表現のこれから
2019年10月09日 14時17分 JST | 更新 2019年10月09日 14時20分 JST

「NBAは表現の自由を守る」チーム幹部が“香港デモ支持”ツイート、中国で批判。トップが釈明

中国バスケットボール協会やスポンサーがNBAやチームとの関係を中止すると表明。NBAの姿勢に、アメリカ国内からも批判の声が上がっています。

Rio Hamada / Huffpost Japan
日本で8日に開催されたヒューストン・ロケッツと、トロント・ラプターズの試合

米プロバスケットボールNBAが、表現の自由をめぐって揺れている。

ヒューストン・ロケッツのゼネラルマネジャー、ダリル・モーリー氏が、香港の民主化デモを支持するツイートを投稿し、中国側から批判が噴出。

中国バスケットボール協会やスポンサー企業が、NBAやチームとの関係を打ち切ると表明し、NBAが緊急声明を出す事態に発展している。

NBAトップのアダム・シルバー氏が10月8日、日本で開催しているプレシーズンマッチの記者会見で「私たちの立場についてたくさんの誤解が生じている」と釈明。中国との関係修復を図る一方で、「表現の自由を守る」と表明したが、NBAの姿勢に対してアメリカ国内からも批判の声があがっている。

Bob Levey via Getty Images
ツイートしたダリル・モーリー氏

中国で人気チームのGMが、香港デモを支持するツイート

騒動のきっかけは、モーリー氏が10月4日に投稿した、香港デモを支持したとされるツイート(すでに削除)。中国側からの厳しい批判を浴び、中国バスケットボール協会やロケッツのスポンサーが、NBAやロケッツとの提携関係を中止にすると発表した。

モーリー氏は7日のツイートで、「ロケッツファンを中国の友人たちを不快にさせるつもりはなかった」と釈明。「ツイートはロケッツやNBAを代表するものではない」と断った上で「あくまでも、とても複雑なイベントの、一つの解釈に基づく一つの考えとして表明しただけです」と投稿したが、余波が広がっている。

この事態にNBAも動いた。中国のSNS「微博」Weiboの公式アカウントで7日に声明を発表した。

モーリー氏のツイートが、多くの中国の人やファンを不快にさせたことについて「残念だ」と表明した上で、「NBAの価値観は、自ら学び、自身が重要だと感じることへの考えを共有する個人を支持する」とつづった。

ところが事態はさらに広がり、中国の放送局CCTVが、今後はロケッツの試合を放送しないと表明。さらに、12日に中国で開かれるブルックリン・ネッツとロサンゼルス・レイカーズの試合も放送しないことを決めた。

一連の騒動が大きくなった背景には、NBAやロケッツと中国の密接な関係性がある。

バスケットボール人気が高い中国では、NBAがこれまで大規模なビジネス展開をし、数々の試合を開催をしている。特にロケッツは中国のスポーツブランがスポンサーで、国民的スターのヤオ・ミンをはじめ中国人選手が過去に所属し、中国のファンとって特別な存在だった。

NBAトップ「表現の自由を守ります」

Rio Hamada / Huffpost Japan
10月8日に会見したアダム・シルバー氏

対応を迫られたNBAは10月8日、アダム・シルバー氏の名前で改めて声明を発表した。その中で、中国とアメリカが異なる政治制度や信条を持っていること、お互いに尊重し合うという認識を示した上で、NBAの立場をこう表現した。

「平等の価値観や表現の自由と尊重が、長らくNBAの役割を定めてきました。それはこれからも続いていきます。アメリカを拠点に世界中で展開するバスケリーグとして貢献できることは、試合を通じて示すこうした価値観です」

同じ日、リーグ開幕前のプレシーズンマッチ「NBA Japan Games」が日本で開かれており、シルバー氏は試合前の記者会見で一連の騒動について追及された。

シルバー氏は声明に触れながら「中国の何百万人のNBAファンやたくさんの人たちを動揺させてしまったことを後悔しています。 バスケットボールが夢や希望、体や心の健康を与える代わりに、みなさんの生活に混乱を与えてしまった」と釈明した。

声明では「NBA選手や働く職員、チームオーナーが、この問題に対して発言したり、また発言しないことに対して、何か制限するという立場をとることはありません」と表明している。

記者から「あなたの発言は、香港で働く職員の表現の自由を守るということを含んでいますか」と問われると「表現の自由を守ります」と答えた。

シルバー氏は、事態の収束を図るため、9日に上海に向かいNBAの立場について説明・議論することを明かし、「中国の人たちに共感、寄り添うことと、同時に私たちの原則を貫くことは、対立するものではないと考えます」と述べた。

Rio Hamada / Huffpost Japan
日本で開催されたヒューストン・ロケッツと、トロント・ラプターズの試合

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「伝える」が、バズるに負けている。ネットが広まって20年。丁寧な意見より、大量に拡散される「バズ」が力を持ちすぎている。 

あいちトリエンナーレ2019の「電凸」も、文化庁の補助金のとりやめも、気軽なリツイートのように、あっけなく行われた。

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