデアでスパイスセットを売り出して成功しているのを見たら、絶対後悔するなと思って(笑)。

鈴木:お話を伺っていると、カリー子さんはスパイスそのものに興味を持って夢中になられたというより、スパイスの持っているポテンシャルに気づいたときに、それが「やりたいこと」につながっていったのかなと思いました。

カリー子:そうですね。スパイスの課題が解決できると気づいたとき、そのアイデアを大きくしていきたい、という思いが膨らんでいって、気づけば「インドカレーの魅力を広めたい」という明確なやりたいことにつながっていきました。

カリー子:実際に初めてインドカレーを作ってみたとき、とても簡単だったんですよね。「こんなに簡単なのに、なんで誰も作らないんだろう?」と不思議でたまらなくて。

そこで、誰でも簡単に料理できるように、使い切りのスパイスセットを試しにインターネットで売ってみたんです。そしたら思いのほか反響があって。「これはもしかすると、私以外の人も必要としているものなのかもしれない」と思いました。

鈴木:実際に売ってみるのがすごい……。

カリー子:そのときに、私の負けん気の強さが発揮されたんでしょうね。他の人が同じようなアイデアでスパイスセットを売り出して成功しているのを見たら、絶対後悔するなと思って(笑)。

鈴木:お話を伺っていると、カリー子さんはスパイスそのものに興味を持って夢中になられたというより、スパイスの持っているポテンシャルに気づいたときに、それが「やりたいこと」につながっていったのかなと思いました。

カリー子:そうですね。スパイスの課題が解決できると気づいたとき、そのアイデアを大きくしていきたい、という思いが膨らんでいって、気づけば「インドカレーの魅力を広めたい」という明確なやりたいことにつながっていきました。

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鈴木健斗さん(左)印度カリー子さん(右)

「やりたいことができないのはなんでなの?」と先輩に詰められた

鈴木:最初のうちは、企業から相手にされなくて大変だったと伺いました。

カリー子:そうなんです。企業にスパイスを取り扱ってくださいと問い合わせても、全然相手にしてくれてなくって。諦めかけていたんですよね、実際

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印度カリー子さん

鈴木:でも今は、スパイスを製造してくれる企業と出会い、メディアにもたくさん活動を取り上げられていますよね。 

突破口は何だったんですか?

カリー子:同じ学校の授業でたまたま出会った先輩に、「私はインドカレーを世の中に広めたい」という話をしたんです。そしたらその先輩が、すごく興味を持ってくれて。

それでいろいろ話していたら、「今、やりたいことがあるのに、できないのはなんでなの?」って聞かれたんです。

鈴木:おお。

カリー子:「取り扱ってくれる人がいないんですよ」って答えたら、「日本全国にこんなにたくさん企業があるのに、本当にいないの? 全部リストアップした? メールや電話はした?」って問い詰められて(笑) 

そう言われたときに、「私まだ全然やってないじゃん」って気づきました。

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印度カリー子さん

鈴木:すごい先輩ですね。

カリー子:はい。そしてまた翌日も、同じ先輩に呼び出されて。

鈴木:呼び出された!?

カリー子:そうなんです。今の問題点をノートに書き出して、と言われて……。「スパイスセットを製造してくれる会社が見つからない」って書いたら、「じゃあその可能性のある会社を全部探して、今日中に電話して」と言われて、すぐに電話をかけさせられました(笑)

けど、結局そのときも全部の会社に断られたんです。それで「やっぱり無理じゃん」って思ったんですが、先輩の「本当にいないの?」という言葉が、なんだかずっと心に残っていて……。

そうしていろいろ試行錯誤しながら電話をかけているうちに、話が進んでいきました。

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カリー子さんがインターネットで販売しているスパイスセットは、宮城県にある社会福祉法人「はらから」で製造されている。

鈴木:カリー子さんは最初からやりたいことに向かって行動できていたわけではなく、立ち止まっているときに背中を押してくれる存在がいたんですね。

カリー子:はい。本当に巡り合わせなんだなって感じます。

あの先輩が、なぜあそこまで言ってくれたのか全くわからないんです。会ったのは授業のそれっきりだったので……。早く感謝を伝えに行った方がいいですよね(笑)。

今はやりたいことがたくさんあって、全部あきらめたくない

鈴木:注目される機会が増え、スパイスショップも軌道に乗っている今だからこそ感じている課題はありますか?

カリー子:うーん……。ちょっと余裕がなくなってきています(笑)。いただいたお仕事の話を全部引き受けていると、卒論を書く時間がない状況になっちゃって。卒論も、自分が本気でやりたいことなので、なおざりにしたくないんですけれど。

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印度カリー子さん

鈴木:両立する時間をどうやって作っていくかですね。

カリー子:はい。たとえば何かしらのイベントに参加するとなれば、その準備には1カ月くらいかかります。そうしたことが積み重なってくると、どんどん余裕がなくなってくるんです。

鈴木:大変そう……。

カリー子:たしかに大変なんですが、そういう大変さにはストレスを感じません。本当にやりたいことをやっているときは、ストレスがたまらないんですよ。やっているときに「辛い」とか「うわっ、めんどくさ!」とか思ったら、実はそれは本当にやりたくはないことだと思うんです。

今はやりたいことがたくさんあるけれど、全部あきらめたくないと思っています。

 

やりたいことに向き合い始めたら、黄色い線の外側を歩けなくなった

鈴木:カリー子さんは自分が「やりたいこと」と向き合い始めて、何か変わったと思いますか?

カリー子:もう、日々すべてです。毎日作るカレー、人との出会い、すべてが自分にとって印象深い思い出になる。3年前の、何もなかった頃の自分には戻りたくありません。

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印度カリー子さん

鈴木:カリー子さんのように自分の中で「これがやりたい!」というものが定まると、主体的に毎日を生きられるようになり、日常のあらゆる物事が、全く違ったように感じられるのかもしれませんね。

カリー子:本当にそうだと思います。だから私、今絶対に死にたくないんです。駅のホームで黄色い線の外側は絶対に歩けない(笑)。それくらい、生きたいという思いが高まっています。明日もきっと最高だから。

本記事は、2019年1月29日のサイボウズ式掲載記事

「やりたいこと」が見つかるとは限らないけど、可能性は自分で高めていける──印度カリー子(サイボウズ式)

より転載しました。