表現のこれから
2019年11月05日 17時56分 JST | 更新 2019年11月05日 17時57分 JST

黒人のように肌を塗るメイクは「許可できません」。日本初上演『ヘアスプレー』の制作陣がメッセージ

「肌の色を理由に俳優がある役を演じる機会を否定するのは、それ自体が人種差別」とも言及した。

渡辺直美さんの主演で日本初上演されるミュージカル『ヘアスプレー』の演出・制作陣が「観客の皆様へ」とするメッセージを公式サイトで発表した

その中で「ブラックフェイス」(黒塗りメイク)の演出について反対の立場を表明したことが、ネット上で話題になっている。

ミュージカル『ヘアスプレー』公式サイト
ミュージカル『ヘアスプレー』

ミュージカル『ヘアスプレー』とは?日本版キャストの主人公には渡辺直美さん

ブロードウェイで大ヒットしたミュージカル『ヘアスプレー』は、1960年代のアメリカを舞台に、人気番組に出演することを目指すダンスが好きな女の子・トレイシーの奮闘を描いた作品。

主人公のトレイシーは、物語を通じて、人種や体型・性別などのあらゆる差別と対峙し葛藤しながら成長を遂げていく。

その内容は高く評価され、2003年にはアメリカの演劇界で最も権威のあるとされるトニー賞で最優秀ミュージカル作品賞を含む8部門を受賞している。

2020年6月に初上演となる日本版では、主人公のトレイシーを渡辺直美さんが演じるほか、山口祐一郎さん、Crystal Kayさんらがメインキャラクターを務める。

黒塗りメイクは「本作品が反対の立場を取っている、アメリカの人種にまつわる歴史の一ページ」

同ミュージカルの公式サイトの『Author’s Page』では、ミュージカルの演出・制作陣が「観客の皆様へ」と題して、「ブラックフェイス」(黒塗りメイク)の演出について、以下のように言及した。

 観客の皆様へ

 

『ヘアスプレー』のクリエイターである私たちが、高校やコミュニティシアターにこの作品の上演許可を出すようになったころ、黒人である登場人物をアフリカ系アメリカ人以外が演じるためメイクアップを行うことをめぐり、一部の人から質問を受けました。

 

世界中のすべてのコミュニティが『ヘアスプレー』の脚本通りにキャスティングができるような、見事にバランスのとれた民族構成メイクアップにはなっていない(駄洒落で失礼します)ことは理解していますが、当然ながら出演者の顔に色を塗ることなど(たとえそれが敬意をもって、控えめに行われるものだとしても)許可できませんでした。

 

というのも、やはりそれは結局のところブラックフェイス(黒塗りメイク)の一種であり、いうまでもなく本作品が反対の立場を取っている、アメリカの人種にまつわる歴史の一ページだからです。

「肌の色を理由に俳優がある役を演じる機会を否定するのは、それ自体が人種差別」

さらに後半では、演じる俳優の配役における制約や演劇そのものが持つ魅力についても触れた。

また、肌の色を理由として、俳優がある役を演じる機会を否定することは、たとえそれが “ポリティカリーコレクト(政治的に公平・公正)”であるとしても、それ自体が人種差別になることにも気づきました

 

ですから、本日ご覧になる『ヘアスプレー』の公演に(エドナ役を代々、男性が演じてきたように)本人の肌の色とは異なる役を演じている出演者がいるとしても、 “不信の一時的停止”という、いつの世も変わらぬ演劇的概念にのっとり、出演者の人種的な背景(あるいはジェンダー)を見るのではなくストーリーを味わっていただきたいと考えています

 

そもそもこのミュージカルのテーマは、物事を外見では判断しないことなのですから!演出やキャストが優れていれば(そうであることを期待しています!)、そういったメッセージは明確に伝わるでしょう。そして観客の皆様には、楽しみながらそのメッセージを受け取っていただけましたら幸いです。

 

感謝をこめて。

 

マーク、スコット、マーク、トム&ジョン