「私のコンプレックス、何だと思う?」 3人の友だちに聞いてみたら…

インターネットで本当のコンプレックスを言えますか?
イメージ写真
イメージ写真
Deagreez via Getty Images

コンプレックスって本当は何なの?

コンプレックス。コンプレックス? 日常的に使っている言葉のはずなのに、いざ書こうと思うとピンとこない。焦点を合わせようと近づくと、急にぶわっとぼやけてしまう。

恋という字を辞書で引いてみるプッチモニ世代なので、とりあえずコンプレックスも引いてみた(というかググった)。

「2 日本では特に、インフェリオリティーコンプレックス(劣等感)の意味で使われる」(小学館/デジタル大辞泉、以下同)

そうそう、劣等感、だよね。

「3 複雑に関連していること。複合的であること。複合体」

例として書いてあるのが「シネマコンプレックス」。英単語を習ったときに「へえ~、コンプレックスって劣等感じゃないんだ」って思った人も多いのではないだろうか。そして。

「1 精神分析用語。情緒的に強く色づけされた表象が複合した心理。抑圧されながら無意識のうちに存在し、現実の行動に影響力をもつ。マザーコンプレックス・エディプスコンプレックス・インフェリオリティーコンプレックスなど。複合感情。複合観念」

うむ。「抑圧されながら無意識のうちに存在」。無意識のっていうところに頷く。

私ももちろん、劣等感とかあるいは嫉妬とか自分自身の嫌いなところは腐るほどある。でも、自覚して人に話したり文章に書くことができる時点で、その劣等感とか複雑な感情の半分ぐらいはケリがついてないだろうかと思う。

ときどき、私は夫に深刻な表情で言う。

「今まで黙ってたんだけど、私、実は……」と。

夫がこっちを向いたら、言う。

「私、足が太くて短いんだ……」

自明のことを深刻ぶって話すという、夫婦間だけで交わす定番ギャグ(夫は基本塩対応なので特にツッコミとかはないし、ウケているのかもわからない)。

私は実際に足が太くて短い。正座をすると、ひとりだけ頭がぴょんと飛び出るのは座高が高いだけではなく、太ももが厚いから。それが結構な悩みでもあったけれど(10万円かけてマンツーマンの歩き方レッスンに通ったりした)、今、夫に言えちゃっている時点でだいぶ自分の中でケリがついている。たぶん本当の、本当の本当のコンプレックスは人に言えないし、自分でも気づいていない。

私の隠された真のコンプレックスは何か? 意地悪く心の中を探ってみる。

頭が悪いことでは……?

→うん確かに、本屋へ行くと焦ったようにやたら本を買っちゃう。

顔が丸いことでは……?

→きれいだなと思うモデルさんは大体、自分とは違うあごが細いタイプ。

生まれてからずっと一つの都市にしか住んだことがない。

→だからグローバルな人に心底憧れる。

絵も描けない。歌も歌えない。一発芸もない。

→本当は歌って踊れるエンタテインナーになりたい。

違う。なぜだろう、考えるうちにどんどんズレてしまう。もっと醜く、後ろ向きで悲惨な感情があるはずなのだけど、あいにく2019年7月4日の時点でそこに到達できていない。

生きるか死ぬかの話をしてるんだこっちは。

視点を変えて考えてみる。自分のコンプレックスに迫るのは難しいのに、人のコンプレックスは手に取るようにわかることってある。

「あの社長さん、学歴コンプあるよねえ」

「お母さんのことを美人美人って言うけど、〇〇ちゃんだって美人なのに、お母さんにコンプレックスがあるんだろうね」

人のコンプレックスについて、そうやって推測した経験がある人もいると思う。人が無意識のうちに隠そうとするコンプレックス、他人からは意外と丸見え。

ということはつまり、自分が気づいていない自分のコンプレックス、他人に丸見えの可能性があるってことで、それはちょっと考えるだけで非常に動揺する。

そうであるならば人に聞いてみたらイイんじゃない? 私のコンプレックスが何であるのかを。というわけで聞いてみた。友人たちの「知らんがな!」顔を無視して。

友人A「貧乏なことじゃない?」

がーーーん!!! 人にいきなり貧乏とか言わないでくれる? う、うちの家計とかあんた知らんでしょ! 自分から聞いておいて私は憤慨した(心の中で)。実際のところ、自分が同世代平均より稼いでいないかもしれないという自覚はあったものの、人から言われて憤慨するということは図星だったのかもしれない。

友人B「英語を話せないことじゃない?」

しくしくと私は泣いた(心の中で)。自分では「グローバル人材じゃない」とかぼやっとした言葉でごまかしていた。最近、取材で出会う若者出会う若者、みんな3か国語ぐらい余裕で喋れる。英語ができないこと自体より、毎年のように「今年こそ英語!」って宣言している自分の不甲斐なさがキツい。

友人C「性格が悪いことじゃない?」

え……。そんな風に思ってたんだ。うん、わかった。大丈夫。気にしないで、私から聞いたし。「いやいや私があなたの性格が悪いって思ってるんじゃなくて、自分自身でそう思ってるんじゃってことだよ」って? ううん、大丈夫、大丈夫。わかってる。

人を殺すにゃ刃物は要らぬ、コンプいじりがあればいい、と思いました。あと、「私のコンプレックス何だと思う?」は、「私、何歳に見えます?」と同じぐらいウザいのでやってはいけない。

とはいえ。赤裸々に公開したと見せかけたものの。

やっぱり本当の本当のことはなかなかインターネットの無料記事では公開できない。だって、裸で踊った人に対してコメントでコンプいじりして息の根を止めにかかる匿名の必殺仕事人、たくさんいるじゃないですか。noteで、ほぼお友達しか買わない500円の鍵かけ有料記事ならもう少し書けるかもしれない。ハフポさん、ごめんなさい。これが私のネット上でのコンプレックスとの距離間です。

(編集:榊原すずみ @_suzumi_s

コンプレックスとの向き合い方は人それぞれ。
乗り越えようとする人。
コンプレックスを突きつけられるような場所、人から逃げる人。
自分の一部として「愛そう」と努力する人。
お金を使って「解決」する人…。

それぞれの人がコンプレックスとちょうどいい距離感を築けたなら…。そんな願いを込めて、「コンプレックスと私の距離」という企画をはじめます。

ぜひ、皆さんの「コンプレックスとの距離」を教えてください。

現在、ハフポスト日本版では「コンプレックス」にまつわるアンケートを実施中です。ご協力お願いします。

注目記事