「恩赦」約55万人に実施 天皇陛下「即位の礼」にあわせて

罪をなかったことにする大赦や刑罰を軽くする減刑は行わないという。
10月18日、閣議に臨んだ安倍晋三首相ら
10月18日、閣議に臨んだ安倍晋三首相ら
時事通信社

天皇陛下が即位を国内外に宣言する「即位礼正殿の儀」が執り行われることに伴い政府は10月22日、政令恩赦「復権令」を公布、即日施行した。共同通信などが報じた。恩赦の対象者は約55万人と見込まれている。

恩赦とは一般的に、天皇陛下の即位など国家の慶弔時に、政府がすでに確定している刑事罰を特別に許したり、軽減させたりする制度のことで、世界各国で実施されている。

朝日新聞デジタルによると、今回対象となるのは罰金刑を受けたのち、一定の条件を満たす人が医師などの資格を取り直せるようになる「復権」が大半。罰金の納付から3年が経過し、その後再犯をしていない人が対象で、罪の種類は問わないという。

罰金刑になると、納付から5年間は国家資格を得ることができないが復権の対象になればそれが短縮されることになる。

また、恩赦の対象として公職選挙法違反者の公民権回復も約430人含まれるが、直近の衆参両院選挙と統一地方選の違反者は対象外としている。

罪をなかったことにする大赦や刑罰を軽くする減刑は行わないという。

恩赦をめぐっては、ネット上などでも賛否がわかれている。性被害や交通事故被害などに遭った人たちからすれば、恩赦の妥当性が腑に落ちないという心情もあるようだ。

実施を最終決定した18日の閣議では、恩赦の対象となる条件や基準を決定。今回初めて「犯罪被害者や遺族の心情に配慮する」と明記した。

恩赦とは?

法務省によると、恩赦とは、「①国の刑罰権を消滅させ、②裁判の内容を変更し、または③裁判の効力を変更もしくは消滅させること」。

恩赦の対象となる罪や刑を決めて一律に行う「政令恩赦」と、個別に審査する「特別基準恩赦」(個別恩赦の一つ)に分けられており、今回実施されたのは「政令恩赦」だ。

恩赦は、以下の5種類に分けられている。

大赦(たいしゃ):有罪判決を無効にする。有罪判決が出ていない場合は、公訴権が消滅する。

減刑:刑の言渡しが確定した人の刑罰を軽くする。

復権:有罪判決を受けたことで失ったり、制限されたりした資格を回復する。

特赦(とくしゃ):特定の人たちに対し、判決の言渡しの効力を失わせる。

刑の執行の免除:刑の執行のみを免除する。

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