コロナで「売れ筋」に変化。コンビニはこれからの「在宅勤務」を支える存在になるか?

コロナで売り上げを伸ばした「冷凍食品」。これは外出自粛期間中の"特需"だったのか?それとも、今後「在宅勤務」のビジネスパーソンが増えていく中で、定着していく傾向なのだろうか?
セブン-イレブンの冷凍食品
セブン-イレブンの冷凍食品
HuffPost Japan

新型コロナウイルスの感染拡大で「在宅勤務」が定着しつつある。

解除を進めているところもあるが、大手企業を中心に、人事制度や出社時間を見直しているところも出てきているため、ポストコロナにおいては「家で働く」が根付くかもしれない。

こうした在宅勤務のときに大事になってくるものに「食事」がある。1日3回の食事の準備や買い物をうまくこなさないと、仕事に影響が出てしまう。

ここ数ヵ月のあいだ、存在感を発揮したのがコンビニだった。少し前までは、おにぎりやサンドイッチなどをパッと買いに行くイメージもあったが、新型コロナの自粛期間中は冷凍食品がよく売れたという。

「家で働く」が当たり前になった時、コンビニは人々にとってどんな存在になっていくのか。6月9日の、Twitterライブ番組「ハフライブ」では、ローソンの竹増貞信社長をゲストに招き、話を聞く。この記事では、それに先立ち、ポストコロナの「働き方」とコンビニの関係について考えてみたい。

売り上げ全体は下がるも、自粛生活を”支える”

コンビニ業界を全体でみると、新型コロナの影響で苦しい状況に陥っていたことが分かる。

日本フランチャイズチェーン協会が主要7社の動向について発表したデータによれば、国内にあるコンビニの4月の既存店売上高は7781億円で、前年同月より10%少なく、落ち込み幅は2005年以降でもっとも大きかった。大手3社では、セブン-イレブンが5.0%減、ファミリーマートが14.8%減、ローソンが11.5%減だった。

しかし、自粛生活を支える”インフラ”としては大いに機能したようだ。

業界最大手のセブン-イレブンジャパン。広報担当者によれば、緊急事態宣言以降、オフィス街や観光地では店舗の売り上げや客数が減少したものの、住宅街の店舗では1人あたりの購入点数が増え、売り上げも伸びた。

特に、冷凍食品やお酒(リキュール類)、プライベートブランドである「セブンプレミアム」の惣菜やカット野菜などが好調だったという。

学校の一斉休校の影響もあり、冷凍食品の中でもチャーハンなど主食系の伸びが顕著だったという。

同じく4月の冷凍食品の売り上げが好調だったというローソン。ちょっとした間食にもなる「たこ焼き」や「お好み焼き」の伸びが顕著だった。担当者は「冷凍食品は火を使わないで調理できることもあり、時短とお子さんのランチに一役買ったのはないか」という。

食事に組み込まれた「冷凍食品」

ハフポストが取材した都内在住の30代女性は、共働きでパートナーと5歳の息子との3人暮らし。この数ヶ月、週に2回は、冷凍食品を生かして夕食を作っていた。

重宝したのが、かぼちゃ、ほうれん草、ブロッコリーなどの冷凍野菜。在宅勤務中は運動や外食を控えていたので、健康も大切。こうした冷凍食品を利用すれば、温めるだけで栄養がとれる一品になる。まな板や包丁を使う回数も減り、仕事が忙しくても、家庭で何とか食事を用意できたという。

別の20代女性は「ご飯は家でまとめて炊くので、おにぎりをまったく買わなくなった。その代わり、おかずとなる中華料理を冷凍食品で買って、にんにくやスパイスを足して食べていた。誰とも会わないので、普段は気になるにおいも気にせずに食べられた」と話す。

冷凍食品を買う人(イメージ写真)
冷凍食品を買う人(イメージ写真)
recep-bg via Getty Images

有事のたびに、存在感を高めてきたコンビニ

コンビニは「災害」がある度に、存在感を高めてきた。

雑誌『コンビニ』2016年3月号の川邉信雄氏の報告によると、1995年の阪神大震災のときは、当時ダイエー系のコンビニエンスストア(現在のローソン)が、ダイエー創立者の中内功氏のかけ声で、社員を関西に送り込んで、支援にあたった。

また、2011年の東日本大震災のときは、商品やサービスを被災地に提供するため、すぐ店舗の再開に取り組み、鍋やハンガーなどの供給も行った。

新型コロナのケースでは、コンビニの役割は変わるのか。

「家から働く」を助けるコンビニへ?

今後も、再び感染が拡大する「第2波」が心配されている。本格的な自粛や外出禁止に社会がもう一度対応せざるを得ない可能性がある。

また、新しい動きもある。日本経済新聞によると、資生堂、日立製作所、富士通などが社員の職務をはっきりさせて、達成度合いで人事評価をする「ジョブ型」の雇用の導入を進めている。

こうした会社が増えれば、オフィスでも自宅でも、場所を選ばず働く人が増える。

「在宅勤務のインフラ」「巣ごもり中のインフラ」としてのコンビニの役割がますます重要になってくるだろう。そうすると、冷凍食品のような食事のサポートだけではなく、オフィス用品の品揃えや店内のコピー機・プリンターの整備なども求められる。

先のセブン-イレブン担当者によると、自分で作成した書類などをプリントアウトできるネットプリント機能の活用などで、自粛期間中は「マルチコピー機」の利用が増えていたという。

「今後も『密』をなるべく避けながら、本当に必要な時に、必要な用途で使ってもらえる存在を目指す」と語った。

6月9日のハフライブでは、ローソンの竹増貞信社長をゲストに招き、ポストコロナのコンビニについて話し合いました。


番組アーカイブの視聴はこちらから⇨
https://youtu.be/EkSXb75Gsfw

ポストコロナの「コンビニ」を考える
ポストコロナの「コンビニ」を考える
MAYA NAKATA / HUFFPOST JAPAN

#ハフライブ クイズの正解は…

1.炒飯でした。税込138円です。

ハフポストの取材によれば、ローソンの冷凍食品売り上げランキング(5月)は以下。

1 炒飯 (税込138円)

2 フライドポテト(税込130円)

3 焼餃子(税込149円)

4 たこ焼(税込226円)

5 海老ピラフ(税込138円)

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