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2020年04月30日 07時30分 JST | 更新 2020年04月30日 07時30分 JST

with コロナ時代の児童福祉政策に必要な6つのこと

厚生労働省「生活を守る」プロジェクトチームの有識者ヒアリングに参加し、「行政機関に提出する申請・報告書類の押印不要」「すべての家庭にインターネットを」など、6つの提案をしました。

takasuu via Getty Images

4月27日に厚生労働省「生活を守る」プロジェクトチームの有識者ヒアリングに参加してきました。

何が画期的だったかって、あの厚労省がオンラインでヒアリングを開催したことです。これまで口を酸っぱくして審議会とか有識者会議にオンライン参加を認めていきましょうって言っていたのに対応してこなかった厚労省が、ようやっとやってくれたのです。なんて進歩。

この「生活を守る」プロジェクトというのは、今後の「withコロナ」時代において、厚労省が何をしなきゃいけないのか、何を変えないといけないのか、ということを考えるプロジェクトなんだそうです。

そこで、僕は自分が手掛けている領域の中のテーマに絞って、以下のような提案をしました。withコロナ時代にあたって、厚労省と政府にやってほしいことです。

これを叩き台として、ぜひ皆さんと共に、来るべくwithコロナ時代に我々はどんな福祉を作るあげるべきか、議論できたらと思います。ご意見いただけたら嬉しいです。

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1.行政機関に提出する申請・報告書類への押印は不要としてください

緊急事態宣言下において、人との接触を8割削減するために、在宅勤務が求められています。さらに、今後も自粛は継続していき、出勤が難しい状況はしばらく続くと思われます。

しかしながら、行政機関への申請・報告書類は押印必須となっているものが多いため、押印のためだけに出勤せざるを得ない状況です。

この状況を改善するため、書類への押印は不要とし、クラウドサイン等、電子ハンコでも代替できるようにしていただきたいです。

 

2.食糧支援等を通じた子どもへのアウトリーチを制度化してください

保育園・学校の休園・休校が続くことで、給食が無くなり、主に低所得層を中心に困難を抱えています。

また、保育園や学校が無いことで、地域における虐待・要支援家庭の発見機能が著しく衰えています。

そこで、食糧や生活物資、おむつ等を子どもの自宅に配送し、配送しながら繋がり続け、社会資源へと繋げていくアウトリーチを制度化してください。

現在、文京区「こども宅食」や明石市「おむつ便」等、各地でこうしたアウトリーチの実践は広がっていますが、制度が無いことで全国への広がりの速度が足りていません。

withコロナ時代においては、こども食堂のような密集を伴う通所型の福祉実践が難しくなるため、こうした個別のアウトリーチの重要性は大きく高まると思います。

 

3.訪問型学習支援を制度化してください

いわゆる「無料塾」と言われる、地域のNPO等が行う学習支援教室が、コロナによって現在閉室しています。そしてこれからいつ再び開室できるかも、不明瞭な状態です。

一方、子ども達の学習の遅れは蓄積し続け、後々に渡って重く影響を及ぼすことになると思います

こうした状況のもと、「無料家庭教師」によって無料塾を代替できるよう「訪問型学習支援」の制度を作ってください。

 

4.余剰保育士を活用して、訪問型一時保育をできるようにしてください

現在、保育園が休園中であることから、保育士が余剰状態にあります。

一方で、子どもがいながら在宅勤務をせざるを得ず、困難を抱えた共働き家庭も多く存在します。

特に障害児家庭等は、環境変化が子どもの情緒に与える影響は大きく、困難の度合いが高いです。さらには親のストレスが増大することで、子どもへの虐待リスクも高まります。

そこで、余剰保育士が在園児の家庭に週何回か訪問し、一時保育を提供することで、上記の問題を緩和させるというのは如何でしょうか。

一方で、訪問あたり時間数によって補助を出す等の、保育園サイドに対する動機づけは欠かせないでしょう。


5.デジタルソーシャルワークが可能になるよう、全ての家庭にインターネットを

withコロナ時代においては、これまでのソーシャルワークの土台となっていた、「対面でのインテーク(面談)」「イベント等で集合して繋がりを作る」ということの困難度が増します。

そうした状況の中、LINE等のSNSを活用したソーシャルワークの重要性が高まっています。

文京区で実践する「こども宅食」では、申し込みをLINEでして頂き、その後も届いた食品の感想をやりとりしたり、区の支援情報等をLINEで一斉配信したりしています。

こうしたコミュニケーションによって信頼感が醸成されるとともに、区のホームページ等では中々届きづらい支援や制度情報をプッシュ型で届けることが可能になります。

一方で、こうしたデジタルソーシャルワークが可能となるには、インターネットアクセスが各家庭に保証されていることが必要となります。

オンライン教育の文脈でもインターネット保証が必要ですが、福祉においてもインターネット保証が必須となる時代が、既に来ていると言って良いでしょう。

税金で作られた道路を私たちは無料で歩けるように、インターネットも無料で全ての国民に開かれるインフラにしていく時代にしていかねばならないと思います。

 

6.NPO・社会福祉協議会・行政が個人情報を共有できるように個人情報保護法の改正を

withコロナ時代は、「会いづらく」「集まりづらく」なるので、情報共有が一層難しくなります。地域におけるソーシャルワークでも、これまで集まって、会議をして共有していた情報を、デジタルで共有しなくてはならなくなっています。

しかし、個人情報保護法が壁となって、地域NPOがこども家庭支援センター等に情報を引き継いでも、こども家庭支援センターでどのようなケアがなされたのか、またなされていないのか等、民間にフィードバックすることはできない状態となっています。

これでは、NPO・社会福祉協議会・行政がそれぞれのケースの全体像を分からないまま、効果的な連携をすることもできず、問題が大きくなっていくことを放置することに繋がってしまいます。そして今後はさらに連携がしづらくなっていきます。

個人情報保護法を改正し、現在過剰に規制されている福祉の取り組みの中での情報共有を促進する方向性に、舵を切って頂きたいと思っております。

 

(2020年04月27日の駒崎弘樹公式ブログ「withコロナ時代の児童福祉政策に必要な6つのこと」から転載)