「あなた、市場に寄りましたね?」突然電話がかかってくるとの報告が相次ぐ。情報漏らした「犯人」の正体は...

スマホアプリを活用して濃厚接触の可能性ある人を割り出そうとする日本。一方で海外はもっと強権的な手法がとられている。

「“あなた新発地市場に寄りましたね?”と突然電話がかかってきて...」

新型コロナ第二波が危惧される中国で、こんな報告がSNSに相次いで投稿されている。

日本でも、6月19日からスマホアプリを活用して濃厚接触した可能性のある人を見つけ出す取り組みが始まる。しかしアプリを使うかは任意で、氏名や電話番号などの個人情報が提供されることはない。

一方、中国ははるかに強権的だ。強制的に個人の移動履歴などを収集し、感染拡大防止に役立てる方法がとられている。

北京で実施される大規模なPCR検査
北京で実施される大規模なPCR検査
Lintao Zhang via Getty Images

■車で通っただけなのに

「今日2回も電話がありました。“新発地市場に行ったことがありますか?ビッグデータではあることになっていますが”と言われた」

「毎日電話がかかってくるんだ。今日の夜は“検査を必ず受けろ“という内容だ。どうやって私に狙いを定めたんだ。クラクラする」

新発地市場とは、北京で起きたクラスター感染と関連があるとされる大型の卸売市場だ。

中国のSNS・ウェイボーに書き込まれた内容に共通しているのは、ある日突然、警察などから電話がかかってきて、新発地市場に立ち寄ったことがわかったと告げられる点だ。理由を聞くと「ビッグデータの分析」とだけ伝えられるという。

そして、感染の有無を調べる検査を受けるよう勧められる。

政府がビッグデータを活用して検査対象を特定していることは、公式の発表からも明らかになっている。 国営放送のCCTVなどによると、北京市では6月17日、市場関係者のほか、ビッグデータをもとに選定した市民ら35万人以上にPCR検査をすでに実施したと明らかにした。

市民の関心はこの「ビッグデータ」の正体。一体どの情報が政府に収集されているかだ。

参考になる書き込みがある。あるネットユーザーは、市場に立ち寄ったことがないのにも関わらず、電話がかかってきたと投稿。思い当たる節として「市場の横を通る高速道路を車で走っていた」ことが思い浮かんだという。

このネットユーザーは「この道路を走った人みんなが検査を受けるのか?検査で感染するリスクはないのか?」と疑問を呈している。

ほかにも、周辺を通る地下鉄に乗車していただけの人にも検査を受けるよう連絡が来たという。

■情報漏らした「犯人」は...

テック系メディアの「三言財経」はネット上の情報などに加え、北京市内で感染リスクが高いとされる地域の発表をもとに、スマホが接続する4G回線などを提供する事業者がデータを提供していると結論づけた。

高速道路や地下鉄などで通りががっただけの人も検出されたのは、ネットに接続した場所をもとにしていたためとみられるという。

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