働く人のランチは「テイクアウト」化する。仕事より疲れる同僚との付き合いがなくなる日

6月30日(火)21時からの「ハフライブ」で「牛丼屋さんの未来」について考えます。新型コロナで牛丼をテイクアウトをして家で食べる人が増えました。外で食べるだけでなく、家でも食べることになる「新しい外食」。その変化を通して、働く人のランチのあり方について色々と考えてみたいと思います。
「牛丼屋さんの未来を考える」
「牛丼屋さんの未来を考える」
Huffpost Japan

仕事中の「ランチ」ほど悩ましいものはありません。職場の周りのお店ばかりに行っていると飽きて来ます。ちょっと遠くに行ったり、普段食べないおいしいメニューを選んだりすると、時間もお金もかかってしまう。何より、同僚とぞろぞろと外に行くことが苦手な人だっています(ランチぐらい1人にさせて!)。

新型コロナウイルスの影響で、仕事中の風景が、様変わりしました。テレワークの影響で、テイクアウトを使ったり、ウーバーイーツを頼んだりする人が増えました。コンビニの広報担当者によると、冷凍食品を買って自炊する人も多くなったそうです。

6月30日(火曜日)午後9時からのTwitter生配信番組「ハフライブ」は、牛丼チェーン吉野家のCMO(最高マーケティング責任者)の田中安人さんと、買い物や外食の未来に詳しい、リテール・フューチャリストの最所あさみさんを招き、「牛丼屋さんの未来」を考える特集をお届けします。

長年、日本社会の働く人の胃袋を満たしてきた牛丼。実はコロナによってテイクアウト需要も伸びて、街中のお店だけでなく、お家で牛丼を楽しむ人が増えたそうです。

私たちのランチのあり方は、今後変わっていくのでしょうか。外食産業の変化を通して、考えてみたいと思います。ハッシュタグ「#コロナが変えたランチタイム」でも意見をお寄せ下さい。

外食企業のコロナ対応、テイクアウト戦略が効果的だった

新型コロナで多くの外食産業が打撃を受けたが、実は「勝ち組」のお店があるーーファストフードだ。

東洋経済オンラインのまとめによると、焼き鳥チェーン「鳥貴族」や居酒屋「ワタミ」の5月の既存店売上高は前年の同じ時期と比べて9割前後落ち込んだが、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、モスバーガーは売り上げが伸びたという。もともとデリバリーやテイクアウトなど「場所を選ばずにご飯を食べる」お客さんのニーズに対応していたからだ。

新型コロナの感染拡大によって、テレワークを導入する企業が相次いだ。「ランチは家で食べる」習慣も根付きつつある。また、たとえ出社しても混雑を避けるように動く人も少なくない。オフィスの仲間と同じ時間にいっせいにランチを食べに行くことは減っていくのではないか。

「外で食べる」から「家で食べる」へ。どこまで外食のあり方は変わる?

消費者の変化に対応し、コンビニエンスストア大手「ローソン」がウーバーイーツを使った宅配サービスの導入を拡大。全国で約2万2千店の宅配を代行する「出前館」は、4~5月の注文数が前年の5割増になった。

吉野家も、学校の臨時休校を受けて3月10日、12才以下の子ども向けに牛丼のテイクアウトの割引を開始。3月下旬には、テイクアウトの割引対象を拡大し、誰でも並盛りを300円(税込)で持ち帰れるようになった。感染拡大のリスクが高まる混雑を避けるため、スマートフォンの事前予約にも対応した。

そうした対策も一因となり、2020年4月と5月の売上高は前年と比べて減ったものの、減少をひとケタ台におさえた。

「外で食べる」という需要に応えてきた外食産業。今後は、街中だけでなく、「牛丼を家で食べること」も定着するのだろうか?

「きょうのランチ、どこにする?」そんな同僚の一言が少し苦手

「きょうのランチ、どこにする?」。ハフポスト日本版が取材した、あるスマホ向けのアプリ会社に勤める40代の女性会社員はそんな風に同僚や先輩に聞かれるのが苦手だったという。新型コロナの自粛中は自分のペースでお昼を食べられた。休校中の子どもと話すことも息抜きになったという。

しかし、気になったのは価格だ。たとえばウーバーイーツで吉野家の牛丼を頼んだ場合、時間帯やキャンペーンの有無によっても違うが、ウーバー側に払う配送料などが上乗せされ、1000円前後かかってしまうこともある。「デフレの象徴」とまで言われ、安さが売りの牛丼からはイメージしづらい金額感だ。

これは、ほかの飲食店に関しても同じだ。ウーバーイーツなどを通さず、自社でテイクアウトを始めようと思っても、配達の人材確保やネットで注文を受け付ける仕組みの開発など多くのコストがかかり、お客さんが払う値段にはねかえってくる可能性がある。

外食はもともと、店舗の維持費、人件費、食材費などが経営数値の多くを占め、営業利益率は高くない。テイクアウトは消費者にとって「便利なサービス」になるが、お店の経営を圧迫する可能性がある。

「牛丼を外で食べるか、家で食べるか」は深淵な問いなのかもしれない

吉野家は日本がデフレに陥った2000年代、280円までの値下げに踏み切った。2004年の牛海綿状脳症(BSE)問題のときは「伝統の味は変えない」と豪州産の肉を使うことなく牛丼の販売を止め、2019年10月、消費税が8%から10%に上がったのを機に、店内での飲食を税込380円から387円に引き上げている。吉野家の変化を深掘りすることは、同時に、日本経済や社会の変化を見つめることでもある。

「ハフライブ」にゲストとして登場する吉野家CMOの田中安人さんは、同社のマーケティングの責任者だが、実は吉野家「専従」ではない。株式会社グリッドのCEOもつとめ、外食産業にアドバイスをするコンサルタントでもあるので、業界の幅広い動向に詳しい。

仕事中のランチはこれからどうなるのか。新型コロナによって、やっぱり「外で食べる」が便利で楽しいことにみんなが改めて気づいたのか。あるいは、家で食事をすることで、同僚との関係や仕事の生産性は変わっていくのか。ランチの新しいかたちが生まれるのか。

「牛丼を外で食べるのか、家で食べるのか」。その問いを通して、外食産業のこれからを考えるだけでなく、私たちの生き方や働き方をも振り返ってみたいと思います。

6月30日夜9時〜生配信です

番組は、ハフポスト日本版のTwitterアカウントから配信します。以下のURLで、時間になったら自動で配信が始まります。視聴は無料です。

▼番組はこちらから

https://twitter.com/i/broadcasts/1zqJVevOLpPGB

▼ゲスト

株式会社吉野家CMO/株式会社グリッドCEO 田中安人さん

Retail Futurist /noteプロデューサー 最所あさみさん

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