公衆トイレでの性行為など、強制的に防止へ。イギリスの新システムに、なぜ批判が集まっているのか

公共の施設での不適切な行為を取り締まる取組み。賛同の声もある一方、批判も多く集まり議論となっている。その背景にあるイギリス(ウェールズ)の社会問題とは?

英・ウェールズの公園にある公衆トイレが議論となっている。

トイレ内での性行為や暴力行為などを強制的に防止するための仕組みが導入されることになったと、CNNなどの海外メディアが8月17日に報じた

公共の施設での不適切な行為を取り締まる取組み。賛同の声もある一方、批判の声も上がっているのは一体なぜなのか?

公衆トイレのイメージ
公衆トイレのイメージ
RSC Architect

CNNによれば、仕組みが導入されるのは、ウェールズの南に位置するポーチコールという街のグリフィン公園に設置された公衆トイレ。

2人以上が同時に入ったり、暴力的な行為を検知すると反応するセンサーを取り付け、異常が検知されると冷水が噴き出す仕組みとなっている。

また、ホームレス状態の人などがトイレの中で長時間寝たり、過ごしたりすることを避けるため、 一定の長い時間トイレの中にいると、照明と冷暖房が切れるという。

トイレの使用後には、毎回床と壁を洗浄し、夜になると自動的に清掃するシステムが設けられる。

新システムの導入、「バリアフリーへの配慮足りていない」との批判も

このシステムの導入をめぐっては、SNS上で批判も相次いでいる。

イギリスのBBCは17日、このニュースをツイッターでも報じた。

そのツイートの返信では、「非常にばかけている。障害を持っているなど、助けが必要な人のことを考えてなさすぎる」、「バリアフリーへの配慮が全く足りていない」、「ホームレス状態の人が公衆トイレで寝ることを余儀なくされるくらい困っているなら、ハイテク技術で追い払うのではなく、支援の手を差し伸べるべきではないか?」など、批判の声が多くあがった。

地元メディア・ウェールズオンラインによると、この仕組みを取り付ける為の予算は17万ポンド(日本円で約2200万円)で、有料トイレとする計画だが使用料金は未定だという。

新しい仕組みは、現在のトイレを2019年10月に解体した後に、設置する見込みとなっている。

公衆トイレについての議論の声をきっかけに、イギリスにおけるバリアフリーや、いわゆる“ホームレス問題”などが改めて浮き彫りとなった。

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