「娘の処女膜を産婦人科で毎年チェックしている」人気ラッパーT.I.さんの発言に非難殺到

WHOは処女検査に科学的かつ臨床的根拠はなく、「女性の人権の侵害」だと非難している。

グラミー賞を獲得したことで知られるアメリカの人気ラッパー・俳優のT.I.さんが、自身が出演したポッドキャストの番組で、毎年娘に“処女検査”を受けさせていると明かしたことが非難を受けている。

ガーディアンなどの海外メディアが、11月7日に報じた。

(※当該記事には、一部に性的な表現を含みます)

米国人ラッパーのT.I.さん(右)と娘のデイジャ・ハリスさん(左)。2014年6月8日撮影
米国人ラッパーのT.I.さん(右)と娘のデイジャ・ハリスさん(左)。2014年6月8日撮影
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毎年娘を産婦人科へ「処女膜をチェックするため」

ガーディアンによると、非難されているのは、T.I.さんがポッドキャストで配信されている番組『Ladies Like Us』に出演した際の発言だという。

T.I.さんは番組で子どもの性教育について聞かれると、「私たちの家庭では、会話だけではなく、娘の処女膜をチェックするため毎年産婦人科に連れて行くんです。私も彼女と一緒に行くんですよ。彼女の18歳の誕生日の時点では、彼女の処女膜は無傷でしたね」と、娘のデイジャ・ハリスさんに“処女検査”を受けさせていることを明かした。

処女膜は性行為ではなく運動でも破れる可能性があることを指摘されると、T.I.さんは、「私の娘は乗馬もしませんし、サイクリングもしないし、スポーツも何もしてない。だから処女膜を確認して、すぐに結果を送ってください』と医者に伝えるよ」と持論を展開したという。

T.I.さんのコメントの一部は、編集によってのちに削除されたという。

これについてネット上では、「娘さんの人権はどこへいったんだ?」「直ちに考えを改めるべきだ」などと批判が相次いだ。

『ニューヨーク・タイムズ』は、アメリカでは18歳以上の子供の医療記録を見る権利は親になく、診断や治療法について医師や医療提供者と話し合うには許可が必要であると報じた。

人気ラッパーのT.I.さん
人気ラッパーのT.I.さん
INSIDER

国連、“処女検査”に「科学的根拠ない」

国連機関であるWHO(世界保健機関)とOHCHR(人権高等弁務官事務所)、UN Womenは2018年10月、いわゆる“処女検査”の撲滅を求めた声明を共同で発表している

それによると、処女検査には「科学的かつ臨床的根拠はなく、女性が性行為を行ったことを証明できる検査はない」という。

また、この検査が痛みを伴う上に屈辱的で、心に傷を与えることがある点にも触れている。

さらには「女性の人権の侵害」であり、「女性の身体面、心理面、社会福祉に対しても有害になりうる」とした上で、

女性のセクシャリティや性別における不平等に関するステレオタイプな考えを強めてしまうと懸念を示している。

処女検査に異議を唱えるポスター
処女検査に異議を唱えるポスター
WHO公式サイト

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