ゴーン被告、何を語るのか。「日本政府と関係のある人物」「クーデターの確たる証拠」午後10時から会見。

2019年4月にも、会見予告後に再逮捕されたゴーン被告。会見の代わりに公開された動画では、「陰謀だ」と無実を主張したものの、クーデターを企てた日産幹部の実名部分が弁護側の判断でカットされました。
カルロス・ゴーン被告と妻のキャロル・ナハス容疑者
カルロス・ゴーン被告と妻のキャロル・ナハス容疑者
Reuters

保釈中にレバノンに逃亡した日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告は1月8日、日本時間の午後10時にベイルートで記者会見を開く予定だ。

ゴーン被告は、日本政府と関係がある人物の実名を挙げたうえで、自分を失脚させるための「クーデターの証拠」について発表する方針という。

米TVに「日本政府と関係がある人物」を示唆

FOXビジネスはゴーン被告と接触し、ゴーン被告から「一連の事件が、自分を失脚させるためのクーデターだという確たる証拠と文書がある」との証言を得たという。

ゴーン被告は8日に予定されている記者会見で、日本政府と関係がある人物を含む複数人の実名を挙げて、「クーデターの証拠」について説明するという。FOXビジネスの取材に対し、「自分が日産とルノーの合併を考えていたために、彼らは自分を追い落としたかった」と主張している。

妻への逮捕状、ゴーン被告「哀れだ」

会見を翌日に控えた1月7日、東京地検特捜部はゴーン被告の妻キャロル・ナハス容疑者の逮捕状を取得

2019年4月に東京地裁で開かれたゴーン被告の会社法違反(特別背任)事件の証人尋問で、虚偽の内容を証言した疑いが持たれているという。キャロル容疑者はゴーン被告とともにレバノンにいるとみられる。

これに対し、ゴーン被告は現地の広報担当者を通じて「哀れだ」と東京地検を非難するコメントを発表。共同通信社など国内外のメディアが報じている。

2019年4月、会見予告後に再逮捕。動画でカットされた実名を今回公表か

ゴーン被告は2019年4月3日にTwitterのアカウントを開設し、「真実をお話しする」と8日後の記者会見を予告していた。だが、この時にも会見予告の翌4日、ゴーン被告は東京地検に会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕された。

ゴーン被告の会見予告のツイートが話題になった後、「再逮捕の方針」という報道があったこともあり、弁護団の弘中惇一郎弁護士が「口封じ」だとして批判する一幕もあった。

会見での主張することがかなわなくなったゴーン被告は、4月9日に弁護士を通じて自分の身に起きている一連の事件について「いま起きていることは陰謀だ」と主張するビデオメッセージを公開。「私は無実です」と強調し、「公正な裁判を受けることを切実に希望している」と訴えた。

この動画の中で、ゴーン被告は、ルノーとの合併が日産の独立性を脅かすかもしれないと恐れた数名の幹部たちが「自分たちの利益のため、自分勝手な恐れを抱いたため、汚い企みを実現させるべく仕掛けた陰謀だった」とする持論を展開している。

動画ではクーデターを企てたとする幹部たちの実名が挙げられる予定だったが、「実名を列挙することは法律的なリスクを伴う」という弁護側の判断で実名部分はカット。「これらの人物のことはご存知だと思う」と匂わすかたちで公開された。

1月8日夜にベイルートで開かれる会見では、この動画でカットされた実名が挙げられるとみられる。

日産が声明「不正規模は多岐にわたり、極めて甚大」

日産自動車は会見予定の前日7日に公式サイトで声明を発表

ゴーン被告の逃亡について「日本の司法制度を無視した行為であり、極めて遺憾」としたうえで、「これまで当社は、適正かつ公正に内部調査を実施し、ゴーン氏による数々の不正行為を認め、経営者として不適格であるとの判断により、社内でのすべての役職を解任いたしました。同氏による不正規模は、報酬虚偽記載や会社資産の私的流用など多岐にわたり、極めて甚大なものです」とゴーン被告を非難。

「ゴーン氏の不正行為について、同氏に対して責任を追及するという当社の基本的な方針は、今回の逃亡によって何ら影響を受けるものではありません」と強調した。

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