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2020年01月15日 07時39分 JST | 更新 2020年01月15日 07時39分 JST

ぼくらは「文化のパトロン」になる

2020年、2月、ぼくが好きな書店が、また1つ、なくなります。「限られたお金と時間と気持ち」を効率よく使おうとして「便利」を選択した結果です。この道の先に望む未来はあるでしょうか?

Zephyr18 via Getty Images

この度、ぼくが働いている書店が閉店することになりました。
かつてはこの名古屋地区で最大級の専門書店でした。
ぼくはその「社会書/ビジネス書担当」でした。

まずは、お世話になりました皆々様、有難うございました。
(直接お会いできる方はまたその時に…)

店の歴史は約10年、ぼくの在籍歴は6年ほど。

ツイッターではつぶやくものの、
なかなかまとまって日々のあれこれを書く習慣はないので、

これを機に、今の思いなど書いてみることにします。

もちろん社外秘情報は書きませんし、
一書店員としてのオフィシャルな見解ではなく、
ただ単に、本に携わる一人の者としての思いや、考えていることを
言葉にして、口に出してみます。

ありがとうインターネット。

話題は、本とか書店に限らず、ちょっとまじめになりますが、笑
決して誰かを悪者にしたり、敵を作りたいわけではないので
お気軽にお読みください。

むしろ「どうやってみんなで協力して楽しくやっていこうね?」
っておはなし。

元気よくいきましょう!
さて!

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『ぼくらは【文化のパトロン】になる』

2020年、令和2年、二月、閏の日

ぼくが好きな書店が、また一つ、なくなります

今の時代を見れば、書店の未来が怪しいことは
きっとみなさん聞いたことあるでしょう(特に東京以外では)

ぼくは敵を作って戦いたいわけではないですが、
今、仮に「本屋さん」とバトルしているものがあるならば、
それは「アマゾン」「スマホ」「Netflix」などでしょうか?

インターネットの力で、便利になり、
個人が力を持つようになりました

大きな大きなものを、僕たちは使えるようになり
僕たちの意識や欲も、大きく大きく膨れ上がりました

ぼくもその恩恵をいただいている一人です
嬉しいことがたくさんありました


でも残念なことに、
ぼくたちには
「限られたお金と時間と気持ち(精神)」しかない

想像力は無限大、とはいうものの、
「時間」や「気持ち」は、限りある資源です


そして、それを効率よく使おうとして
「便利」を選択した結果が
僕らの今です

これは望んだ未来でしょうか?
この道の先に望む未来はあるでしょうか?

執着を捨てたとしても、
このやり方で、「大切なもの」を未来に持っていけますか??


大切なものは、アクションを取らないと
守れません…

気を抜いて、人まかせにしていたら
あなたの町のあの店もこの店も

どんどんいなくなってしまいます…

問題なのは書店だけではありません

農業もそうアイドルもそう
工芸もそう教育もそう

「文化」は英語でカルチャー、
語源は「cultivate=耕す」です


文化という畑なき場所に、
新たな花や作物は育ちません

あなたの好きなその文化…
これからも維持できるのでしょうか???

多様性を尊重する現代では
浮動票をあてにするビジネスモデルは
もう終わりです

ぼくたちには
限られたお金と時間と気持ち(精神)しかない

ほとんど全てが
根強いファンだけで回る小規模になりえます


お金には
「自分が欲しいモノやサービスとの引換券」
の機能の他に
「渡した相手を生き延びさせる投票券」
としての機能もあります

つまり、買う/支払うという行為は
自分と相手、双方にとっての意味があります

これから多くのものが小規模になる…
とするなら、僕らの意識や役割は
次のように、変わることになります

それは、

『文化のフリーライダー』(タダ乗り)から
【文化のパトロン】(支える人)へ

つまり、支える人が
お金で投票したところだけしか、
残らないということです

フリーライダーとして
タダ乗りをする人たちが大半になった文化は、
遅かれ早かれ
根強いファンの規模程度まで縮みます


ここ数十年は、ご先祖様たちが
過去の歴史で積み上げてきてくれた遺産を、
守ろうとするでもなく、食いつぶすようなカタチで、
文化にタダ乗りしても過ごして来れました

個人の趣味レベルの文化から
言葉、地域の祭り、お国柄、のような文化まで

しかし、もうその貯金はほとんどありません


貴族などを廃止した代わりに手に入れた
民主主義をありがたく思うのであれば、

民のぼくらが、それに見合うような
意識と役割へ変わる必要がある

人まかせをやめ
かつての貴族の代わりに
「文化の番人」となる人が
増えなければ

数年先の未来も支えられなくなります

でなければ、その先には
光にあふれた色とりどりの世界はなく、
意思なき灰色の世界が待ち受けています

もし仮に、
すべてが「便利」だけど
すべてが同じ色の世界だとしたら、

生きていて新たな喜びを感じられるでしょうか??


その土地土地で育まれてきた
それぞれ違う「文化」を「土」を
感じられない世界で、
ほんとうに豊かな人生を送ることができるでしょうか??

文化を持たず、光を失い、ただの地形と化した場所で
長い永い「人生のツーリズム=旅」を
退屈せずに過ごせるでしょうか??
(ゴーストタウンをARで復元して楽しむ道はあるけど…笑)


人間は楽で楽しい方へ導かれる
のかもしれませんが、

何年か先に、何十年か先に
ぼくらは何を捨て
何を残して
楽しく生きていきたいのか…

今年は、令和二年、2020年…
節目にしやすいタイミングです

浅い過去への執着を捨て、
全てをリセットできるなら
何が理想なのか…

それを想像し、1人ずつでも
少しずつでも
勝手にアクションを取り始める…

その節目に、
今、ぼくらはみな立っている
と思います


全てが廃墟になる前に
見える限りの平和が保たれている間に…


では、最後にお聞きしたいです…

2020年、この線を超えた先に、
①.『どんな風景を見たいですか??』

人は関係の中に生きます
②.『何を支え、何に支えられて生きていきますか??』

この問いで、ぼくが見つけたキーワードは、
【文化のパトロン】(支える人)
という言葉です

ぼくは
文化の番人になることで与えられる「栄誉」を
自らの「誇り」を、みんなで共有したい


そんな、人の関係が豊かな未来を、想像しています


ありがとうございました

2020年令和二年 一月十一日 

清らかな思いに 光を添えて
そして 六年分の感謝を
家田和明

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(1/14追記)小難しい単語で一言でまとめると、↓↓笑

購買行動を「消費」から、(投資的な)「投票」という意味に捉え直すことで、プレイヤーの役割が変わり、他にも色々と根本的に変えられるかも。という、SDGs時代とポストSDGs時代に向けた、意味のイノベーション、意味の書き換え、センスメイキング、のお話。その際のキーワードが「文化のパトロン」

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 (2020年1月11日のnote掲載記事「ぼくらは『文化のパトロン』になる」より転載)