今「仕事なんかどうでもいい」と思っているのは、あなただけではない

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界で多くの人が失業している中、仕事があるのは恵まれている。でも、仕事のパフォーマンスに影響がない訳ではない。
今「仕事なんかどうでもいい」と思っているのは、あなただけではない
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今「仕事なんかどうでもいい」と思っているのは、あなただけではない

世界では、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって失業している人がたくさんいる。そんな中、もし今でも仕事があるならば、あなたは恵まれている。

だからといって、このパンデミックがあなたの仕事へのパフォーマンスに影響を及ぼしていない訳ではないだろう。

もしあなたが自分の仕事に使命を感じていたとしても、世界で20万人以上(4月27日時点)の命が失われている新型コロナ危機の中、モチベーションを保つのが難しいのは理解できることだ。

「突然、死について考えさせられ、人々が突然亡くなり今ある危機を思い起こさせ、多くの人の人生が打ち切られてしまったことにより、私たちは必然と『自分のレガシーとはなにか?』と考えるようになっています」「不安と行動変化センター」の心理学者であるクリスティン・ビアンチ氏は話す。

同僚の心理学者たちからは、彼らの元にセラピーを受けに訪れる患者が仕事に対して無関心さや情緒不安、つまらなさを感じている、との報告があるという。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で人出のないニューヨークのタイムズスクエアの様子 2020年4月26日
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で人出のないニューヨークのタイムズスクエアの様子 2020年4月26日

仕事から離れることは、自分のエネルギーを管理するための適切な方法

ニューヨークに拠点を置くエミリーさんは、航空会社のデジタル・マーケターとして働いており、3月から在宅勤務に切り替わった。以前は仕事によって満足感を得ていたという彼女だが、今は「あまり意味がない」と感じているという。

エミリーさんは今でも旅行への質問に答えたり、人の助けをしたりすることで満足感を得ているが、「いつから旅行ができる?」という質問に答えが出せない時、最悪な気持ちになるという。「社会のために、『何もしていない』という気持ちに逆戻りしてしまうのです」

このように感じているのは、彼女だけではない。そして、もし愛する人が病気で看病しなければいけなかったり、自宅待機中に何かしら新たな責任が増えたりした場合、キャリアをやりくりするのは、やるべき事リストや、エネルギーを使うべきことの優先順位としては最下位だろう。

在宅勤務や、失業によるストレスに対応するだけでなく、多くの親には家での育児や教育をするという役割も加わっている。ピュー・リサーチ・センターがアメリカ人成人1万5000人を対象に3月に行った調査によると、12歳以下の子どもと住む成人の3分の1が、新型コロナの影響の中、自宅で育児することをとても難しい、または多少難しいと報告しているという。

アメリカでの調査では、多くの親が、自宅での育児に幾らかの困難を感じているという。
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アメリカでの調査では、多くの親が、自宅での育児に幾らかの困難を感じているという。

仕事から離れることは、パンデミックによるロックダウンなどによるストレスや疲れに対する合理的で正常な反応だ。また、精神的に疲れているときに、自分のエネルギーを管理するための適切な方法だ。

テキサス州在住の、悲嘆・トラウマに関する心理療法士のパトリック・オーマーリー氏は、多くの人は、通常人々を活気づけること、例えば「運動、家族に会う、教会に行く、などなど」をすることができず、エネルギーのバランスが悪くなり、仕事に影響が出ているのではないかと話す。

オーマーリー氏は、もし仕事につぎ込むための十分な感情的余裕がなければ、仕事から離れ、雇用を確保しておくために必要な仕事だけをこなすことは、合理的なエネルギー管理テクニックだという。なぜなら、あなたは今「前進するレベル」ではなく、「どうにかやっていくレベル」かもしれないからだ。

「エネルギーが戻ってくれば、もっと成し遂げることができるでしょう。しかし、今のエネルギーを管理することの一部は、妥協ではないのです。『自分ができること、そして意図的にやることをはっきり言っておきます。以前の自分のレベルとは違いますが、やらなければいけないことはやり遂げます』と言うことは合理的です」

仕事を「どうでもいいと思っている時」、どうやって仕事とメンタルヘルスを保つ?

・この気持ちは永遠に続くものではない、と理解しましょう。

もし仕事から気持ちが離れていても、この気持ちが長く続く、と思わないようにしよう、とオーマーリー氏は話す。

代わりに、自分に対する批判的な考えを、もっと思いやりのある言葉に変えよう。例えば、「今自分は、比類のない、異常な状況に適応しようとしているのであって、自分の性格のせいではない。エネルギーが低いからって、性格が悪いわけではない。エネルギーが低いのは、たくさんの考え事、心配事、やるべき事がある中で、通常自分に元気をくれることができないからだ」などだと言う。

もし自分が消耗していると感じているなら、「自分のセルフケアをしっかりすることを提案します。どのように自分を充電するかを積極的に考える必要があります」とニューヨーク在住の心理学者、リサ・オーベ・オースティン氏は話す。彼女は、1人でできて、自分を満たすことができる瞑想や運動などのアクティビティを取り入れることを勧めている。

・「大丈夫」じゃなくてもOK

悪い感情に抗わず、こう感じているのは自分だけではないと知ろう、とエミリーさんは勧める。「時々、『楽観的にいた方がいい』とアドバイスをもらうけど、正直言って、楽観的でいるのはとても疲れます」と話す。そして、これからの長期的な戦略を考える間、逆に自分の感情は普通と知って、少しの癒しを感じたい、と加えた。

もしあなたが今、自分の世話をするのも難しいと感じていても、それも正常だと知ろう。「自分に深い思いやりを持ち、自己実現や成長をするのは今は容易な時期ではないと知りましょう」とオーマーリー氏は話す。

・「まぁ良いだろう」を新たなスタンダードとして受け入れよう。

「期待を超える」が今あなたに何を意味するのかを見つめ直そう。「最初で最大のアドバイスは、『まぁ良いだろう』を仕事のパフォーマンスの新たな基準として受け入れることです。職業がなんであれ、認知的・感情的な余裕は今、かなり消耗しているのです」とビアンチ氏は話す。「私たちはみんな今、ある程度、不自由を感じながら仕事をしています。ソーシャルディスタンスの規制がある今、自分たちを『コロナ以前』に何ができていたかを基準に評価することはできません」

・「どうでもいい」と思っている仕事を成し遂げるには、タスク管理をしてみよう

「自分はいつ最も生産性が高いか?」と自分に問い、その答えに基づき、限られた時間の中でタスクをこなしていくことをオーベ・オースティン氏は勧める。

オーベ・オースティン氏は、ポモドーロ・テクニックのように、大きな課題を少ない時間内でできるタスクに分けるようなタスク・マネージメント法を勧める。「仕事日のより細かいスケジュールを作ることで、どうでもいい、やりたくない仕事をより効率的にやり遂げることができます」と話す。

・「今」に集中し、ネガティブな考えを押し返す

もしあなたが「自分がやることは何も意味がない」などのネガティブ思考のスパイラルにはまっているなら、理性的な考え方をするのは難しい、とビアンチ氏は話す。強いネガティブな感情の中にいる時、そのパターンを打ち切るために最も健康的なことは、「現在のことに集中を転換すること」だと言う。

この現在に集中するためのアクティビティは、毎日行っている普通のタスクでもいい。「お皿を洗ったり、洗濯物を畳むなどの家事でもいいですし、アートやクラフト、日記を書くことでもいいです」とビアンチ氏は話す。

もしあなたが、「自分の仕事には価値がなく意味もない」と感じているなら、日記や友人との会話が終わりのないネガティブ思考を正す助けをしてくれる、と話す。多くの人にとって、「日記を書くことで考えを客観化することは助けになる」と言う。「また、それは6カ月後に読み返した時に、何が今でも本当で、何がその時の状況によるものだったのを振り返る、もう1つのツールにもなるでしょう」

ハフポストUS版の記事を、翻訳・編集しました。