アートとカルチャー
2019年07月01日 07時45分 JST | 更新 2019年07月02日 10時08分 JST

「太ってる自分がとても嫌だった」。 ブルゾンちえみさんが自分を好きになるために心がけていること

コンプレックスや悩みがない人は、明るくて、パワーをもらえるという良い面もあると思うけれど、悩みやコンプレックスがある人の方が一緒にいて落ち着きませんか?

米田志津美

キャリアウーマンのネタでブレイク以来、テレビドラマ出演、声優、歌手…と仕事の幅を広げ続けているブルゾンちえみさんが、今度は舞台に初挑戦する。7月12日から始まる舞台、KERA CROSS 第一弾『フローズン・ビーチ』でこれまでのイメージとは異なり、ちょっとエキセントリックな女性を演じる。

 次々に新たな挑戦を続けるブルゾンさんに意気込みや重圧について聞いてみると、コンプレックスや悩みと向き合う姿を明かしてくれた。

 

――初舞台ですが、出演の話があった時の感想は?

最初は純粋に「うれしい」と思ったけれど、あとから「私でいいの?」というプレッシャーに襲われました。ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの戯曲で、鈴木裕美さんの演出、素晴らしいキャストの方々とご一緒できるなんて、ありがたすぎる環境。でも私はみなさんに比べて経験も少ないから、足を引っ張らないようにしなくては、とも感じています。すごく大変だと思うけど、その分、達成感というか、「生きてる!」って実感が味わえるんだろうなと思うとワクワクしています。

 

――初めてのことに挑戦する時、ワクワクと不安のどちらが勝ちますか?

私、「昨日の自分より、今日の自分は絶対成長している」と思いたいタイプなんです。昨日の自分を超えるには、新しいことに挑戦するしかないと思っていて。どんなに小さなことでもいいんです。例えば、漫画1冊読んだ、なんてことでも。「昨日は知らなかった新しいことを知った」「それについて喋れるようになった」と思えますから。

無理して頑張っているわけではないけれど、中学、高校と陸上部で長距離を走っていたことがあるので、頑張らないと“気持ち良くならない”という思いがあるのかもしれません。しんどかった後のあの爽快感! 本当は走りたくないんですよ。試合も嫌いなんですけど、走り終わった後、めっちゃ清々しいのを知っているから、また走る。ちょっと重圧かけた分だけの喜びがあるんだと思います。

 

――テレビドラマや声優などでお芝居に挑戦されますが、おなじみのお笑いのネタでも、キャリアウーマンというキャラを「演じている」とも言えますね

私は何か役がついている方が楽なんです。“素”で何かをしてくださいと言われると、私の素って結構面倒くさくて、そんな短い時間で素を表すのはできませんと思っちゃうんです。でも「役です」と言われたら、「役だし、フィクションだからそれに任せればいいんだと」思える。そういう意味では、演じることは好きですね。

 

――では、このインタビューはどういう役で臨んでいますか? 今回の舞台で演じるキャラとして?

こういうインタビューは、じっくり話していいんだなと思えるので、素になります。だから今、私、素ですよ。

私は自分の言葉を短く纏めるのがとても苦手で、小論文で「何文字にまとめよ」って言われると、すごくプレッシャーを感じてしまうんです。200文字という文字数の指定あったとして、何も考えずに喋ったら200文字くらいにはなるけれど、じゃあ何を優先的に喋ったらいいのか、と考えたら、あたふたしてしまいます。だから、こうやってじっくりお話しできると思うと、リラックスして話せます。

米田志津美

 ――さきほど自分の素は面倒くさいというお話がありましたが、何かコンプレックスのようなものはあるのでしょうか?

 ありますよー。コンプレックスない人なんて、いないのではないでしょうか?

私は陸上をやめて、ストレスで30キロ太ってしまったことがあって、そのときは下着から何から、すべての服を総入れ替えしました。だって、それまで着ていた服が、全然入らなくなっちゃったから。想像してみてください、30キロって10キロの米俵、3個分ですからね。全然違うでしょ?

痩せていた頃は、さらっと着たジャージでもなんとなく様になるというか、力抜いている感じが出るんです。でも30キロ増えてからジャージを着ると、なんか怠け者にみたいに見えてしまう。同じ服でも、体型でこんなに違うんだとすごくショックでした。

それに太ってる自分がとても嫌だったし、「こんな自分、誰も好きになってくれない」「友達にも、一緒にいるのが恥ずかしいと思われるのでは?」なんて、考えすぎかもしれなけれど、そんな風に思ってしまう自分がいました。私はラフな格好が大好きなので、ジャージが似合うように、もうちょっとシュッとしたいなと思う。

痩せているのがいい、太っているのがいいということではなくて、自分が好きだと思える自分にどう近づくかということには今も向き合っています。

 

――自分の成長やコンプレックス、人間関係…、一つ一つと真面目に向き合って、自分でコントロールしているんですね。

それ、初対面の人にはいつも、言われるんですよ。話が終わる頃には「真面目ですね」と。私自身は真面目でいるつもりもないんです。ただ、なんで自分がこんな風に思うのか、を噛み砕いて考えようとするタイプではありますね。その結果、悩みや気持ちをコントロールできればいいのですが、私は「食べる」ことで紛らわせようとしてしまうんです。そしてまた体重が増えてしまう。食べて、解決するのを先延ばしにしているだけだと、わかってはいるんですけど…。

 

――コンプレックスと向き合わずに、見なかったことにするという方法もあると思いますが。

確かに、無視したいけれど、私、そんな器用なことできるかな? 無視するって、きっと難しいですよね。そうそう、私、去年から「10年日記」をつけ始めたんです。1年前と同じことで悩んでいるのがとても嫌なんですよ。365日も経って、まだ同じ?って思うと許せない。だから去年も同じことで悩んでいるんだったら、これは早急に解決しなくちゃいけないぞと思ってしまう。そういう性格だから、きっと無視はできない気がします。

 

コンプレックスや悩みがない人は、明るくて、パワーをもらえるという良い面もあると思うけれど、悩みやコンプレックスがある人の方が一緒にいて落ち着きませんか?

普段「イエーイ」ってテンション高めな人が、「実は俺、イエーイって言うのに疲れているんだよね」と話してくれたほうがホッとするというか、信用できるというか…。だから人間は多少、悩みとかコンプレックス見たいなものがあるほうがいいと思うんです。私自身、「自分はこういうことに悩むタイプです」と早いタイミングで自分から人に話します。それを打ち明けた時点で嫌だと思われたら、どれだけ仲良くなってもきっと、人間関係を続けていくのは無理だと思うから。

  

――今回は舞台に初挑戦ですが、テレビやInstagramなど表現の場が多様化していると思います。テレビだから、舞台だから、と自分のイメージの「使い分け」を意識していますか?

テレビは一番外側の私が見えて、Instagramでは中身の部分という違いはあるかもしれません。それが舞台となったら、長い時間ライブで、360度からお客さんに見られるわけですから、それはテレビの自分とは全然違う。

舞台を好きな人は、これまでの私のファンの人とも、普段私のことを見てくださっている人とも違うように感じていて、これまで私をあまり見ていただけなかった人たちに「ブルゾンちえみって、こんな感じなんだって」と知っていただくいいきっかけになっていく気がしています。それがうれしい。いろんな媒体を通して、自分を見てもらいたいです。たとえば「文字」だけで表現した私とか、おもしろいかもしれませんね。

米田志津美

 ――最近では、YouTuberがテレビに出たり、芸能人がYouTubeでも活動したりしています。

仕事の関係でテレビには出てないけれど、すごい個性や実力のある人たちにお会いする機会があります。そういう時、私は、ここ2、3年でテレビを出させてもらうようになったけれど、テレビに出ているからすごいとかではないな、とつくづく感じたんです。私のことをまったく知らない人たちの世界に、テレビに出ていないけどすごい人たちと一緒にポンと投げ出されたら、絶対に私より彼らの方が、素晴らしい才能があるとみんなから思われる。

 だから、メインの活動の場がどこだから上だということはないと思うんです。これからは、人々が「見る」ものがもっともっと分散していって、一人ひとりが自分の好きなものを見る時代になっていくのではないでしょうか。世界の人口の分だけ、発信するものも、見るものも増えていくというか。

 私は、ずば抜けたいという気持ちがあまり強くない。もちろん、私がやりたいと思ったことに共感してくれたり、いいねと言ってくれる人がたくさんいたらうれしいけれど、共感したり、いいねと思うものは、それぞれでいいと思います。だから私は、シンプルにその人の才能やアイデンティティを出せるYouTubeみたいな場所があるのはとてもいいことだな、いいものができたなーと感じています。私自身もいろいろなYouTubeの番組を見ますし、今後私もやりたいなと思ったりすることもあります。

 

――最後に、舞台への意気込みを聞かせてください。

5人の登場人物を4人のキャストで演じるんですけど、登場人物の誰かには、共感できるのではないかと思います。「セックス・アンド・ザ・シティ」で4人のどこかに共感できるみたいに。普段、みんなが言えないことを私たちが代わりに、言ったりやったりするので、ストレス発散になるはずです。

キャリアウーマンネタの影響か、これまでは仕事ができる女性の役をいただくことが多かったのですが、今回演じる市子という女性は全くイメージが違う。だから自分の中にある「新しいことをやってみたい欲」がすごく満たされます。普段、めちゃめちゃ怒ったり、めちゃめちゃ泣いたり感情を爆発させたりしないから、今後はそういう役もやってみたいですね。すごく我慢して、それでまた食べちゃったりするんですよ。我慢しないで、その都度、怒るほうがいいですよね。そういう役を演じて、思考回路の方向転換をしたいです。

 

【公演情報】

KERA CROSS 第一弾

『フローズン・ビーチ』 

キューブ提供

 作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ  演出:鈴木裕美  

出演:鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ

 日程:2019年7月31日(水) ~8月11日(日)

場所:シアタークリエ

  <ツアー公演>

<神奈川・橋本プレビュー公演>7月12日(金)〜14日(日) 杜のホールはしもと・ホール

<新潟公演>7月25 日(木) 19:00 開演 長岡市立劇場 大ホール  

<福島公演>7月28 日(日) 13:00 開演 いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール

<東京公演>7月31日(水) 〜8月11日(日) シアタークリエ

<大阪公演>8月16日(金)〜18日(日) 大阪・サンケイホールブリーゼ

<静岡公演>8月21日(水) 18:30開演 静岡市清水文化会館マリナート

<愛知公演>8月23日(金) 18:30開演 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

<高知公演>8月28日(水) 13:00開演/18:00開演 須崎市立市民文化会館 大ホール

<高松公演>8月31日(土) 13:00開演 レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール  

 オフィシャルサイト

https://www.keracross.com

Hummingart Studio

 コンプレックスとの向き合い方は人それぞれ。
乗り越えようとする人。
コンプレックスを突きつけられるような場所、人から逃げる人。
自分の一部として「愛そう」と努力する人。
お金を使って「解決」する人…。

それぞれの人がコンプレックスとちょうどいい距離感を築けたなら…。そんな願いを込めて、「コンプレックスと私の距離」という企画をはじめます。

ぜひ、皆さんの「コンプレックスとの距離」を教えてください。

現在、ハフポスト日本版では「コンプレックス」にまつわるアンケートを実施中です。ご協力お願いします。