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2019年09月21日 17時53分 JST | 更新 2019年09月21日 18時48分 JST

ラグビー選手に「日本ではタトゥー隠して」世界で論争に ワールドカップ

選手のタトゥー(入れ墨)をめぐる話題が世界で論争を巻き起こしている。

ASSOCIATED PRESS
ニュージーランドの先住民族・マオリの伝統的なタトゥー

9月20日に開幕したラグビーワールドカップ日本大会(9月20日〜11月2日)で、選手のタトゥー(入れ墨)をめぐる話題が世界で論争を巻き起こしている。大会を統括するワールドラグビーが、日本の公共のプールなどでタトゥーを隠すように選手たちに推奨しているからだ。

アジア初のラグビーワールドカップ開催となる今大会。それに伴う文化の衝突の典型的な例として、CNNやBBCなど各国のメディアが取り上げている。

 

サモアチームは「スキンスーツ着用」

多くの選手が伝統的な慣習としてタトゥーを入れているサモアチーム。

大会を統括する団体「ワールドラグビー」は9月17日、チームが、「文化の衝突を避けるために」タトゥーを隠すスキンスーツを着用すると発表した。日本の文化について学んだことを受けての決定だとしている。

 

Robert Cianflone - World Rugby via Getty Images
サモアのジャック・ラム選手

チームのマネージャーは、「タトゥーの語源はサモアの言葉”タタウ”だ」と紹介。タトゥーはサモアの伝統文化であり、一定の年齢になると若い男子のほとんどがタトゥーを入れると話している。

しかしチームは隠すことを選択した。

キャプテンのジャック・ラムは「私達の文化でタトゥーは非常に一般的。しかし、私達は日本のやり方に敬意を払いたい」と、その意図を語っている。

また、ニュージーランド代表も同様に受け入れた。スター選手のアーロン・スミスも、記者会見でタトゥーを隠すことについて問われ「私達は日本に滞在するからには、彼らのやり方、文化を受け入れる」として、「問題はない」と語っている。 

 

ワールドラグビーは数年前から「タトゥー隠し」を奨励

ワールドラグビーは数年前から、各チームに対して、公共のプールやジムを使用する際にはタトゥーを隠すように奨励していた。

2018年のニュージーランドのメディアによると、トーナメントディレククターのアラン・ギルピンは、奨励に対して異議を申し立てたチームはなかったとしている。

「強制したわけではないが、彼らは隠すと思います。皆、日本の文化を尊重していると見られたいからです」とその理由を語っている。

 

Matt Roberts - World Rugby via Getty Images
アラン・ギルピン氏

チームだけでなく、観戦に訪れる観光客に対しても、同様に「タトゥー隠し」についての注意が呼びかけられている。

ワールドラグビーのサイトで紹介されている日本文化の項目では、タトゥーについて以下のように紹介されていた。

日本では、タトゥーは偏見を呼び起こします。理由は、伝統的にタトゥーが犯罪集団の「ヤクザ」に関連付けられているからです。これは、タトゥーのある観光客がジムや温泉に入れないといった問題を引き起こすでしょう。 しかし、隠したり長袖のTシャツを着たりすれば防げる問題です。旅行の計画には影響しないでしょう。多くのラグビー選手やファンがタトゥーをしていることは知られており、大会ホストとなる都市や周辺の多くの温泉では、大会期間中にルールの緩和をしています。もし心配であれば、事前に問い合わせると良いでしょう。

また、この案内では、タトゥーだけでなく、日本が時間に厳しいこと、整列が「プロ並み」であること、公共交通機関で飲食をすることなども、マナー違反にあたる可能性があるとして警告している。

 

日本側の反応は?

それに対して受け入れる日本側。観光のグローバル化によって変化を迫られている。しかし一方で、市民の意識は、まだそのスピードに追いついていないことが明らかになる事態も発生した。

2013年、ニュージーランドの先住民族・マオリの女性が、伝統的な口元のタトゥーを理由に、北海道で温泉への入浴を拒否されたことが明らかになった。

その後、観光庁は、外国人観光客の急増に伴って、タトゥーに関する整備が必要として対応を進めてきた。

gorodisskij via Getty Images
イメージ写真

2015年の観光庁による調査(約3800施設対象、回答率約15%)では、全国の56%の旅館やホテルが「タトゥー(入れ墨)」のある人に対しては入浴「お断り」としていた。31%は「お断り」としておらず、13%が「シール等で隠す」条件付きでの許可としていた。

その後、2016年に観光庁は、業界団体への通知で「入れ墨をしていることのみをもって、入浴を拒否することは適切ではない」と明言。シールで覆ったり、入浴時間帯を分けるなどして、両者が共に温泉などを利用できるよう、施設側に求めていく対応を発表した。

だが、実際の現場では「拒否は不適切という観光庁」と「不快を訴える利用客」との間で板挟みになり、対応に苦慮しているようだ。

ニュージーランド代表などが公認キャンプ地としている大分県別府市。市旅館ホテル組合連合会はラグビーワールドカップの開催を機に、別府温泉などで全面的に「タトゥーOK」とするかどうかの検討を進めてきた。

だが、3月〜6月、日本人客約2000人にアンケートをした結果、「認めてもいい」との回答はわずか12%。連合会としての全面解禁は見送った。

別府温泉では代わりに、外国人向けのサイト「ENJOY ONSEN」でタトゥーOKの入浴施設を案内。個別の施設ではOKとするところも多くなっており、100施設以上が掲載されている。

 

タレントのタトゥーに批判も

日本ではテレビで人気のタレントに批判が集まった例もあった。

2018年にりゅうちぇるさんが、タトゥーで妻と息子の名前を刻んだとInstagramで公表すると、批判が殺到。その後、りゅうちぇるさんは「それなりに予想はしてたけど」とあまりの殺到ぶりに驚きを表明。「こんなに偏見のある社会 どうなんだろう。仕方ないよね。ではなく、僕は変えていきたい」と自身の思いをつづっていた。