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2019年07月23日 14時06分 JST | 更新 2019年07月23日 14時06分 JST

吉本問題に思う。兵庫県の小さな町で生まれた私にとって、吉本はヒーローだから。

きれいな日本語を話す人たちの中に、私と同じ言葉(関西弁)を話して、お客さんを笑わせている人がいる! それだけで東京に生まれなかった私は勇気をもらえた。

gyro via Getty Images
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私は兵庫県の中部にある山に囲まれた小さな町で生まれた。私がまだ小さかった頃は、今よりもお店がぐっと少なくて、娯楽といえばテレビしかなかった。

 

私がテレビを見始める頃には、明石家さんまもダウンタウンも、さらには次世代になるナインティナインも東京で活躍をしていた。

 

きれいな日本語を話す人たちの中に、私と同じ言葉(関西弁)を話して、お客さんを笑わせている人がいる! それだけで東京に生まれなかった私は勇気をもらえた。そして今にいたるまで東京に生まれなかったってコンプレックスを感じたこともない。

 

先週から世間を賑わせている「吉本興業」の問題。我らが誇り! と思っていたお笑い芸人と、彼らが作るお笑い文化。そのどちらもが危機に瀕していると本気で思った。

 

本気で泣いてて、笑っていない。問題の渦中にいる人たちも、それを見ている私も。

 

とくに、この1ヶ月の「私、私たち」はひどい有り様だった。

 

最初に芸人さんが直営業で、反社会的組織のパーティーに、ギャラなし出席したと聞いたとき。

あれだけ有名な芸人さんだから、お金もらってないってことはないだろう。にしても、知らないと言っていたんだから、早く謝って解決してほしい。そんなことより、もっと面白い話題が欲しい

 

そこから一転、芸人さんたちは「ノーギャラはうそです。お金をもらっていました」と告白した。そこからいっきに世論は彼らを糾弾していく。

やっぱりもらってたのか。先輩が後輩にウソを強要するなんてあり得ない! ひどすぎる。これは謹慎となっても当然。いや、問題行動をしておきながら、すぐに謝れなかった人たちなんて、もうテレビで見たくない。ってか、会見もないってどういうこと? 世間から逃げまくってて恥ずかしい奴ら、だ。

 

そこから渦中の芸人さんたちの中の、先輩格である2人が会見を開くことになった。そこで私たちは今にいたるまで、私たちに見えない吉本興業という会社の中で、様々なやり取りや恫喝らしいことがあったとを知る。涙の会見を見て、態度をころっと翻す。

よく言った! 会社の中に問題があって、しかも自分の進退を決められる人の悪い行いを、日本中に発表したのは偉い! 会見できずに、芸人さんは悩んでいたのか、かわいそうに。それにしても会社は悪だ! 

 

この会見を受けて、彼らの先輩である大御所なる芸人さんたちが動き出す。ある人はテレビで、ラジオで吉本興業に追い詰められた2人を擁護する。そしてテレビで生放送をして、救済を宣言する人まで出た。

これで、吉本の問題は収束していくんだろうな。先輩芸人たちの心意気に感動した。勇気を出して告白をした芸人たちが救われてよかった!一件落着だね。

 

そして昨日、吉本興業の社長が会見をした。そこでは歯切れの悪い言葉とともに、自身はこのまま社長を続けると発表された。さらに恫喝じゃないのか? と問題視されていた言動は「冗談であった」と。

社長も会長もやめるべきだ! 芸人ファーストじゃなく、自分の保身ばかり考える会社のTOPがいていいのか! ひどい会見だった。ひどい会社だ。ひどい人たちだ。

 

新しいニュースが次から次へと出てくるから、それに対する反応があるのは当たり前のこと。ただ、週刊誌の情報に、本人たちの言葉に、第三者の言動に。私たちは常に怒りの矛先を変えて、糾弾していく。責めたり、許したり、1日単位でくるくると態度を変えていく。

 

自分の身の回り以外の場所にある真実を知るなんて、1000%不可能だ。それにもかかわらず、ニュースに踊らされている自分を恥ずかしく感じた1週間だった。

 

状況が二転三転しているけれど、今回、反社会勢力にお金を騙し取られた被害者が存在するわけで、彼らへの謝罪は必須だと思う。

 

加えて、世に広く知られた人には社会的責任があるので、私たちの前で事実を語り、時には謝罪をすることに疑問はない。

 

ただ、ニュースとして出てきたものが、真実でない可能性もあって。時には冤罪によって、「世間の言葉」という実態がないけれど、強力な武器で誰かを攻撃している可能性がある。それを忘れてはいけないんだ、と吉本興業の1件は教えてくれた。

 

関西の笑いなるものが、全国区になった久しい今でも、吉本興業とそこに所属している芸人さんたちは、私の誇りである。まるで高校野球で、自分の出身県の高校を応援しているような気持ちになる。だからこそ彼らの行く末を、騒ぎ立てずただ粛々と見届けたいな、と思う朝なのでした。

本記事は、2019年4月9日のnote掲載記事「吉本は私たちのヒーローだから」より転載