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2020年02月27日 17時55分 JST

PCR検査、必要な人は誰?「検査拒否」めぐり論争【新型コロナウイルス】

加藤勝信厚労相は国会で、「ご指摘の通り、韓国と比べて(検査の)キャパシティが低い。早くキャパシティを上げていかなくてはならないという思いで対応しているが、残念ながら現下の状況にある」と釈明しました。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、検査体制はどうあるべきか、議論が紛糾している。 

国の方針は「重症化リスクのある人の捕捉」 

Reuters
新型コロナウイルス

2月25日に発表された基本方針で、政府は新型コロナウイルスの特徴として以下の事実がわかったとした。

・罹患しても軽症であったり、治癒する例も多い。 重症度としては、致死率が極めて高い感染症ほどではないものの、季節性インフルエンザと比べて高いリスクが ある。特に、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高い。 

・インフルエンザのように有効性が確認された抗ウイルス薬がなく、対症療法が中心である。また、現在の ところ、迅速診断用の簡易検査キットがない。 

・一方、治療方法については、他のウイルスに対する治療薬等が効果的である可能性がある。

こうした特徴を踏まえて、政府の専門家会議の尾身茂副座長は、24日、検査の目的については「感染の可能性がある人を捉えるのではなく、重症化する可能性がある人を捕捉するためのもの」と説明。

「疑わしい人全員に検査を、という考えは全くない。これがもっとも合理的でバランスが取れた方法だ」と語った。

そして、基本方針では軽い風邪のような症状の場合には医療機関を受診することがかえって感染リスクを高めるとして、自宅での安静・療養 を原則とした。
 

加藤厚労相「必要あれば検査を受けて」

PCR検査は、患者の鼻や喉の粘膜をこすって採取した検体にウイルスの遺伝子情報があるかどうか、採取された微量の遺伝子を増幅させて確認する検査。新型コロナウイルスのPCR検査はインフルエンザの検査と異なり、現在は行政検査のため、保健所で行なわれている。

当初は、検査を受けるための基準として、発熱や咳などの呼吸器症状のほかに、感染者との濃厚接触や中国湖北省または浙江省への渡航歴などが挙げられていた。

現在は「医師が総合的に判断して感染の疑いがある患者」に検査対象は拡充されている。

ところが、症状があっても、新型コロナウイルスに感染していないかを調べるためのPCR検査をしてもらえないという声がSNSなどで広がり、Twitterには「#検査拒否」というハッシュタグとともに、検査を拒否された体験談や、検査してもらえないなら「迷わず救急車を呼ぼう」と煽ったり「国民の命よりオリンピックの方が大事なのだろう」と嘆いたりする投稿も。

時事通信社
衆議院予算委員会で答弁する加藤勝信厚生労働相(2月26日)

2月26日の衆院予算委員会では、山井和則議員(無所属)から”検査難民”という言葉まで飛び出した。

加藤勝信厚労相は「自治体や医師の判断で検査ができることを改めて周知する。必要があれば厚労省が間に立つので、他の地域や民間の力も活用してほしい」と強調し、「(渡航歴などに関係なく)必要があれば検査を受けて」と呼びかけた。

 

「早く検査のキャパシティを上げていかなくてはならない」

また、立憲民主党の枝野幸男代表の質問に対し、加藤厚労相は、2月18日〜24日の7日間に行なったPCR検査について「合計6300件、平均すると1日900件」と回答し、「能力には限界があるが、少なくとも1日3800件を超えて検査する能力があるわけだから、しっかりと活用していく」と語った。

感染者が急増している韓国と比べて検査件数が大きく下回っていることについても、ご指摘の通り、韓国と比べて(検査の)キャパシティが低い。2月20日の時点で100を超える医療機関と14の民間企業に検査キットを渡し、いつでも検査できるようにしているが、立ち上がるのに時間がかかっている」と状況を認め、「早くキャパシティを上げていかなくてはならないという思いは従前から持ち対応しているが、残念ながら現下の状況にある」と釈明した。

岩田医師は「不安を回避するための検査はすべきではない」

集団感染が起きた大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の感染対策の不備を動画で指摘した神戸大学の岩田健太郎教授は、Twitterで「医師が必要と感じる時に検査できないのは問題だが、不安を回避するための検査はすべきではない」と発信し、政府の方針に一定の理解を示している。

まず「検査をしなければならない」という前提から離れるべきです。検査は必要です。必要な人には。が、「とりあえず検査」は間違いです。検査のキャパを増やすのはいいアイデアですが、単に増やして無計画に検査するともっと悪いことが起きます。それがクルーズ船で起きたことです(検査陰性ー>下船)

<2月26日午後4時6分ツイート>

 

検査問題は2つに分ける必要があると思います。1.必要な方に検査できるよう。熱が持続する、医師が検査を必要と感じるときに出来ないのは問題。2.不要な検査、不安を回避するための検査はすべきでない。不安回避行動は、さらなるハザードの原因になりむしろ不安増大の根拠となる。

<2月27日午前7時10分ツイート>

 

検査件数が増えると結果が出るのが遅くなり、本当の患者捕捉(重症者)が困難になります。リソースが有限であるという事実を前提にしなければならないのです。

<2月27日午前8時50分ツイート>

 

「検査対象者広げるべき」という医師も

一方、検査対象者を「リスクのある人の家族」などに広げるべきという医師もいる。

ナビタスクリニックの久住英二理事長は、「新型コロナウイルスにはタミフルのような特効薬があるわけではなく、検査で陽性が出ても治療方法は変わらない。治療方針を決めるためだけなら、検査をする必要はない」と指摘する。

ただし、現状の『重症化するリスクがある人を捕捉する』ために行う検査では、重症化リスクがある人を救えないして、「感染したら重症化しやすい高齢者や基礎疾患がある人と日頃から接する機会が多い家族や医療関係者は、軽症や無症状でも不安があるなら検査し、陽性なら隔離する必要があると思う」と語った。

  

厚労省と医師会が「検査拒否」を調査へ

とはいえ、状況は刻一刻と変化している。

2月27日には、現状では約6時間かかる検査が15分に短縮できる新検査機器が3月にも医療現場で導入されるとの報道があった

また、一般の患者ではなく医師が依頼した場合に保健所から検査を断られる「検査拒否」のケースについては不適切だとして、日本医師会や厚労省が実態を把握するための調査を行うという