アートとカルチャー
2020年02月22日 13時06分 JST | 更新 2020年02月22日 13時11分 JST

中居正広さん、独立へ。公取委が目を光らせるなか、地上波レギュラー番組はどうなるか?

「公取委が指針を出し、ジャニーズ事務所を注意した。芸能界をめぐる社会的な状況は確実に変化しています」

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ジャニーズ事務所

元SMAPの中居正広さんが、3月いっぱいでジャニーズ事務所を退所すると発表した。会社を設立し、ジャニーズ事務所からは「完全独立」するという。

5本の地上波レギュラー番組など、中居さんの今後の活動はどうなるのか。会見を受け、『SMAPはなぜ解散したのか』の著者、松谷創一郎さん(@TRiCKPuSH)に見解を聞いた。

ジャニーズから「完全独立」 レギュラー番組の動向は注視すべき

2月21日の会見によると、中居さんは19日、会社「のんびりな会」を設立。

「会社には社員もマネージャーもいなくて僕一人。どこの傘下に入る、ということもない」といい、ジャニーズ事務所からの「完全独立」であることを強調した。

気になるのは、中居正広さんが抱える地上波レギュラー番組の行方だ。

中居さんは現在、『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)や『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)など、5本のレギュラー番組を担当している。

しかし、SMAPで共に活動していた稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんの3人は、2017年にジャニーズ事務所から退所後、地上波レギュラー番組が次々と打ち切りになった。

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中居正広さんの主なレギュラー番組(テレビ)

会見で中居さんは、「テレビでのレギュラー番組は引き続き継続する」と話していたが、「(退所後に)レギュラーが1本減り、2本減り...となったら、それまでのタレントということだと思いますよ」と語っていた。

松谷さんは、今後中居さんのレギュラー番組がどうなるのか、動向は注視すべきだと話す。

「新しい地図の3人も、退所後、半年はレギュラー番組が継続しました。しかし、結局その後、民放のレギュラー番組はすべてなくなっています。(※)注目は、10月以降、今中居さんが担当している5つの地上波レギュラー番組の動向がどうなるか、ということです。そこは注視した方がいいと思います」

(※)NHKでは、草彅さんが「ブラタモリ」のナレーションを現在も継続している。

 

「地上波にこだわらなくても、芸能人は仕事を失わない」

稲垣さん・草彅さん・香取さんは、新事務所のCULENに移籍し、ファンサイト「新しい地図」を立ち上げた。

民放でのテレビ出演は激減したものの、AbemaTVをはじめとするネット番組や映画、舞台などの場で、マルチに活動をつづけている。音楽活動やファンミーティングも、精力的に行なっている。

「新たなメディアで仕事の場がある、ということも、中居さんが退所を決断した背景にあるのではないか」と松谷さんは話す。

「新しい地図が独立をして、テレビのレギュラー番組が終了しても、インターネットに価値を求めてある程度成功している。本人たちが自由に活動できるようになっています。芸能人の稼ぎの大半は広告が占めますが、新しい地図は広告の仕事を失わなかったし、むしろ積極的に起用されました」

「地上波にこだわらなくても、芸能人は仕事を失わないということが明らかになったんです。のん(能年玲奈)さんや、Netflix『全裸監督』に出演した山田孝之さんの活動などがあらわすように、新たなメディアで仕事の場がある、ということも、退所を決断した背景にあるのではないかと思います」

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香取慎吾さん、稲垣吾郎さん、草彅剛さん。幅広い分野で活躍中だ。

 

公取委が芸能界に目を光らせている

松谷さんによると、もう一つの大きなポイントが、公正取引委員会の取り組みだという。

2019年7月、公正取引委員会が新しい地図の3人をめぐり、ジャニーズ事務所を「注意」していたことが明らかになった。

同事務所が3人をテレビ番組に出演させないよう、民放テレビ局などに圧力をかけた疑いがあったという。聞き取り調査などの結果、違反行為は認められなかったが、「圧力をかけていれば独占禁止法違反につながる恐れがある」として、注意に至ったのだ。

ジャニーズ事務所は報道後、公式サイトにコメントを掲載。圧力行為を否定している。また、「公正取引委員会からも独占禁止法違反行為があったとして行政処分や警告を受けたものでもありません」とも強調した。

しかし公取委は、この件だけではなく、芸能事務所による問題行為を独禁法上の観点から提示するなど、芸能界にメスを入れ始めている。

「公取委が指針を出しジャニーズ事務所を注意したことを、中居さんが直接的に意識しているかはわかりません。しかし、芸能界をめぐる社会的な状況は確実に変化しています。それが結果的に後押しになった、という可能性はあると思います」

松谷さんはそう話す。

 

「テレビ局は、どうするのか。業界ルールに引きずられるべきではない」

中居さんは、退所後の活動について、「僕の中で理想が描けていない。これをやりたい、こういう可能性があるんじゃないかという、ギラギラした感じがない」と、迷いも見せていた。

「自分が何をやりたいのかも、ちょっとないので。今は山すらないから、環境を変えて山を探してみようかなと。それをできればいいなと思います」(中居さんの会見より)

一方で、新しい地図の3人との共演への意欲について聞かれると、「3人と共演する可能性も0とは言えない。1%から99%の中にあるのは間違いないと思います」と、含みももたせた。

松谷さんは、問われているのは「テレビ局側の対応」だと念を押す。

「新しい地図や中居さんは、これから自由にやっていける。中居さんはテレビタレントという仕事に重心を置いていますが、俳優としても非常にレベルが高い人ですし、色々な道が開かれている。新しい地図の3人も、好きな仕事をしてうまくいっています」

「では、テレビ局側は、どうするのか。決めるのはテレビ局です。自分たちで判断すればいい。ちゃんとしたコンテンツを作り、視聴者をとってくる。そのためにはどんなタレントが必要か、ということを考えればいい」

「芸能プロダクションの『掟』や業界ルールに引きずられるべきではありません。NetflixYouTubeなどの外資サービスが伸びている時代ですから、これまでのやり方を変えていかないと、視聴者もファンもついていかず、ゆっくりと衰退していってしまうと思います」

  ◇

公取委がジャニーズ事務所に「注意」したことが明らかになってから、新しい地図が民放テレビに「復活」する兆しも見えている。

2019年の大晦日には、日本テレビの年末恒例番組である『ガキ使』の「笑ってはいけない」シリーズに3人が揃って出演。朝の情報番組『スッキリ!』でも出演を果たし、大きな話題になった。

芸能事務所やテレビ業界は、いま、大きな変革期を迎えていると言っても過言ではない。今後の動向に注目するとともに、業界を長く支え続けてきた中居正広さんの新たな決断と、さらなる活躍を応援したい。