腹部を撃たれて流産 → 赤ちゃんを死なせた罪で起訴 中絶全面禁止の米アラバマ州

警察は「この事件の唯一の被害者は、生まれてくることができなかった赤ちゃんです」とコメントしている。
写真は妊婦のイメージ
写真は妊婦のイメージ
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「全米で最も厳しい中絶禁止法」が成立したアメリカ・アラバマ州で、信じられない司法判断が下されたと話題になっている

口論の末に腹部を銃で撃たれた妊婦が、妊娠しているのに口論を仕掛けたことによって子どもを流産したとして、過失致死罪で起訴、投獄されたのだ。

起訴されたのはマーシャル・ジョーンズ被告(27)。妊娠5カ月目だった2018年12月4日、子どもの父親をめぐってエボミー・ジェニソンさん(23)とアラバマ州プレザントグローブにある商店の外で口論になった。

地元メディアの取材に対し、プレザントグローブの警察は次のようにコメントしている。

「この事件の唯一の被害者は、生まれてくることができなかった赤ちゃんです。赤ちゃんの母親である彼女から口論を仕掛け、争い続け、そして子どもを死なせたのです」

アラバマ州では、5月15日に中絶を全面的に禁止する法律が成立した。近親相姦やレイプ被害による妊娠も例外ではなく、中絶手術を行った医師は、99年以下の禁錮を言い渡される可能性がある。

アラバマ州で女性の中絶権利を主張するイエローハンマー基金のアマンダ・レイエス氏は、「今回のケースは極端な例に思えるかもしれない。だが、これが”普通”になるのも時間の問題だ」と警告する声明を発表した。

「マーシャル・ジョーンズは、妊娠しているのに銃を持った相手と口論し、撃たれたという理由で起訴されました。次は、妊娠中の黒人女性がアルコールを飲んだから。その次は、妊娠中の健診をきちんと受けなかったから…と続いていくだろう」

「結局は、貧しい人、黒人、社会からはみ出た人々にしわ寄せがいくのでしょう」

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