「豆腐は肉より環境に悪い」とは本当か

ロンドンで行われた全国農民組合議会にて、研究者が「豆腐は一部の肉類よりも気候変動に悪影響かも知れない」という趣旨の未発表のリサーチについて話した。

豆腐は多くのタンパク質や鉄分、カルシウムを多く含み、料理でも多岐に渡って大活躍だが、そんな豆腐が物議を醸している。

長きに渡るベジタリアンの食生活の定番であり、タイ料理や中華料理に欠かせない豆腐。しかし、食べ物が環境に及ぼす影響について注目が集まる今日の世界で、豆腐に関しても討論が繰り広げられている。

ロンドンで行われた全国農民組合議会にて、ロザムステッド研究所に勤める研究者のグラハム・マッコーリフ氏は、「豆腐は一部の肉類よりも気候変動に悪影響がある可能性がある」という趣旨を示唆する未発表のリサーチについて言及した。

イギリスのタイムズ紙によれば、彼はこの初期段階の研究について「慎重に解釈すべき」とも認めているが、人間の体が植物性の食べ物からタンパク質を摂取する能率はあまり良くないそうで、それに伴い消費量が多くなってしまうという。

「加工製品の多い豆腐は、その加工処理の過程で更にエネルギーが消費されることを考慮すると、実は反芻動物(ウシやブタ)よりも地球温暖化に拍車を掛けている可能性があります。同じ量のタンパク質を摂取するに当たって、豆腐は(肉類よりも)劣っているのです」と彼は語る。

この記事の「豆腐は肉より環境に悪い」という見出しに対して、家畜農家は胸をなで下ろしているかもしれない。。しかし一部の環境団体は、この見解はこの問題を余りに単純化し過ぎていると主張している。サステナブル・レストラン協会は「これは記者と販売する商品を持つ人たちのみに役立つ、単なる”釣り見出し”だ」と述べている。

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「豆腐と肉類、結局どちらが良いのだろうか?」という疑問が残るが、持続可能性に関するこの難題には、これといって1つの明確な答えがない。動物の権利や森林伐採、二酸化炭素の削減、その3つ全てのバランスなど、その答えは個人の優先事項によって変わってくるからだ

慈善事業「ザ・ヴィーガン・ソサイエティ」のマット・ターナー氏は、「植物由来のものであろうと無かろうと、大半の食べ物は環境に何らかの影響を及ぼすことを知っておくことが大切です。それは避けられない事実なのですから」とハフポストUK版に語った。

以下、読者のあなたが「正しい」と思える選択に辿り着くための力添えになることを願って、豆腐と肉類に関する知識を私達が知っている範囲内で紹介しよう。

肉類の問題点

「肉類の消費量を削減することは、地球環境に及ぼす影響を緩和する為に重要だ」といった趣旨のレポートは後を絶たない。国連オックスフォード大学、イギリス政府による気候変動委員会も、そのような趣旨の結論に辿り着いている。

サステナブル・レストラン協会のCEO、アンドリュー・ステファン氏は「地球規模での二酸化炭素の排出の25%以上が食品から来ており、更にその半分以上は動物製品から来ている」と語り、その後「家畜生産品が占める地球規模での排出の割合は、全体の16.5%にもなります」と続けた。

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家畜を育てることは資源の消耗を意味し、その内訳は水や土地、輸送に伴う燃料など様々だ。また、牛や羊のげっぷはメタンガスを多く排出する。メタンガスは気候変動に最も悪影響を与える温室効果ガスの一種だ。

しかし、肉類の消費において最も環境負担になっているのは、家畜自体が消費する食物で、餌には主に大豆などが含まれる。世界自然保護基金によれば、世界的に大豆の需要が高まるにつれて、「多くの森林伐採や世界有数の貴重な地に暮らす野生動物の生息地転換を引き起こしている」そうだ。

豆腐も大豆から出来ている...

豆腐は豆乳を乳化させることで作られる。そして豆乳の原料は言うまでもなく大豆なので、「豆腐も肉と変わらない」という意見の根本はそこにある。しかし全世界における大豆の消費量の75%は家畜の餌になっているのだという。

「食肉産業に携わっている人の多くは、大豆の需要の増加とそれに伴う森林伐採に矛先を向けていますが、実際に蓋を開けてみると大豆産業の多くは家畜の餌になるものを作っているのです」とターナー氏は語る。

この主張に伴いターナー氏は、グラハム・マッコーリフ氏の「豆腐は一部の肉類よりも気候変動に悪影響かも知れない」という意見に一石を投じており、「肉や卵から栄養を摂るのは非効率な手段です。覚えておいて欲しいのですが、家畜が100カロリーを摂取したとして、私達がその肉を食すことで得られるのは12カロリーだけなのです」と述べた。

更に「環境ワーキンググループのような団体からの複数のレポートによれば、1kg の豆腐が排出する温室効果ガスの量は同量の肉が排出する量と比べて、はるかに少ないそうです」と続けた。

知っておくべきこと

「『肉よりも豆腐の方が環境に優しいのか否か』という議論が複雑化している主たる理由は、それぞれの産業が異なる生産方法とサプライチェーン(供給網)を持っていることにある」とステファン氏は語る。

「全ての肉が同じように環境に悪影響を与えている訳ではないし、植物由来の食物でも、水や土地への負荷を多く必要とするものもあります」という。

更に「カーボン・トラストによれば、ブラジルにある熱帯雨林を伐採した地で栽培された大豆を使った豆腐は、鶏の2倍の二酸化炭素を排出するそうです。無承認の南米の大豆は環境において多くのリスクを伴っているのです」と続けた。

現時点では、大豆のほとんどが家畜によって消費されている。しかし、全ての肉類を大豆と入れ替えても大豆の大量消費問題の解決にはならず、単に消費元が入れ替わるだけで終わってしまうようだ。

より環境に優しい食生活を目指して

動物の権利保護のためにヴィーガンやベジタリアンの食生活を選択している人にとって、豆腐は総じて肉よりも良い選択であることはやはり間違いなさそうだ。

豆腐を試したいが森林伐採への危惧があるという人にも、環境を考慮して生産されたエシカルな豆腐製品というものがある。

「森林伐採は豆腐製品を購入する際の主な心配事ではありますが、イギリスで多くのシェアを占めている企業のほとんどは、そういったリスクのある栽培地からの大豆の使用は避けています」とステファン氏は語り、「環境に優しい手段を選んで栽培されたかを確認したいなら、オーガニック認証マークが付いている製品を選んでください」と続けた。

「豆腐よりも環境への悪影響が少ない植物由来の食べ物はありますが、それでもヴィーガンの食生活を送ること自体は環境にとって最良の手段と言えます」とターナー氏は語る。

そして「極端な言い方をすれば、豆類をベースにした食生活が及ぼす悪影響が最も少ないでしょう。もしも、必要な栄養の摂取と食べ物の風味を楽しむことと並行して、今している以上のことを環境のためにしたいと思うのであれば、豆類が最良の選択です」と続けた。

ハフポストUK版を翻訳、編集、加筆しました。