『AKIRA』の新アニメ化プロジェクトが発表。2019年のネオ東京を舞台にした名作が、いま蘇る

1988年公開の「AKIRA」、2004年の「スチームボーイ」に続く3作目の長編アニメーション映画「ORBITAL ERA」の制作も決定。大友克洋氏自身が原案・脚本・デザインワーク・監督を手掛ける。

7月4日にアメリカ・ロサンゼルスで始まった「Anime Expo 2019」で、漫画家で映画監督の大友克洋さんが「AKIRA」の新アニメ化プロジェクトを発表した。

大友克洋監督
大友克洋監督
サンライズ提供

新プロジェクトは、原作に沿ったストーリー展開となる予定で、映画になるかテレビアニメやネット動画配信サービスでの映像化になるかは、まだ決定していない。

公開時期や内容についても、今後決まるという。

大友さんが1982年から1990年にかけて講談社の漫画雑誌『週刊ヤングマガジン』で連載した「AKIRA」は、大友ファンにとっては金字塔的な作品として長らく愛されている。

1988年にアニメ化、ゲーム化され一大ブームを巻き起こした。

1980年代に「新型爆弾」によって東京が壊滅したことで世界のパワーバランスが崩れ、第三次世界大戦が勃発。世界は荒廃していったーーという設定で始まる。

物語の舞台は、原作執筆当時は数十年後の世界だった2019年。かつての東京に変わる日本の新首都として、東京湾上に高層ビル群が並び立つ「ネオ東京」を舞台に、3人の少年を主人公として物語が進む。

暴走族のリーダーで“健康優良不良少年”こと金田正太郎と、事故によって超能力が目覚め、破壊の限りを尽くすもう一人の主人公・鉄雄。そして物語のキーとなるのが超能力者の少年・アキラだ。

その画力にも人気の秘訣だ。原作の驚異的なデッサン力と完璧な遠近感で魅せる高層ビル群の背景、緻密なタッチが本格SFアクションの傑作として今なお高い支持を得ている。

2002年には、アメリカで最も権威ある漫画賞の一つであるアイズナー賞を受賞。その表現方法は、日本やアメリカを始め世界各国のクリエイターたちに影響を与えている。

長編3作目となる待望の最新作「ORBITAL ERA」

「Anime Expo 2019」では、大友さんの新たなプロジェクトも発表された。長編映画最新作「ORBITAL ERA」の制作が決定した。

「AKIRA」「STEAM BOY」に続き、ファン待望の3作目となる「ORBITAL ERA」は、大友さん自身が原案・脚本・デザインワーク・監督を手掛けている。

物語は近未来、建設途上のスペースコロニーが舞台。

特異な環境や社会のなか、翻弄されながらも生きていく少年達の冒険を、彼らの目を通して『人類未来のリアル』として描き出す。

Anime Expo2019で新プロジェクトを発表した。左からサンライズ浅沼誠社長、大友克洋監督、サンライズ土屋康昌プロデューサー
Anime Expo2019で新プロジェクトを発表した。左からサンライズ浅沼誠社長、大友克洋監督、サンライズ土屋康昌プロデューサー
サンライズ提供

アニメーション制作は、ガンダムシリーズやラブライブ!シリーズなど人気アニメを手がける「サンライズ」が担当する。

大友克洋さんのこれまでの作品全集も

また、大友さんのこれまでの作品群を全集としてまとめた「OTOMO THE COMPLETE WORKS」プロジェクトもスタート。

講談社が刊行予定だが、時期についてはまだ決まっていない。

大友さんが自らの作品群を編集、構成を担当。創作と思考の軌跡を読み取ることができる、まったく新しい集成を制作することがテーマという。

1971年の漫画デビューから、すべての作品や発言を年代順に収録する。日本だけでなく、海外でも出版を予定している。

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