エボラ出血熱、WHOが緊急事態宣言。コンゴ民主共和国で1年近く流行、死者1600人超

これまでWHOが感染症の流行で緊急事態宣言を出したのは、2009年の豚インフルエンザ、14年のポリオウイルス、14~16年のエボラ出血熱、2016年のジカ熱の4回。

死亡率が高く危険な感染症である「エボラウイルス病(エボラ出血熱)」の流行がコンゴ民主共和国で続いている問題で、WHO(世界保健機関)は7月17日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。

WHOによると、エボラの流行は2018年8月から始まった。7月15日現在で感染または感染疑いのある患者が計2512人いる。死者は推定を含めて1676人に達している。

この緊急事態宣言は、過去4度出されており、2016年のジカ熱流行以来3年ぶり。世界で最も深刻な疾病流行に当たると判断された場合に出されるものだ。

WHOのテドロス・アダノム事務局長は、17日に開かれた会見で、エボラが現在流行となっているコンゴ民主共和国周辺地域では、さらなる流行の可能性を指摘。ただ、この地域よりも外に広がっていく可能性は「依然として低い」と説明した。

声明文では各国に対し、エボラを恐れるあまりコンゴ民主共和国との貿易や国境閉鎖、旅行制限などをしてはならないとし「地域経済を危うくし、治療対応に悪影響を及ぼす」と注意、冷静な対応を呼び掛けている。

エボラウイルス病(エボラ出血病)とは

エボラ出血熱でWHOが緊急事態宣言を出した
エボラ出血熱でWHOが緊急事態宣言を出した
WHOの公式Twitterより

エボラウイルス病はエボラウイルスによる感染症であり、ラッサ熱、マールブルグ病、クリミア・コンゴ出血熱等とともに、ウイルス性出血熱に分類される。
エボラウイルスに感染した患者が必ずしも出血症状となるわけではないため、現在は国際的にエボラ出血熱に代わってエボラウイルス病と呼ばれている。

この感染症の重要な特徴は、3つある。

致命率が高いこと、血液や体液に触れることで人同士で感染すること、条件が整えば、今回のように大きな流行に発展してしまうことだ。

近年では、2018年5月にコンゴ民主共和国北西部の赤道州で集団発生が確認された。コンゴ民主共和国では9回目の集団発生だった。これは感染・感染疑いは54例がが報告され33人が死亡、7月に終息。

しかし、2018年8月にコンゴ民主共和国の北東部の北キブ州で新たな流行が発生し、長期化している。

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