2020年インターハイ、東京オリンピックの影響で開催が危ぶまれる事態?その理由は…

中止の危機を救うため、高体連がクラウドファンディングサイトで寄付を呼びかけている。

2020年東京オリンピック・パラリンピックまで1年を切った。

オリパラ熱が高まる一方で、競技会場に利用される施設で開催を予定していたイベントが中止・延期を余儀なくされるなど、影響も広がっている。

高校スポーツの祭典・インターハイも、影響を受けているイベントの一つだ。北関東開催だが、大会時期が重なるため全国各地で分散開催となったことで費用の工面が困難となり、開催が危ぶまれている。

大会を主催する全国高等学校体育連盟(高体連)は、中止の危機を救うため、クラウドファンディングサイト「Ready for」で寄付を呼びかけている。

インターハイ女子バスケットボール
インターハイ女子バスケットボール
P&P浜松

必要な宿泊施設は20万泊分

インターハイは、高体連が1963年から毎年、夏の時期に開催している。サッカーや水泳、バスケットボールなどの全30競技で、全47都道府県から6000校以上、約3万6000人の選手や監督らが参加する一大イベントだ。

2004年からはブロック開催となり、複数の都道府県を会場に、順次持ち回りで開催している。2020年は北関東を会場に、8月10日〜24日の日程で開かれる。

大会期間中はのべ20万泊の宿泊施設が必要となるが、東京2020が開催される夏の時期と重なった。高体連の西塚春義事務局長がこう説明する。

「日程そのものはオリンピックとパラリンピックの間とはいえ、北関東は伊香保や日光など観光地も多いので、オリパラに来る外国のお客さんが足を伸ばして、宿泊施設を20万泊とるのは非常に難しい」

インターハイの様子
インターハイの様子
P&P浜松

そこで、もともと群馬、栃木、茨城、埼玉の4県だったメイン会場を、他の16府県にも広げ、全国で分散して開催することにした。

インターハイの開催費用は平均約15億円ほど。例年は開催自治体が7、8割、残りを高体連が負担している。今回、分散開催にかかる費用は開催自治体の負担が期待できず、高体連側が捻出するという。

「開催まで1年で、このままいくとお金が足りないという状況が出てくる」

インターハイはスタートした1963年からこれまで、一度も中止となったことはない。最後の手段として、クラウドファンディングに助けを求めたという。

高体連の西塚春義事務局長
高体連の西塚春義事務局長
Rio Hamada / Huffpost Japan

開催順をずらせず... 「危機が知られていない」

クラウドファンディングに至るまで、高体連側も数々の努力、工夫を重ねてきた。

2016年に特別基金を設けて、7億円を目標に寄付を募集。

高体連の加盟校で部活動をしている生徒、OG・OBや保護者、一般の人や企業を対象に募っているが、厳しい状況が続いているという。

「寄付を集め出した3年前の4月から、最新の額で5100万ぐらい。今のままで行くと、19競技でそれぞれ開催経費を圧縮して、最低限必要という分をまかなう形になります」

「高体連からの収入は、競技によっては専門部でプールしていたお金や、中央競技団体から補助を例年よりも多く出すといった対応しますが、見積もっている経費で足りない部分があります」

開催の順番をずらすことも検討した。

東京でのオリンピック開催決定を受けて、北関東ブロックから「開催の順番を変えて欲しい」という要望があった。そこで高体連は、21年以降の開催ブロックに順番の変更を打診したが、引き受けてくれるところがなかったという。

「北関東に、引き受けてもらえる競技だけやってもらえないかともう一度お願いし、11競技のみを引き受けてもらいました。残り19競技は、全国で分散開催することになりました」

西塚事務局長は、中止の危機を乗り切るため、こう呼びかける。

「1競技も開催できないようにはしないという覚悟でやっています。高校3年にとって目標とする大会がなくなってしまう。高校日本一を決めるインターハイを目標に一生懸命練習をやってきて、その年だけ競技がないということには絶対にしたくはない」

「インターハイが開催の危機にあることは知られていません。できるだけ多くの人に知ってもらってご協力をいただければと思います」

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