「生理は恥」の抑圧にサヨナラを。ハヤカワ五味・Minaが手がける生理のセレクトショップとは。

生理用品って家のトイレでも隠して置いたり、外ではコソコソ持っていかないといけなかったり。「恥」を社会が強要してくるのがイヤ。(ハヤカワ五味さん)
Minaさん提供

グレー一色のシンプルなパッケージに包まれた生理用品のナプキン。

デザイナーのMinaさんが卒業した美大の卒業制作として提案したアイデアだ。その後、アパレルブランドを展開する「ウツワ」経営者のハヤカワ五味さんらとともに、「illuminate」を立ち上げ、生理に革命を起こすための活動に取り組んでいる。

その理由は「女性が生理に恥を感じる必要はない」と体験を通じて訴えたいから。生理用品のデザインやセレクトショップなど様々な取り組みを進めている2人に話を聞いた。

Yuriko Izutani /HuffPost Japan

「初めての生理。ドラッグストアの売り場に行ったら、今までの人生で身に付けたことのない色だらけで、立ってるだけで不気味な気持ちがした。買ったら紙袋に入れられてお店の人に隠された。生まれて初めて、女性として生きることは、恥ずかしいことなんだ、嫌だなと思った」

これは、Minaさんが卒業制作のヒアリングで集めた女性たちの声の一つだ。

Mina:生理用品って本来は、転んだ時の絆創膏や、咳が出た時のマスクなど、そういうのと同じ、身体の機能に対してのただの対処のはず。なぜ、生理用品だけが、過剰に「社会規範的な女性性」を強調したデザインで、しかもそれを隠されないといけないのか。まるで「女性らしく身体の機能を持ちなさい、そしてそれは恥ずべきものです」と言われているようで、疑問に思うようになった。

「生理用品のコーナーにいるのがつらい」

生理が来るのは女性だけではない。「生理用品のコーナーにいるのがつらい」と話すトランスジェンダーの男性からも、Minaさんは話を聞いた。

Mina:女性ですらピンク色やパステルカラー、レースにハートが支配するドラッグストアの棚に、「女性」を押し付けられる気持ちになるというのに、男性でありながら毎月そんな体験をしなければならない人は、どれだけの違和を持つのだろうと思いました。

Yuriko Izutani / HuffPost Japan

ハヤカワ五味:そもそも、生理用品って家のトイレでも隠して置いたり、外ではコソコソ持っていかないといけなかったり。女性の一つの身体の機能なのに「恥」を社会が強要してくるのがイヤだなと思いました。長く滞在する恥ずかしさから、売り場でもササって立ち去る人が多いと思う。そうすると、自分にあった商品がどれなのかじっくり選ぶことも難しい。良い商品とのマッチングを妨げているなとも思います。

ハヤカワ五味さんは、大学在学中、女性の小さな胸を「シンデレラバスト」と名付け、選べる商品がないという女性の悩みやコンプレックスを解決するランジェリーブランドを立ち上げたことで注目される起業家だ。

偶然、同じ大学の同級生だった2人。友人の紹介で出会ったのは大学卒業後の2018年5月だった。意気投合した2人は、まずオリジナルの生理用品の製造・販売を目指して活動を始めた。

しかし、すぐに困難に突き当たった。国内では限られた工場でしか生理用品の製造はできず、その工場は既存メーカーの商品以外を製造する余裕はなかった。

そこで、ハヤカワさんはSNS上で大手メーカーに呼びかけ、製造はユニ・チャームが手がける共同のプロジェクトが誕生した。商品の第一弾となるのはタンポンで、2019年中の同社からの発売を目指して開発を進めている。

しかし、同社の現在のラインナップにも、実はデザインにこだわったと銘打たれているものもある。その中で、2人はどんな商品を作るのか?

Mina:私たちは、生理という在り方そのものをまるで違うものにしたい。だから、デザインを良くするのは通過点で、社会の中の生理というものの捉えかたを変えるのがゴール。今までの商品から想像できないぐらい、ただ必要とする要素だけがあって、誰にも何も押し付けず、持っていても見えても恥ずかしくないようなものを作りたい。例えば、透明なバッグに入れても堂々と持ち歩けるものだったり。

5月に同社が開催した、生理用品の未来を語る同社とのトークイベントでハヤカワ五味さんが登壇。同社や他のインフルエンサーとも共同で新しい生理用品をデザインするプロジェクトは 「#NoBagForMe」 として発表された。

「私は紙袋いりません」。生理用品は隠さなくていいという意思表示をしていくという意味が込められている。

会場ではもちろん歓迎ムード。しかし、反響が広がったTwitter上では、例えば「生理用品を隠すのはマナーだ」といったような批判や戸惑いの声もみられた。また、「活動には賛同するけど、自分はオープンに持ち歩いたり発言したりはやっぱりできない」という人も。

Mina:「生理はけがれ」と言われて女性が抑圧されてきた歴史もある。だから、そう思ってしまう人がいるのは仕方ない部分もある。ただ、そういう自分の価値観を若い人に押し付けるのはやめて欲しい。「生理が恥ずかしいもののように言われてた時代もあったよねー」って、もう過去のものにしたんです。

ハヤカワ五味:確かに公の場でこういう主張をしたりすることってとてもハードルが高い。でも、商品って買うことで売ってる人を応援できるんですよ。私は「推しは推せる時に推せ!」って言ってるんですけど、それが小売のいいところ。もし、私達の言うことがいいな、面白いなって思ったら、小さな選挙みたいに、投票するように私達の商品を推してもらえたらいいなって思う。その小さな投票・選択を私たちは大切にして、大企業さんをはじめとして様々な人を巻き込んでより自由な社会になっていけばいいと思っています。

Yuriko Izutani / HuffPost Japan

生理用品のセレクトショップ「illuminate」は、商品のデザインやショップ以外にも女性に関わる商品のプロデュースやコンサルティング業務などを手がけていく予定だという。

ポップアップストアは、青山ブックセンターで6月20日から開催予定。その後、大阪でも夏頃開催予定だ。月経カップなど新しい生理用品の現物を見て買うことができるほか、illuminateメンバーが厳選したフェミニズムや女性に関する本も併せて販売される。


ハフポスト日本版では、「女性のカラダについてもっとオープンに話せる社会になって欲しい」という思いから、特集『Ladies Be Open』を立ち上げました。

カラダはデリケートで、一人ひとりがみんな違う。だからこそ、その声を形にしたい。そして、みんなが話しやすい空気や会話できる場所を創っていきたいと思っています。

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