新型コロナで一斉休校、海外メディアはどう報じたか 「親の絶望感が高まった」

「ベビーシッターやナニーの文化が浸透していない日本では、親の絶望感が高まった」
記者会見を開く安倍晋三首相
記者会見を開く安倍晋三首相
KAZUHIRO NOGI via Getty Images

新型コロナウイルスの感染予防のため、安倍晋三首相が全国の小中高校や特別支援学校に対し、3月2日から臨時休校するよう要請した。要請に応じるかどうかは各自治体の判断に委ねられているが、異例の対応を、海外メディアはどう報じたのか。

「親の絶望感が高まった」

英紙フィナンシャル・タイムズは、「日本の休校措置は頭痛と反発を引き起こした」と題した記事を掲載

3人の子どもを持つシングルマザーが対応に追われる様子を紹介し、「ベビーシッターやナニーの文化が浸透していない日本では、親の絶望感が高まった。柔軟性のない働き方やジェンダーの不平等、ひとり親家庭や共働き家庭が増えることによって生じた格差も浮き彫りになった」と指摘している。

また、保育園や学童保育などは休園の対象にならず、「小さな子どもを持つ親や、遅くまで働く親に小さな希望を与えた」としながら、「閉鎖された空間で子どもたちが交流することになるため、休校措置の本来の目的は何なのかという疑問が湧く」とも批判した。

登校する小学校の児童ら。政府は週明けから臨時休校とするよう呼び掛けている。
登校する小学校の児童ら。政府は週明けから臨時休校とするよう呼び掛けている。
時事通信社

「安倍首相はアグレッシブに行動していることを見せたかった」

ニューヨーク・タイムズ紙は、「日本政府はすべての学校を閉鎖することによって親に衝撃を与えた」との見出しで、突然の休校要請を取り上げた。

安倍首相は、2月27日の新型コロナウイルス感染症対策本部で臨時休学を要請したが、同紙は「感染者数が増加している上、東京オリンピックの開催が危ぶまれるという話にも直面した。安倍氏は、ウイルス感染をコントロールするためアグレッシブに行動していることを見せたかった」と指摘している。

さらに、テレワークの導入についても「日本は人々の自宅勤務を許可することに長い間抵抗してきた」と批判。日本でのテレワーク普及率は2割程度と低い水準にとどまっているが、「テレワークができる人でさえ、仕事と育児の両立に苦労している」と指摘した。

ロイター通信は、「安倍氏の突然の要請を受け、憤った日本の親たちは教職員や企業と急いで連絡をとり、1カ月間どのような生活を送るか調整した」と報道。

「突然の決断は厳しい批判を引き起こした。専門家は困惑し、アナリストは、休校の計画は政治的動機に基づいており、ほとんど意味をなさないと指摘する」と綴った。

親世代への助成制度 「10日程度のうちに速やかにとりまとめる」

安倍首相は2月29日の会見で、休校措置について、「万が一にも、学校において子どもたちへの集団感染のような事態を起こしてはならない」と説明。「企業の皆さんには、お子さんのおられる従業員の方々への配慮をお願い致します」などと理解を呼びかけた。

また、臨時休校によって仕事を休まざるを得なくなり、所得が減少した保護者に対しては、助成制度を創設するとも表明した。

助成制度の具体的な内容は示さなかったが、「2700億円を超える今年度予備費を活用し、第2弾となる緊急対応策を、今後10日程度のうちに速やかにとりまとめます」としている。

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