パリス・ヒルトンも参上。意識の高さが渦巻くイベント in LA

会場には、体型も年齢もバラバラの女性たちが並んでいました。
辛酸なめ子
辛酸なめ子

ちょっと前にW20というイベントを見学する機会がありました。G20に向けて女性に関する政策を提言する大会で、ノーベル平和賞のマララさんが登壇したり、超キャリア系女性が集まって女性のエンパワーメントについて意見を発信したりで、その渦巻く知性と意識の高さに圧倒されました。

一瞬和んだのは、マララさんが来日して安倍首相と会食した時、アボカドか何かと間違えてワサビを大量に食べてしまい大変なことになったというエピソード。誰か教えてあげなかったんでしょうか…。日本のおもてなしのレベルが問われてしまいます。

そこに登壇していた、ゴールドマンサックス副会長の赤いスーツの女性がすごく頭が良さそうでデキるオーラを放っていて憧れました。ああいう人生を送りたかったと思いを馳せました。

Mutsumiさんによると、LAでもそんなエンパワーメントなイベントが開催されているそうです。最近、Mutsumiさんの知り合いの直子さんという女性が日本から泊まりに来て「GIRLBOSS RALLY」という名称だけでも怖気付きそうなイベントに参加してきたそうです。

直子さんは、この連載をご覧になって以前一度会ったことがあるMutsumiさんにコンタクトを取ったというエピソードだけでも素敵な方。フリーランスでウェブ関係の仕事をしたあと、クラウドファンディングの会社で働いているそうです。そして近々、起業する計画があるとのこと。

様々な分野の挑戦する女性同士が、情報交換したり専門性をシェアしてネットワーキングができるコワーキングスペースを立ち上げるご予定だそうです。お互い高め合っていく空気なのでしょうか。そのコワーキングスペースのターゲット層と「GIRLBOSS RALLY」の客層に共通性があると思った直子さんは、過去二回も参加していますが、今年も参加することにしたそうです。ちなみに気になるのはチケット代ですが、聞いたら

「チケットは安くはなく、今回は一般チケットは約4万円。特別なサービスが受けられたり、登壇者にも会えるVIPチケットはすでに売り切れだったようですが、昨年のVIPチケットは約8万円だったそうです」

とのこと。さすがLA価格です。

「GIRLBOSS RALLY」のサイトを見てみました。自己実現を果たした女性たちの輝く笑顔の写真がまぶしいです。「A conference and community for ambitious women.」というキャッチフレーズが。アンビシャスウーマンが集まるイベントなんですね。公式インスタグラムには、時々女性を鼓舞するような言葉が載っていました。

「女性はリスクを嫌っているわけではありません。リスクを意識しています。そのことにどんな違いがあるでしょう? 私たちは意味不明なリスクを取りたくないのです」

「あなたはたくさん失敗するでしょう。でも失敗はあなたのコンパスです。失敗はあなたが別の方向に行くのを助けます」

「より多くの女性の居場所を確約する方法は、中小企業を支援することです」

「自分を愛しなさい。自分を養いなさい」

など……。拙い訳ですみません。今まで考えたことがなかった発想の数々に刺激されます。

実際のイベントは、トークとレクチャー、そしてワークショップなどが会場のUCLAの各所で行われて、ファイナンシング、ブランディング、マーケティングなどを学べるようなプログラムが豊富だったようです。直子さんは、そこでさらなる高みへ上昇するパワーを吸収されたのでしょうか。

「彼女としては自分自身のビジネスの参考になったみたいです。自分が自分のサービスのユーザーになった立場で体験できたと言ってました。

あと、自分の中の固定概念に気付いたらしいです。その内の一つが、ビジネスウーマンはパリッとした見た目をしていないといけないということ。仕事ができることと洗練されていることはリンクしていると無意識で思っていた自分に気が付いたそうです。GIRLBOSS RALLYに来ていた人は体型も年齢もバラバラで、例えばすごいふくよかな人も堂々としていて、どんな人でも自分が好きなことを好きなようにやっていいんだ、という開放的な空気だったみたいです。

日本人のキャリアウーマンはだいたい小綺麗で身だしなみもきっちりしていますよね。でも見た目のイメージでのとらわれや、コンプレックスから開放されるきっかけになったそうです」

W20の出演者は海外の人もピシッとスーツを着こなしていましたが、世代的なもので、将来はどんどん自由になっていくのかもしれません。

ちなみに、「GIRLBOSS RALLY」の出演者にパリス・ヒルトンがいるのが元ファンとしては気になります。どんな話をしたんでしょうか。

「パリスは、主に自分の活動、事業や本気のDJ稼業について話をしたそうです。直子さんの第一印象は、声が意外と低くて、かわいいというよりかっこいい戦略家、ということ。しかも酒焼けしてる感じの声だったそうです。でも動きはアイドルっぽくクネクネしているのに、対談からは地道な努力家気質を感じたとか。そして、彼女は何を言っても笑いを取れる感じで、バラエティタレントというか天性のエンターテイナーなキャラになっていたそうです」

パリスの笑える発言、過去にも「わたしには身分証明書なんて必要ないの。わたしのおじいちゃんがこの街を作ったのよ」「ウォルマートって何? 壁関連のものとか売っているところ? 」「私はダイアナ妃のような存在になれた」とか、いろいろありました。

年を重ねてタフになって笑いを取れるセレブキャラになったのも納得です。パリスの近況が間接的に聞けて感無量です。パリスのように、強力なキャラを確立するのも、アメリカで成功する秘訣なのだと学ばされました。
(2019年08月07日note「辛酸なめ子の「LAエンタメ修行 伝聞禄」より転載)

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