「モヤモヤしたまま結審してしまった」相模原事件の死刑判決、被害者の父が会見

「謝罪の気持ち、反省が見えるのかと思って彼を睨みつけるように見てきたが、一度も見えたことはなかった」と語りました
相模原殺傷事件の判決を受け、会見する尾野さん
相模原殺傷事件の判決を受け、会見する尾野さん
PHILIP FONG via Getty Images

神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で45人が殺傷された事件の死刑判決を受け、息子の一矢さんが重傷を負った尾野剛志さんが3月16日、横浜市内で記者会見した

植松聖被告の一挙手一頭足をこの目で確認しようと、全ての公判に参加したという尾野さん。

植松被告の公判中の言動や態度について「謝罪の気持ち、反省が見えるのかと思って彼を睨みつけるように見てきたが、一度も見えたことはなかった。一度でも良いから現れて欲しいなと思っていたが見えなかった」と残念がった。

記者から社会が抱える課題について問われると、障害を持った人への差別が蔓延していると訴える。

「日本は特に差別社会だと僕は伝えているんですよ。弱い人に対する差別や虐待が横行していると思っています。人間の心の中にも差別がずっと抜けないまま。だから何かあった時に弱い人を差別してしまう」

尾野さんは、植松被告がやまゆり園で勤務を始めた際、家族会の会長を務めていたという。当初「好印象」だったという植松被告は態度を振り返りながら、こう語った。

「障害者がかわいいという気持ちがあったのに、なぜ気持ちが変わったのか。僕自身も分からない」

判決は、事件の動機をめぐり、障害のある人を狙ったという点について言及されなかったという。尾野さんは、背景や原因がはっきりしないまま判決を迎えたと感じている。

「すっきりしない公判だった。16回ずっと参加しているんですけれど、結局モヤモヤしたまま結審してしまった」

その中で出された死刑判決に対しては「判決が僕らが望んでいる内容だったということだけが救い」と語った。

事件当時、負傷しながら110番した息子一矢さんに対して、「本当に『かずやえらい』って泣きまして。本当に息子を褒めてやりたいし、息子の幸せのために考えていきたいと思います」と力を込めた。

最後に「僕らの思う判決が出て欲しいという気持ちがすごくありましたので、その点においてはほっとした」と心中を明かした。

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