娘に性的暴行、父親に懲役10年の逆転有罪判決 名古屋高裁

無罪になった一審判決は、性暴力に抗議する「フラワーデモ」のきっかけの一つとなった。
名古屋高裁=名古屋市中区
名古屋高裁=名古屋市中区
朝日新聞社

娘に性的暴行、父親に逆転有罪 懲役10年 名古屋高裁

愛知県で2017年、当時19歳の実の娘に性的暴行をしたとして、準強制性交等罪に問われた被告の父親(50)に対する控訴審判決が12日、名古屋高裁であった。堀内満裁判長は、無罪(求刑懲役10年)とした一審・名古屋地裁岡崎支部の判決を破棄し、懲役10年の有罪判決を言い渡した。

昨年3月の一審判決は、性暴力に抗議する「フラワーデモ」のきっかけの一つとなった。

一審判決によると、父親は娘が小学生の頃から虐待し、中学2年生の頃に性的虐待を始めた。地裁支部は、娘に性行為の同意はなく、長年の虐待で父親の精神的支配下に置かれていたと認めた。一方、過去に抵抗して拒んだことがあったなどとして、「人格が完全に支配されていたとは言えない」と指摘。事件当時、抵抗することが著しく困難な「抗拒(こうきょ)不能」の状態だったと認定するには合理的な疑いが残ると判断した。

検察側は、一審判決に「事実誤認がある」として控訴。控訴審では、「父親から受けた長年の性的虐待で抵抗する意思・意欲を喪失していた」と主張した。弁護側は控訴棄却を求めていた。

父親は17年8~9月、県内のホテルなどで、長年の虐待により抵抗できない精神状態だった娘に性的暴行をしたとして起訴された。

〈抗拒不能〉 身体的または心理的に抵抗することが著しく困難な状態。準強制性交等罪は、性行為への同意がなく、「心神喪失もしくは抗拒不能」により抵抗できなかった状態であることが成立要件となる。抗拒不能は「薬や酒を飲まされて意識を失った」「だまされ信じ込まされた」など、暴行や脅迫がなくても、それらがあったときと同じように体や心の自由を奪われた場合に認められる。

(朝日新聞デジタル 2020年03月12日 15時13分)

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