アメリカ・メキシコ国境、分断の「壁」にピンクのシーソーが登場。その意図は?

建築家のロナルド・ラエルさんは「国境自体はアメリカとメキシコの関係にとって象徴的で文字通りの支点だが、壁の構築は両国の関係を断ち切るものだ」と語っていた。

アメリカとメキシコの国境に設置されている不法移民防止柵。両国を分断する「壁」を逆手に取ったユニークなアイデアが注目されている。

ニューメキシコ州のサンランドパークで開かれたイベントで、建築家のロナルド・ラエル氏とヴァージニア・サン・フラテッロ氏が、国境の柵を挟んで鮮やかなピンク色のシーソーを取り付けたのだ。「壁」の両側で、アメリカとメキシコの子どもや大人がシーソーで遊ぶ様子は、世界中に感動と驚きをもたらしている。

ラエル氏は自身のInstagramに、「2009年から思い描いていた “Teetertotter Wall” を、喜びと興奮と一体感に満ちたイベントで実現できました。私たちのキャリアの中で、もっとも素晴らしい経験の一つとなりました」と喜びのメッセージとともにイベントの動画を投稿している。

さらに「壁は、文字通りアメリカとメキシコの関係にとっての “支点” となった。一方が何か行動を起こせば、それがもう一方に直接影響を与えるという体感を通し、両側の子どもや大人が意味のあるつながりを持った」と意義を綴った。

投稿された動画からは、アメリカ側のシーソーが空席になると、メキシコ側が相手が現れるのを待つ様子が確認できる。互いに手を振ったり笑い合ったり、「壁」を挟んで和やかなムードだ。

一方、ゴミが散乱するメキシコ側と綺麗に整備されたアメリカ側の格差も一目瞭然となっている。

Ronald RaelさんInstagramより

「壁」を図書館にしたり木琴に見立てたり…

ラエル氏は2019年2月にオンラインのプレゼン動画「TEDカンファレンス」にスピーカーとして登壇。「壁は建築物か?」というテーマで、アメリカとメキシコの国境に設けられた壁を挟んで屋外シアターを作ったり、壁を巨大な木琴に見立てたりする様々な風刺的なアイデアを紹介していた

ラエル氏は、TEDのスピーチでもシーソーのアイデアについても触れ、「国境自体はアメリカとメキシコの関係にとって象徴的で文字通りの支点だが、壁の構築は両国の関係を断ち切るものだ」として否定している。

アメリカとメキシコの国境の「壁」をめぐっては、米連邦最高裁が7月26日に国防総省の予算25億ドル(約2700億円)を壁の建設費用に転用するトランプ政権の計画が認める判決を下した

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