カネカのパタハラ疑惑、大学生から“アウト“の声 「水面下で鬼の転職活動ですね!」

「問題はなかった」と結論づけたコメントで収束しつつある、カネカのパタハラ疑惑。でも、社員や就活生たちの目は厳しそうです。
就職活動生のイメージ
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育休から復帰したら、転勤を言い渡されたーー。

化学メーカーのカネカの元社員の男性に対するパタハラ疑惑は、カネカ側が6月6日に「育休をとった社員だけを特別扱いすることはできない」として、転勤命令などは「適切だった」と結論づけるコメントを発表して収束しつつある。

同社の公式サイトトップページには、1週間が過ぎた今も、次のように結ばれた公式見解が大きく掲載されている

元社員の転勤及び退職に関して、当社の対応は適切であったと考えます。当社は、今後とも、従前と変わらず、会社の要請と社員の事情を考慮して社員のワークライフバランスを実現して参ります

だが、折しも世の中は就活シーズン。6月9日に大阪で開かれた就活イベント「マイナビインターンシップEXPO」では、カネカは急遽出展を取り下げる事態に。

カネカのパタハラ疑惑の報道、大学生たちはどう感じたのだろうか?

「盗めるものだけ盗んで、水面下で鬼の転職活動ですね!」

「こんなことは日常茶飯事だと思っているので、カネカの一件は氷山の一角、それもほんのわずかな一角なんじゃないかなあと思います」

あっさりとこんな回答をくれたのは、外資系企業を志望するA君(22)。

「育休明けの転勤とか明らかな窓際への追いやりみたいなのは、日本だとまだまだあるんだろうなと前から感じてました。でもそれは、世界的な文脈の中で『もうやめた方がいいこと』のはず。なのに、その判断ができないという事実は会社そのものの信頼を下げますよね。こんなことも分かっていない、もしくは環境が整っていないなら、そんな会社には行きたくないです」

なんとも冷めた回答……。もしも入社した会社がこうだったらどうするの?

「盗めるものだけ盗んで、水面下で鬼の転職活動ですね! アウトでしょ! 今って、終身雇用の時代じゃないですし、職場環境の適切な整備ができない会社はどんどん人手を失う一方じゃないですか?」

ごもっともです。

「いやいや納得するかも…」

マスコミ志望の大学4年生のB君は、育休明けの転勤命令は「ひどい対応でパタハラだと思うが、受け入れるしかない」と話す。

もし、自分が入社した会社で同じことがあっても受け入れる?

ちょっと意地悪な質問をすると、「マスコミは激務でプライベートが削られる。その分、他業種よりも給料が高い、という印象があるので、いやいや納得するかもしれません」とのこと。

「もちろん妻や子供ができたら価値観は変わると思います。なので、これは23歳の大学生としての意見です」

「違法じゃなければいいのか!?」

女子学生(大学院1年)の意見も聞いてみた。

「会社の対応が冷たすぎると思いました。私の個人的な意見は、こんな会社が残っていくのはとてもイヤです。会社は『違法』ではないと言っていますが、違法じゃなければいいのか!? と思います」

育休から復帰しても働きやすい環境を作ることは会社の存続に繋がる、と考えているという彼女。

「新居も決まり、保育園も決まり、新しい生活が始まる! という時に、異動…。社員に対して優しくないし、嫌がらせじゃないとしても嫌がらせにしか見えません」

「女性も働きにくいんだろうなぁ」

ほかのコメントでも、カネカの対応に理解を示す大学生はいなかった。

「タニタのようなネットやSNSを上手に使う企業がある中、カネカの対応のお粗末さに呆れてしまいました…」(男子大学生・19歳)

「理想を言えば、転勤先やタイミングも、本人と人事部が密なコミュニケーションをとって決めるべきだと思う」(男子大学生・4年)

「こんな会社じゃ、子育て中の女性も働きにくいんだろうなぁ…。同僚の男子がこんな仕打ちを受けていたら、私も転職活動します」(女子大学生・22歳)

カネカは「育児や介護などの家庭の事情を抱えているということでは社員の多くがあてはまりますので、育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません」としている。

違法性がなかったとしても、社員や就活生たちの目は厳しそうだ。

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