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2019年09月07日 17時53分 JST | 更新 2019年09月09日 13時53分 JST

「助けての一言が言えない」母親はなぜ支援の手を振り払ったのか【目黒5歳児虐待死裁判・母親への質問②】

DV、暴力を振るわれている認識はなかったという優里被告。 ただ家族の異常を「もう自分では、このおかしさを変えられない」

東京都目黒区のアパートで2018年3月、当時5歳だった船戸結愛(ゆあ)ちゃんが亡くなった。

結愛ちゃんが両親から虐待を受けて死亡したとされるこの事件で、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の優里被告(27)の公判が開かれている。

Huffpost japan/Shino Tanaka
船戸優里被告は被告人質問で裁判長の正面にある証言台につくと、落ち着いて質問に答え始めた

午前10時から始まった被告人質問では、異様な食事の実態が明らかになり、「結愛の顔が怖くて見られなかった」という優里被告へ、検察は虐待の容認ではないかと問いただした。

検察官は、優里被告の目を見て「うん、うん」と小さな声で傾聴のしぐさを見せ、ゆっくりと質問を重ねた。

そして、支援の手をことごとく振り払った母親の行動について、言及していった。

雄大被告から妻・優里被告へ暴力

これまで、結愛ちゃんが受けていた暴力や虐待の状況を聞いていた検察官。

「別のことを聞きます」と話を変えた。内容は、優里被告に対する暴力についてだった。

Huffpost japan/Shino Tanaka
船戸優里被告に虐待の経過について質問する検事=2019年9月6日、東京地裁

 (検察官)ーーあなた自身が、雄大から暴力を振るわれたという話。昨日の話では、頭を叩かれる、あごをつかまれて顔を揺さぶられる、それ以外にはありましたか。

暴力?暴力…はい。

首をかしげる優里被告。

ーーそれ以外に、言うと難しいですけど、鼻つまんだりだとかつねるだとかでも。そういうことをされたことはないですか。

ないです。

 

ーー頭を叩かれただとか、そういうのはいつ頃で何回くらいされていましたか。

優里被告は一瞬下を向き、黙った。そしてもう一度検察官のほうを見て、考えがまとまらない様子で口を開いた。

説教中のことって…結構記憶が薄い部分があって……。

いつ頃何回かっていうところまでは分からないんですけど、そういうことをされたっていう記憶だけはあります。

 

ーーちょっと細かく聞いていきますね。それは香川時代の話?

これは、香川時代の話。

家族は、2018年1月に東京で転居するまで、結婚してからずっと香川県で過ごしていた。

 

ーー東京に来てからは無かった。

はい。

DV、暴力を振るわれている認識はなかった。「全部私と結愛のため」

話は、一家が香川県で過ごしていたときの状況に移っていく。

児童相談所や市役所、病院など様々な機関が関わっていたが、支援の手は母親と子どもへ届いていたのだろうか。

 (検察官)ーー昨日弁護士さんからもありましたけど、結愛ちゃんが(香川県の児童相談所に)1回目の一時保護をされたとき、女性課の人から電話があって「結愛ちゃんがお母さんが殴られている」って言っているから、あなたに対して「暴力はないですか」って聞いてきたことがありましたね。

昨日の発言だと、(児童相談所の職員の)Aさんが言ってきたんじゃないかなっていう発言をした…と思うんですけど、たぶんAさんじゃなかったのかな?

その…記憶があいまいなんですけど。誰か女性とはそういう会話をしたと思います。

 

検察官は女性課の説明をする。そしてさらに「もうちょっとあなたに詳しい話を聞いたと思うのだけど」と言いかける。

質問の内容をさえぎって弁護人が立ち上がり、挙手して補足する。

「昨日の答えは、『女性課の人かどうかは分からない』という風に言いました。『女性課の人から』ではない」と言い、席に着いた。

 検察官が質問を再開する。

(検察官)ーー分かりました。そこは撤回いたします。あなたが暴力を加えられてないかとか、聞かれませんでしたか。

車の中で話しました。

 

ーー警察官ではなく、ほかにね、香川県の職員から電話はなかったですか。

たぶんまだ、誰が誰だかっていうのがあたしもその時分かってなかったんですけど、今の記憶では、女性と会話したのは覚えています。

 

(裁判長)ーー女性警察官以外で?

はい、そうです。電話でってことです。

 

(検察官)ーーその時にね、「暴力を振るわれてませんか」とか「暴力振るわれてませんか」って詳しく聞かれませんでしたか。

会話の内容は分からないんですけど、会話の最後に、女性の施設がありますよって言われて、切った。その会話だけは覚えています。

 

ーーあなたとしては、「暴力をふるわれていない」っていう話をした記憶はありませんか。

そうですね…。前日の女性警察官とのやりとりがあって、暴力っていうのは……。

私がもともと無知だったていうのがあり、暴力への認識を間違えてしまっていて、「自分は暴力はされていません」って言いました。

 

これまでの公判で、結愛ちゃんが一時保護された際に優里被告が2回「自分も保護されたい」と訴えていたことが語られている。

訴えを聞いた女性警察官は、警察の車両の中で「あなたも暴行されていますか。アザはありますか」と尋ねる。

「グーで殴られることが暴力だと思っていた」という優里被告は「アザが無い、暴力はされていない」と考え、「ないです」と答えていた。

結愛ちゃんは何度も、母親への暴力についてSOSを伝えた。

なぜ優里被告は、素直に暴力を受けていると言えなかったのだろうか。

そこには、「DVを受けている」という認識の欠如と、夫に対する恐怖が重なりあっていた。

 

ーー(児童相談所の)Aさんからもね、「結愛ちゃんがお母さんが叩かれる」って言っていますけどどうですか?って聞かれた記憶はありますか。

確認されたかもしれないです。

 

ーーこの時は、「無い」って答えたの?

そういう問いに対しては、全部「無い」って答えています。

 

ーーどうして?

それは雄大が逮捕されるのが、一番の恐怖であるから……です。

 

優里被告は、香川県で結愛ちゃんとともに通っていた医療機関の育児支援外来でも、「夫に殴られている」という話はしていないと認めた。

捜査段階でも、検察官らに「暴力は振るわれていない」と「みんなに言っていた」と語る。

 検察官は、疑問を口にした。実際は暴力を受けていたのだとしたら、なぜ誰にも言わなかったのだろうか。 

 

ーー本当の話、実際あるということだけど、どうして「暴行は無いんです」って言っちゃったの?

一つ目の理由としては、やっぱり雄大が「俺はお前に暴行なんてしていないよね?」っていうような感じがあった。

やっぱり説教されるなかで「全部お前と結愛のためにこういうことをするんだ」って話が何度も何度も出てくるので、それで私が「それは暴行ではないのかな」というのと、暴行がバレて雄大が逮捕されるっていうのを恐れました。

 

ーー暴行って、殴る蹴るだけと思っていたんですか。

そうですね。はい。

 

ーーこれまで子どもを連れて、雄大の元から実家に逃げ帰ったこともないですよね。

逃げ帰るって言うと、すごい大袈裟なんですけど、実家に居場所を求めるというか、安らぎに行くってことはありました。

 

ーーそうじゃなくて。もう耐えられない、と夫に黙って子ども連れて実家帰っちゃう。そういうことはなかったの?

黙っては、逃げられないです。

 優里被告は、当然そうだろうといった口調で、かぶせるようにして検察官に返答した。

 

 「逮捕されたかった」もう自分では、このおかしさを変えられないーー追い詰められた焦燥感

話は、東京に来てから結愛ちゃんの死の直前の時期に移り変わった。

初公判で証人尋問に呼ばれた小児救急医は、結愛ちゃんについて「心臓が止まる直前まで、救命措置の可能性があった」と語り、亡くなる数日前の嘔吐に気が付いた時点で病院にかかるべきだったと指摘していた。

検察官は、なぜ医療措置を受けさせなかったのか質問を開始。

優里被告は、数年前の記憶を語るときは落ち着いて受け答えができていたが、衰弱していく結愛ちゃんの状況が語られ始めると、だんだんと冷静さを失っていった。

 

ーー2月27日ころから、わずかに与えていた食べ物も吐くようになっていましたよね。あなたは結愛ちゃんの黒くなったアザを見て、「雄大が殴って脳に強い衝撃を受けて吐くようになったのではないか」と思ったことなかったですか。

一瞬、思いました。

 

ーー雄大に「病院は?」って話はしましたか。

初めに吐いたときにしたと思います。

 

ーーそれに対して雄大が「顔のあざが消えたら行こう」と。どういう意味だと思いましたか?

どういう意味…どういう意味かまでは考えなかったです。やっぱり雄大が、アザがあると逮捕されるから。

 

検察官は少し乗り出し、落ち着いた声でかぶせるように聞いた。

ーー雄大、だけですか。

(数秒置いて)私も……だと思います。その時思ったのは。雄大も逮捕されるし、私も逮捕されると。

これまで、雄大被告が逮捕されることを恐れて、かばうような言動をしていたという流れから、優里被告が口にした「私も逮捕される」という言葉に、法廷がにわかに緊張感を増したように見えた。

理由を、検察官が掘り下げた。

 

ーーなんであなたも逮捕されると思ったんですか。

何で?母親だからです。

 

ーーご主人の暴力を見過ごしたから、逮捕されると、こう思ったんですか。

もともと説教の中で、雄大は「お前のせいで俺はこうなった」っていう話がすごい出てきたんですけど、結愛のアザがあるのは確実で、結愛が目の前で見ているわけだから。

それを、雄大がやったというのも、私がやっていないので、確実で。

結愛が自分でつけるわけじゃないから。だから、雄大が……えっと、ごめんなさい質問を忘れました。

優里被告は、2月下旬の記憶を少し遡り、一呼吸で言葉を並べて息切れし、肩に力が入り始めた。

検察官は、同じ質問を繰り返した。優里被告は、そう信じているかのように力強く、意外な言葉を並べ始めた。

雄大の、雄大のやったことは、全部私の責任です。

だから、逮捕されるのは当然というか。雄大が、暴行した。あざを作った。

ということは、逮捕につながることじゃないですか。

それをやったのは、やったのは雄大かもしれないけど、でも、そこまで追い詰めたのは、私。

結愛を守らなかった。雄大が、ストレスなく生活できる環境を作れなかったっていう。 

 それも含めて、すべて私の責任なので、私が逮捕されるべきだと思います。

 

ーー逮捕されるというけど、でも病院ですよね。病院行ったら逮捕されるって思いましたか?

そこまでは考えてなかったと思います。

 

検察官は、結愛ちゃんが亡くなってから2日後の優里被告の供述調書を開いた。 

『それは、今まで香川でも2回ほど調書を取られてますし、こっちきて旦那がしたってことは明らかなので、病院連れていったら100%プロなのでどういうことが理由でこうなったか分かる。警察に言ったらこの後どうなるかというのも想像ができているので、避けました』『私はもう逮捕は確実。旦那もそうですし、それを見過ごした私も同罪なので』(2018年3月4日)  

 ーー間違いないですか。

そう答えたか分からないけど、調書にあるならそうだと思います。正直にそう話していると思います。

 

ーーあなたとしては、旦那さんの報復が怖かったなんて話をしていますけどね、自分が逮捕されるのが怖くって、病院に行かなかった面もあるのよね?

ここで裁判長から「少し誘導になっています」と注意が入る。優里被告は間髪入れずに語り始めた。

自分が逮捕されるっていうのは、もともと結愛の話でもあった通り、香川の病院でも、私は逮捕されたかった。

こう言ったら、おかしいんですけど。

自分の家庭の環境の悪さっていうのは、やっぱり自分が一番認識してて。

してて…(声が上ずり、言葉が止まる)…私は、自分がおかしいというか、誰か…自分で自分をどうにもできないから、誰かの力を借りないと、この状況から抜け出せないと思っていて、なので、自分が逮捕されるのは全然かまわないです。

 

ーー夫の報復が怖かったって話が出ているんですけど、報復って何ですか。

例えば、結愛を連れて逃げるってなった時に、「俺は全国各地、色んな所に友達がいる」って、そういう説教があるんですけども、だんだん……この場で言うのもおかしいけど、殺されるとか、そういう……感じ、です。

 

ーー殺される?そう思った根拠を詳しく教えてもらえますか。

まず、一番最初が、私がもし浮気したらどうするのか、という話のなかで、「殺す」って言われたことがあって。

それは冗談とかじゃなくて本気の顔だなと思っていて。

それからちょっと意識し始めて。説教って言うのも、普通の精神状態に戻ったら、「この人異常だな」って思って、そういう最悪の状況っていうのも、私の性格ではあるかもしれないけど、追い詰められる。

「助けての一言が…言えないんです」

雄大被告の暴力を隠し続け、児童相談所や行政機関、病院にすら転居先を告げずに雄大被告のいる東京に、子どもと共に引っ越していった優里被告。

支援の手を振り払い続けた、その理由が語られた。

Kittisak Jirasittichai / EyeEm via Getty Images
精神的に支配されると、正常な思考力がなくなっていく

 ーー結愛ちゃんが吐く日が続いた2月27日以降、危険な状態になっているとは思いませんでしたか。

本能的には思っていると思います。

 

ーー3月2日に、まぶたのスピードが明らかに遅くなってね、普通じゃない状態になっていて「このままじゃ死んじゃうんじゃないか」って不安になりませんでしたか。

不安にすごくなって、だけども、バカみたいに…なんかこう「大丈夫、大丈夫結愛は絶対治る」って自分勝手なんですけど、そういうことしか思い…ませんでした。

 

ーー体の傷からすれば、相当頻繁に雄大から暴力を加えられたんじゃないかって推測できる。結愛ちゃんがあなたに「パパに殴られた」「シャワーで水を掛けられた」とか、訴えられたことはないんですか。

優里被告の様子が変わり始めた。結愛ちゃんのことを語ろうとすると、涙声が混じり始め、「訴え…」とつぶやくように声を漏らすと、だんだんと抑揚が強くなっていく。

私が、ちゃんと……結愛と親子関係を築けていなかったし……あたしが結愛に…聞いてあげなかったので、結愛もきっと…言えなかったと思います。

 

ーー「パパにこんなことされるなら、家になんか居たくない」とか「パパのいないところに行きたい」とか、そういうことを言ったことは。

2月の最初に、そういうやりとりがあったと思います。でも「頑張ろう」って感じだったと思うんです…分からないです。

 

ーー(香川県で)2回目の児相保護の時に結愛ちゃんが「パパに暴力を振るわれた」という風な話をしているのを聞きましたよね。あなた自身は結愛ちゃんが嘘を吐いているんじゃなくって、実際に暴力を雄大が振るっていたと思っていましたか。

思っていました。

 

ーー児相や警察には、こういう風に言うようにってメモを渡されて、その通り話したと。警察や児相には夫は隣に居なかったですよね。「夫には言わないでほしいけれども、実際は暴力を振るっているから助けてほしい」と、そう言おうとは思わなかったんですか。

言ったら絶対、雄大の耳に入るので……言えなかったです。

 

ーー当時は離婚したいという思いはあった。

ずっとありました。

 

ーー夫が逮捕されたら、離婚できるって思わなかったんですか。

逮捕された後に、死刑とかにならない限り、絶対に戻ってきて、絶対に報復されるから、絶対全国どこに逃げても、探偵使ってでも追いかけられるから……できないです。

 

ーー結局、夫の暴力の隠ぺいに加担した。

結果的にはそうなると思います。

 

ーーそうなると、結愛ちゃんに対する暴力は続くことになっちゃいますね。それでよかったの。せっかくね、児相とか警察がね、入っているんだから、そこで助けを求めなかったら、「助けを求められなくなる」って思わなかった?

助けを…?

何度も、助けっていうか……助けを…。

「助けて」の一言が、言えないです。

病院の先生には、アザを見られたし、(児相の)Aさんにも、あたしは苦しくなったら自分の太ももを叩くんですって、電話で話して、でもAさんは「ああ、そうですか~」って。

そういう自分なりの精一杯のSOSっていうのは、とても自分勝手なんですけど、結愛を守るためには、自分の心のゆとりが無いことには、絶対結愛のことを守れなくて、だから周りからどんなに自分勝手って思われても……。

やっぱり、自分…の、できる最大限の、助けてとは言えないんだけど、SOSは出したとは思っています。

 

ーーでも、あなたは2回目の保護の時に、積極的に嘘を吐いて雄大の暴力を隠しましたよね。それもあって…

質問を遮って、優里被告が強い口調で返した。

積極的に、嘘はついていません。

 

ーーでも雄大からこのメモを渡されて、こう言えって言われて、思っても無いことを言ったわけでしょう。結局、結愛ちゃんが施設に入ることも夫が逮捕されることもなかった。

積極的に嘘を吐いてやろう!っていう積極的に、ではないです。

 

ーー転居に当たって、香川県の児相に転居先も言わなかった。

昨日の(児相の)Aさんの話でちょっと違う点がある。

まず、それまでのAさんとの関係は良好ではなくて、児相に対して間違ったイメージがあって、私がAさんに歩み寄れなかったのが全部いけなかったんですけど。住所言うのも悩んでしまって。

最後、「住所どこですか」って聞かれたときに「言いたくありません」って、これまでの関係がぎくしゃくしていたから。

だけど(優里被告が)「調べれば分かりますか」って聞いたら、「調べれば分かりますけどね」こう、なんだろう…そんな感じに言われたこともあり……。

 

ーー医療機関を紹介すると言っていた病院にも言いませんでしたよね。

先生とも、まだ「助けて」の一言が言えなかった私の責任なんですが、それが言えない。

言えないということは、どこかちゃんとした関係が築けていなくて、どこか言いたくないなって気持ちがあって、言えませんでした。

 

優里被告はその後、東京の転居後に結愛ちゃんを幼稚園などに通わせようと園を探したことなどを話した。

「住所を転居してから、少なくとも数回見学をしてから」と説明され、手続き中に小学校に行くことになりそうだったので、断念したという。

香川県で通っていた医療機関のアートセラピーの担当者から転居後に連絡も入っていたが、返事を返さなかった。

実家にも、相談することはなかった。その理由を「雄大の機嫌が東京に行くってなってからだんだん良くなって、結愛にも手を挙げなくなって、治った!って思いました」と説明した。

最後、検察は支援の手をつかめなかった理由を聞いた。

 

ーーあなたとしては、児相も警察も医療も、誰も助けてくれなかったって思ってますか。

証人の方の中では、私に「頼って相談してほしかった」という話があったんですが、あたしとしては、ああいう立場になった時に、「助けを求める」一言が言えない。

これがあって、結果的に、結愛をぼろぼろにして、死なせたって……ことは…事実なので…皆さんは結愛のために一生懸命やってくれた。

私が全部悪いと思っています。

 

優里被告は嗚咽しはじめ、肩を丸める。

ーーいろんな人が、あなた自身に手を差し伸べてくれている。住所を教えないなどして、あなたがそれをすべて振り払った。あなたも結愛ちゃんも誰も助けられない状況を自分で作りだしていた、とは思っていますか。

今思えば、あたしのそういう行動すべてが結愛の死につなげてしまったと思うんですけど、その時は……、本当に必死に、ただ結愛のために、結愛を助けるためにやった行動が…結果的にそれが全部、結愛を死につなげてしまった、と思っています。

夫からの呼び名は「バカ嫁」「バカ娘」ーー結愛ちゃんと2人で手紙を始めた経緯など【弁護側被告人質問】に続きます)  

5歳児を追い込んだ虐待の背景は。公判で語られた事件の内容を詳報します

2018年、被告人らの逮捕時に自宅アパートからは結愛ちゃんが書いたとみられるノートが見つかった。   

「もうおねがい ゆるして ゆるしてください」 
5歳の少女の切実なSOSが届かなかった結愛ちゃん虐待死事件。

行政が虐待事案を見直すきっかけにもなり、体罰禁止や、転居をともなう児童相談所の連携強化などの法改正が進められた。

この事件の背景にある妻と夫のいびつな力関係、SOSを受けとりながらも結愛ちゃんの虐待死を止められなかった周囲の状況を、公判の詳報を通して伝えます。 

この記事にはDV(ドメスティックバイオレンス)についての記載があります。

子どもの虐待事件には、配偶者へのDVが潜んでいるケースが多数報告されています。DVは殴る蹴るの暴力のことだけではなく、生活費を与えない経済的DVや、相手を支配しようとする精神的DVなど様々です。

もしこうした苦しみや違和感を覚えている場合は、すぐに医療機関や相談機関へアクセスしてください。 

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