私は脱毛症。髪型で人々を勇気付けてきた議員の告白が、人々の心を打った。

「とても美しい弱さ。ありがとう、アヤンナ・プレスリー」。ソーシャルメディアには多くのサポートが投稿されています

2018年11月にアメリカ・マサチューセッツ州で初めて黒人の女性下院議員に選ばれたアヤンナ・プレスリー氏。

プレスリー氏を特別な存在にしてきた一つが、彼女の髪型だ。

Paul Morigi via Getty Images

プレスリー議員は約5年前のボストン市議時代に、髪型をセネガルツイストに編み込んだ。

黒人のルーツを祝う髪型でもあるツイストやブレイド。髪型は一部の人には「過激」だと批判されるだろうとプレスリー議員は考えていたが、女性や女の子たちの多くは、プレスリー氏のヘアスタイルを支持した。

女の子たちの中には「私の下院議員は、髪をブレイドにしている」というTシャツを着て、プレスリー氏へのサポートを表明する人たちもいた。

セネガルツイストは、プレスリー議員にとって政治的なメッセージになってきた。

そのプレスリー議員が1月16日、ニュースサイト「The Root」のインタビューで脱毛症であることを公表した。

最初はウィッグをつけて、動画に出演したプレスリー議員。「これが初めて公の場で話すことになる」と述べて、途中でウィッグをとった姿を見せた。

アメリカ円形脱毛症財団(National Alopecia Areata foundation)によると、脱毛症は自己免疫疾患で、体が毛包を攻撃することにより、毛包が小さくなって産生が大幅に抑制される。そして発毛が止まってしまう。アメリカでは、約680万人が脱毛症だと考えられている。

最初に脱毛に気が付いたのは2019年の秋、髪を編み直しているときだったとプレスリー議員はThe Rootに話す。

様々な手段で脱毛を止めようとしたものの、髪は急速に抜け続けた。最後の髪が抜け落ちたのは、トランプ大統領の弾劾訴追が決まった日の前日だったという。

「私は完全に、髪の毛を失いました。しかし数時間のうちに、議会で弾劾訴追に賛成する一票を投じなければいけませんでした」

「まるで手足を失ったようでしたが、私には悲嘆にくれる余裕はありませんでした」

髪が抜け落ちたことは家族や友人など身近な人にしか伝えなかった。しかし、脱毛症を公表しないのは、自分を信じてくれている女の子たちに対する裏切りではないかと感じるようになったとプレスリー議員は話す。

「私のツイストは私の代名詞、私個人のアイデンティティー、そして世界に自分を伝える方法だけではなく、政治的なメッセージにもなってきました。だからこそ、新しい自分、脱毛症とともに生きる自分について伝えるのは大事だと感じたのです」

夫は「何でも政治的にオープンにする必要はない」と反対したが、プレスリー議員は心の準備ができたタイミングで、脱毛症について公の場で語ることにした。

ウイッグをとったプレスリー議員は「私は自由になりたいのです。秘密にしていることで生まれる(脱毛症は)恥ずかしいことという考え方からも自由になりたい」と語る。

プレスリー議員は、今はまだ髪のない自分に慣れ、受け入れる途中だが、脱毛症を伝えることはそのプロセスを前に進めるとThe Rootsに語る。

セネガルツイストで多くの人たちを勇気付けてきたプレスリー議員。彼女の新しいヘアストーリーもまた、多くの人たちを勇気付けている。

「とても美しい弱さです。ありがとう、アヤンナ・プレスリー」

「泣いた。他にもたくさんのチャレンジがあるだろうに、彼女は脱毛症のことを率直に語っている」

「彼女は弱さを見せるリーダーだ。アヤンナ・プレスリーが道を作ってくれて、私たちはとてもラッキーです」

「脱毛症を伝えるあなたの勇気は、あなたを本当に特別な人にしている」

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。